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第壱話ゴブリンを狩る者

本作が真面目に書く作品となります

真面目とは言ってもレベルは低いです…

よろしくお願いします

「勇者ヨシハルよ。魔王を倒し、この国を救ってくれた勇者よ。感謝するぞ」

一国の王は社交辞令の様に定番のセリフを勇者ヨシハルに礼を言った。

ヨシハルとは俺の事だ。

「いえいえ。大丈夫ですよ」

俺は普段と変わらず、緊張した声も出さずに返事をする。

今、俺がプレイしているこのゲームは俺が作ったVRMMOで、一般的には創世記リオティオンというゲームだ。

俺は今まで、プログラミングの勉強しかしてなくて、初めて作ったゲームがVRMMOだったから不安ではあったが、ベテランのスタッフのおかげでストーリー最後まで、しっかりと動作して不具合がなかった。

そして大ヒット商品になった。

やっぱり自分で作ったゲームなので、プレイしてみたい気持ちもあって、プレイしてみたが、意外と難しく、我ながら良いできばえだった。

そしていま、魔王を倒し、王から祝福を受けている。

そして王の最後の言葉でスタッフロールが始まってスタッフロールの最後に俺の名前が載る筈なのだが。

(ん?…おかしいな…)

スタッフロールが、いっこうに始まらない。

「どうなってんだ?不具合か…?」

俺は不具合が生じたと思いメニューを開き、ログアウトをしてゲームを停止しようとするが、

「おかしい…ログアウトできない…」

と思ったのもつかのま、見慣れた草原の景色が目に入った。

緑色の芝生より少し伸びた位の草が風に煽られてサラサラと生きているかのように左右に揺れている。

その風が俺の髪も動かす。

「ここは…」

俺には見覚えのある景色だ。

ここは、ゲームを最初からプレイした時に最初に自分が登場する場所。

だが、例え魔王を倒し、王の最後の言葉でスタッフロールが始まり、スタッフロールが終わっても、最初の始まりの場所に移される筈はない。では何故この現象が?

今まで、不具合など無かったしそんな報告は聞いた事が無い。

そうこうしていると、草原を越えた向こうから人に助けを呼ぶ声がする。

「助けてください!誰か!」

その声が聞こえたところで俺は確信する、

「これは…!」

間違いない!最初のイベントだ!

イベントとは即ちストーリーが進む為に発生する「出来事」のようなもの。

最初のイベント…それはゴブリン三頭の討伐。ゴブリンはこのゲームでは雑魚。

初心者がプレイしても大丈夫なように、ストーリーが進むに連れて敵のレベルも徐々に上げていくシステムにしてある。

だが、それは初級編にのみ限った話だ。

ゲームの設定では

初級編……初心者プレイに最適。

中級編……初心者を抜け出したい方にオススメ。

上級編……もっと緊迫感のある戦いがしたい方にオススメ。

特別編……一つ一つのストーリーを難しくしたい、強い武器が欲しい、という方にオススメ。

これら四パターンあり、中でも簡単なのが、当然ながら初級編。

しかし、俺は特別編に設定してあり、敵も強くなりイベントの数も増え、敵の種類やドロップアイテム、何から何まで変わってくる。まぁ、そんな特別編に設定したのは、やっぱり製作者としての意地があって、「え?製作者なのに初級?」ってなりたくなかっただけなんだが。

そしてこのイベント。

ゴブリン三頭を討伐して、とある少女を救うのだが…

通常編ではゴブリンを三頭倒して、終わり。なのだが、特別編ではそうはいかない。

特別編は、ゴブリン三頭を捕食する竜がでてくるのだ。

そのイベントの名は、ゴブリンを狩る者。

竜と言っても龍ではなく、対して大きくはない。例えるならば普通の家一軒程度。

だが、初期装備なら余程の手練れでなければ倒すことはできない。

しかし俺が負けるはずはない何故なら…

俺がこのゲームを作ったからだ!

何処からこんな自信が湧き出てくるのか、正直自分でもわからない。根拠の無い自信が俺の背中を押す。

俺はこのゲームを有利に進めるためのスキルを使う。

「シールド展開!バックシールド!」

このスキル、バックシールドとは自身が爆風に流されたように、猛烈に速く前に進める移動スキル。

このスキルを手に入れるためにはストーリーを後半に進めないと手に入らない。ま、よくある「効率の良い移動手段は後半から手に入れれる」というやつだ。

そして俺は聖剣セイクリッドソードを抜こうとし、背中に納刀されている筈の剣を手にする。

(違う…これは…)

「バスターソードじゃねーか!」

バスターソードは初期装備の武器で、誰もが知っていてお世話になったであろう剣だ。

攻撃力は対して強くない。

(なんでバスターソードが…)

しかし、今はそんなことを考えている余裕はない。

もう一度地面に足をめり込ませる様について、バックシールドを使う。

そして俺はそのままバスターソードで竜、レギオンの片方の翼と尻尾を力ずくで切り落とす。

案外斬れるもんだ。

「ギィィィイイイ!!!」

悲痛な叫びをあげるレギオンは俺に攻撃しようと火炎弾を打ち込んでくる。

俺はこの時、頭を切り落としたと勘違いしていて、もう終わったと思い、迫り来る火炎弾に気づかなかった。

「危ない!」

そんな少女のような声が聞こえ、振り返ると火炎弾がこちらに向かってきていた。

もう目の前まで迫っていた。

(仕方ない…)

「裏コード!PH2!バックシールド!」

俺がそう叫ぶと

普通のバックシールドの五倍以上のスピードがでる。

そして俺は火炎弾を容易くよけ、バスターソードを首に斬りつける。メキメキと嫌な音がしたが、構わず剣に力を加える。

今度こそ頭を斬り落とす事に成功した。


このスキル、裏コードPH2とは俺がスタッフに内緒で作った裏ワザみたいなもので、俺が一人で勝手に楽しむために作ったのだが、そのチートとも言える能力には当然ながらデメリットはある。というかデメリット無しだったら頼ってしまう。

(こんな時に使わうとはな…)

そのデメリットはあまりにも大きいものでここぞという時しか使えない。

デメリットは、一つ、気絶すること。

体力が1になればこのゲームでは気絶扱いにされ、それからダメージを1でもうければ当然の如く死亡する。

つまり、このスキルの条件は体力を1にする事。もし、この状態で石ころでも投げられてぶつかろうものなら死ぬに違いない。

そして俺は、駆け寄ってくる少女に身を預けるようにして

気を失った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

第二話もよろしくお願いします。

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