第一話 神が用意した村
うまく書くのって難しいですね。
暇つぶし感覚で気軽に呼んでくださると幸いです。
「・・・・ん?」
目を開けるとそこにはさっきの神と同じような衣装を身にまとっているお兄さん
と呼ぶくらいの若さの人が居た。
この衣装はさっきのじじ神の・・・でも若いな。あぁ、息子かな。
ソウジはそう考えた。すると彼は口を開いた。
「こんにちは。君の思っている通りの人物だと思うよ?そう、僕は君のあった神、つまり父さんの息子さ。突然こんなところに引っ張ってしまってごめんね。実は相談したいことがあるんだ。」
神(息子)は言った。ソウジはこの展開に嫌な予感しかしなかった。
本来であればこのまま村に行く予定だったはずだ。
俺、選ばれし者的な?いや、やめて、俺にチートあたえないでよ。俺は平和に暮らしたいんだよ。魔王とか勇者とか戦争とか本当に勘弁して欲しい。
ソウジはそう思った。なんと言おうか迷っていると、
「心を読むようですまないんだが、それなんだよ。僕は君のその平和主義に惚れて呼んだんだ。いや、君が好きとかじゃないよ?その志が僕と同じというかね。それで僕の助手にならないかって相談しようと思ったんだ。」
「やめてくれ、そういうのは相場で魔族、魔王退治とか心の荒んだ兵士たちの退治とか残酷なことこの上ない作業をチートを与えてやらせるって決まってるんだ。そんな労働ゴメンだ、というか平和な世界だって神が言ってたぞ?あ、父親のほうな。」
俺は神の息子の頼みを即断った。だってそうだろ?フラグは立てたくない。
マヤもついてくるんだ、危険な目には合わせられないしな。
「だよね。君の世界のこともちょっと調べたんだ。確かにああいった小説はちょっとね。でも父さんの言ってることは本当だよ?この世界には多種族の生命が存在しているけど平和さ。君と同じ人間、エルフ、ドワーフがいるね、あと実は魔族も存在しているんだ。」
「魔族?ちょっとまて、平和なんじゃ無いのか?」
俺は驚いた。魔族が存在してるんだからな、てことは魔王も存在しちゃうってか、ははは、笑えねぇよ。
やっぱり予想どおりじゃねぇか。
「まぁ落ち着いて、確かに君の世界の物語にはそういったものが多いけど、この世界は共存できているんだよ。魔王なんていないし人間と同じように振る舞い共に暮らしている。」
「まて、そうだったとしたら俺にどうしろと?平和なら俺にすることなんて無いじゃないか。」
ソウジは思った、そもそもおかしな話である。神が言うには大きな争いのない平和な世界だという。が、息子には手を貸して欲しいと頼まれた。これは矛盾では無いのかと首をかしげた。
「君に手伝って貰いたいのは争いを鎮めたり魔王を倒せとか言っているわけじゃなくてね?なんというかほら・・・・君は世界をのんびりと観光するつもりなんだろう?いろいろな街で何か小さな争いや法を犯すような人たちを成敗というかね・・・」
「できれば俺自身は争いをしたくないんだ。でも、もしその話に乗ったとする。しかしそれをしたところで解決というわけにはならんだろ?小さな争いなんてどこにでもあるだろうし・・・・」
これまた正論である。息子がソウジに頼んでいることはほぼ無意味に等しい、やったところでどうなんだ?という話しである。
すると神の息子は痛いとこばかり突かれたのか苦虫を噛み潰したような顔で喋り始めた。
「まぁ簡単に言うとだね、君の考えは僕と似ているんだ。僕はね、父さんにこの世界を任されてから中を覗いてきた。こことの時間が違うからすごい速さで見えることになるんだけど、数千年たっている。そのなかで僕が一番気になったのは小さな争いや小さな悪事だよ。いくら世界に干渉してなくそうとしても一向に無くならないんだ。父さんに相談してもそれは仕方のない事だと言われてね。僕はこの世界を神という立場からしか見ることが出来ない。父さんはね、見方を変えれば少しの悪も必要だと言っている。僕にはわからない。父さんはああ見えて最上級の神なんだ。世界を作るのもその階級に君臨する実力があるからこそで父さんはその力で世界に一人の人間として干渉することも出来るんだ。だから僕はそんなことが出来る父さんとは考え方が違くて当然だって怒鳴っちゃったんだ。見難い喧嘩だろう?でも父さんと同じ見方もしてみたい。でも僕は干渉できないんだ。だから僕と考えが似ている君にこの世界を一人の人間として見た世界の色々なことを教えて欲しいなって思ったんだ、あわよくばそれを聞いて僕のやりたいと思ったこともやってくれればいいかなと思って。」
