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告白

作者: 夕部空波 

「あなたが好きです。」

人生で初めての告白。心臓が飛びてそうなほどドキドキして、自分の鼓動が聞こえてるのではないかと疑うほどに早鐘を打っている。身体中が火照る。相手の顔がよく見えなくて、ああ、嫌がられたらどうしようって思った。

気づけばいつも2人でいて、家がとなりだという幼なじみ。こんな風に、この人を恋愛対象としてみる何て思ってもいなかった。けれど。

その眼差しが、仕草が声が。全てが愛おしくなって、全て自分のものにしたいと思った。見ず知らずの、女の子と楽しげに話してるのを見て嫉妬した。彼の一番は自分だといい、自分でなければ嫌だと思った。だから、思い切って告白した。自分の気持ちを全て伝えようと思っても、ありきたりなセリフしか出てこなかった。あれだけイメージトレーニングしたのにっ! と自己嫌悪に陥る。

「わたしと、付き合ってください。」

そして初めて、彼を見た。

そして息を飲んだ。

だって、彼の顔も真っ赤だったから。

ありきたりで溢れている。放課後、体育館裏に、なんて。その時点で多分ーーいや、きっと気づいていないのだろうがーー少なからず何かを察してはいただろうに。

それにつられて、自分の顔がさらに火照るのがわかる。これでもかっと思うくらいに顔が熱い、熱くて熱くてたまらない。

「お前、俺のこと好き、だったの?」

まるで信じられないというように彼は問うてきた。

わたしだって、信じられない。小さい頃もいつも一緒で受験した高校も一緒で。中学の頃からお前らいつも一緒だな、ってからかわれて、そんなことない! と全力で否定した時からは想像もできない。

だって気づいてしまったから。彼が自分から離れていくのをとてもかなしくかんじている自分に。そしてこれが、恋だということに。

彼の問いにこくこくと頭を上下した。すると彼もさらに真っ赤になってそして小さく呟いた。

「超嬉しい……。」

「へっ?」

一瞬意味がわからなくて、頭を上げた瞬間、視線が交わって目が離せなくなった。彼の強い瞳に吸い込まれそうだった。

「……俺も、お前が好きだ。ずっと前から。」

しかし、彼は視線を逸らして、そして耳を疑うようなことを言う。え、それって、つまり。

「俺でよければよろしくお願いします。」

差し伸ばされた手の意味がわかるまで時間を要した。彼は不審に思ってかわたしを見た。その瞬間、涙があふれた。嬉しくて、嬉しくて、たまらなかった。

「これから、よろしくお願いしますっ!」

彼の手をしっかりと握る。この手をずっと掴みたいと思っていたから。ずっとそばにいたいと思っていたから。

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