俺はその話を聞く限り、息子の都合で俺を呼んだのかと少し頭にきた。
「つまり俺は息子さんの代わりの世界に人間の一人として干渉するモルモットになれと?」
ソウジは少々強く言った。
「ま、待ってくれよ。そんな酷い扱いをする気は無いよ?僕は世界に存在する人間の一人として見た感想を知りたいだけなんだ。そうすれば神として干渉するときの考えも変わると思ってね。協力してくれればお礼として君の世界で言うチートと死亡フラグ回避を約束するよ。」
息子はとんでも無い事を言った。チート。それを口にした。
俺は死亡フラグ回避と言われて少し心が動いた。平和主義はそういったものが大好きだからな。
悪くない条件なので乗ることにした。
「いいよ。だけど余りワガママは言わないでくれよ?俺は平和に暮らしたいんだから。」
俺は念を押しておいた。
承諾すると、息子は年齢に合わないような若々しいはにかんだ微笑みを見せながらありがとうと言ってきた。そして俺の体が光りだす。
「我が力を同志ソウジに分け与えん。」
その呪文を聞いて俺は考えた。それって俺も神になるんじゃ・・・・・
俺の体の光が収まると、息子は言った。
「君の能力の一つに神域帰還という魔法がある。この魔法を使えばいつでもここに来られるから。どうやらもう時間みたいだね。感想楽しみにしているよ。じゃあね!」
俺は息子に「ああ」と返事をしようとした瞬間転移が始まった。
気が付くと俺は村に居た。村自体はそこまで大きくはないが、40人前後は暮らせそうな建物の数がある。多分ここが神の言っていた村だろう。
ソウジはそう考えた後マヤを探すかと散歩感覚で村を歩いた。
「ソウジ!遅いよもう、何時間待ったと思ってるの?心配したんだからぁ。」
俺は散歩を初めてすぐにマヤに発見された。マヤを見ると目がうるうるしている。相当心配していたんだろうな、と思い「悪かったな」と謝った。
マヤを慰めていると何か暖かい目線というのだろうか、そんな視線を感じて前を見てみると転移したみんなが揃っていた。みんな俺の方を見て煽ってくる。だが悪い気はしなかった。多分あんなことがあったからなのだろうか、自然とみんなとまた会えることが嬉しかったのかもしれない。
「ソウジー見てくれよほら、剣だぜ剣。マジでイカしてないか?くぅーっ!」
向こうの集団から一人ごつい格好をした、だがイケメンなあいつが出てきて剣を自慢してきた。シュンだ。あいつの隣には黒いローブを身につけたスタイルのいい女性が居た。シュンの彼女だ。名前はユイ。ユイも中学からの同期でいつも俺達とつるんで遊んでいた。今も変わらない。
ユイは光りに照らされると茶色に見えなくもない髪で軽くウェーブのかかったロングヘアーにマヤとは逆の美しいと言えるような大人っぽい顔立ちの子だ。
簡単にいえば美人。
「ソウジくん見てみて、シュンに選んでもらったの。可愛いって褒められちゃったよー。」
うふふと言わんばかりの笑みをこぼしながら俺に自慢してくる。はいはいラブラブで夫婦円満なのはどっちだっつーの。まったく・・・・
とは思ったものの、「似合ってるな」と一言返しておいた。呆れていても似合ってるからな。褒めておいたほうがいいと思ったんだ。
「ちょっとみんないいかしら、私の話を聞いてくれる?」
そう言い出したのは学級委員長であるセイラだ。
セイラは親がハーフで金髪のショート。鼻のちょっと高い西洋美人というような可憐な顔立ちをしている子だ。
セイラも実は中学からの付き合いだ。彼女は中学から学級委員長を続けている。ちょっと手厳しいがこういうバラバラになりそうなときに率先してまとめてくれるからありがたい。セイラさまさまです。ほんとに。煽ってないよ?
「とりあえずこれからについて決めようと思うの。まぁ基本的には自分の決めた道でいいと思うんだけどしばらくは何人かのグループに別れて生活に慣れることから始めようと思うんだけど、どうかしら?」
誰も仕切ることに対して怒らない。むしろ仕切ってくれたほうが今の状況だとありがたいのだ。セイラの意見に全生徒は頷いた。彼女は本当にこういう時にまとめてくれるから困らない。みんなもそう思っているだろう。
そして俺達はグループを作ることになった。教職員がいないので全校生徒は35人。7人のグループを5つ作ることになった。
俺のグループは、俺、マヤ、シュン、ユイ、セイラと、とりあえず中学からの同期メンツで固まった。さて、後二人はどうしようかと考えていたら、
「タ・・・タクミくんを誘ってもいいかしら・・・・」
そう、忘れていた。セイラはタクミに片思いしているのだ。セイラは実を言うと隠れオタでタクミと話をしてから話が合って好きになったらしい。
俺達も別に構わないしセイラの片想いをみんな知っていたので了承した。
「あの・・・・よろしく・・・・」
タクミくんは中学の時にオタクだと馬鹿にされていたらしく、人が怖いらしい。おっかなびっくりの喋り方もそのせいだろう。しかし、オタク系の話に入るとテンションがすごいことになる。校長に天使のことを突っ込んだのもその影響らしい。俺とセイラでオタク話を振ったところなんなく打ち解けた。
マヤ、ユイ、シュンとも意外なとこで話が合ったりしていい感じのグループになった。いや、まだ完成してなかったな、後一人どうしよう。
「この際6人でいいんじゃねーか?」
シュンが言い出した。周りを見たところ、このグループがいいと8人になっているグループがあったので、セイラもしょうがないと折れてくれた。
そしてその日は修学旅行のようなキャンプ感覚でワイワイして眠りについた。
夜が明けて新生活が始まった。友達同士だからやりずらいところがあると言えどセイラが仕切ってくれるおかげで難なく過ごせている。
初日はグループでレクリエーション的なものをやろうとセイラが言い出した。
「ここにまで来てレクリエーションか、俺は昼寝がいいな。」
俺はいつものノリで呟いた。
「せっかくこの世界に来たんだから楽しまないとだめよ!」
俺の平和発言にマヤが食って掛かる。口調は相変わらず。まぁいつものやりとりだからやけに安心感があるんだよな。てか何だ俺、安心感を求めてたのか?やっぱりパニックだったのか?心のゆとりを求めていたのか?などと疑問で脳が埋め尽くされて頭を抱えているとセイラが改めて職業を含めた自己紹介をしましょうという提案をしたので、俺を含め5人は頷いた。
「俺からかな。俺はエニシ ソウジ。ソウジって呼んでくれ。職業は鍛冶師だ。多分このグループの武器とか防具整備に回るんじゃないかと思う。戦闘は、とりあえず槌を振り回してみようと思う。以上で。」
「じゃあ次私ね。私はカサキ マヤ。マヤでもカサキでも良いよ。職業は治癒術師です。えっと、みんなの回復は任せて下さい。これでいいかな?」
「じゃあ次俺だな。俺はタキサワ シュン。シュンって呼ばれるのが多いな。職業は戦士だ。ユイを守るためになったんだが、まぁみんな守ってやるよ!」
俺、マヤ、シュンの順番で自己紹介が進んだ。感心するぜシュン。お前はどうしてそう安々とフラグ立てるセリフを言えるんだ。フラグ立てるセリフだがあいつが言うと格好良く聞こえる。不思議だ。ユイは赤面して俯いている。全く、どこまで愛し合ってるんだお前ら。
と考えてるうちにも自己紹介は進む。
「えっと、オバラ ユイです。ユイって呼んで下さい。ちなみに私の職業は魔導師です。魔法はまだ全然ですが村の書物を読んで出来るように頑張ります。」
「じゃあ次は僕ですね。イセ タクミといいます。僕の職業は戦士です。ラノベに無双系があったので、僕は剣で戦ってみたかったので戦士にしてみました。よろしくお願いします。」
「では最後に私が。キシダ=グラス=セイラと申します。セイラと呼んで下さい。親がハーフでミドルネームが入っております。職業は薬師にしました。私は争い事が嫌いですので薬でバックアップをしていきたいと思います。」
順調に自己紹介が終わり俺はあることに気づいた。
「あれ?みんな職業・・・・・狙ったのか?」
偶然?神の手?いや、あのじじぃが思考まで操作するかよ。
「「「「「あ!」」」」」
みんな俺の発言で気づいたようだ。そう、このグループはなぜか職業の偏りがない。まぁいいことなのでそれ以上は詮索しないでおこう。
セイラはその後、他のグループも集めて日常生活の決まりを決めた。主に家事や図書室の使用順である。すんなりと決まりこの世界の学習もスタートした。
・・・そしてこの村での生活が始まって数日が経ち、今日の学習する分が終わったので村の木の下で俺は今休憩中だ。そう、至福の昼寝時間。昼寝をしながら考える。
この村は色々と揃っている、俺達が一人一部屋持てるくらいの数のアパートのような建物が幾つかと、食物庫、井戸がある。そして図書館的な建物。あの中にはこの世界の歴史、通貨、地図、魔法、剣技などなどの沢山の教本がある。毎日行っても飽きないくらいだ。
そして極めつけはこの結界的な何かだ。村の中心に鉄の棒みたいなものが挿してある。鉄じゃないとは思うが・・・・
まぁそこを中心に村を囲う薄い蒼色の膜ができている。どうやら神の言っていた魔除け結界らしい。
外には魔物がいるとは図書館で調べ済みだが、今のところ生活には困らないので村の外へは誰も出ていない。いや、出ていけない少なくとも今は。
各グループのメンバー全員が図書館の本を読み尽くしたらそのグループから戦闘訓練のために安全第一で外へ出るという決まりにはなっているがまだ誰も本を読み終わっていないので出るグループがいない。
本を読み終えて戦闘訓練まで終わらせたら一度息子に会いに行くかなと考えていると気持ちいい日差しに眠気が勝ち、俺は眠った。
はやくソウジをこの世界の街にだしてあげたい!
ですがもう少々だけ村編は続くと思います。




