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外れ伯爵家の三女、領地で無双する  作者: 森のカフェしっぽっぽ


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第60話 念話の奇跡と再出発

 ダンジョン都市へ向かう道中、アイリスたちは沈黙のまま歩いていた。森を抜け、街道を進むにつれ、孤児たちのことが頭をよぎる。


「……やっぱり、みんな大丈夫かな」


 アイリスが小さく呟く。彼女の横でガルドが視線を逸らす。リーナも同じく、仲間の子供たちのことを考えているらしい。


「戻ろう。少しでも孤児たちが心配なら、街に寄って確認してから行く」


 ガルドの言葉に、アイリスは頷く。道を引き返す決断はすぐだった。孤児たちが元気でいることを確認し、屋台や生活の様子を見届けてから旅を続けるべきだ。


 途中の街に立ち寄ると、アイリスは以前漫画と小説を卸した商業ギルドに足を運ぶ。街の人々や冒険者が作品に目を留め、感想を話してくれるのを聞き、ほっとした笑みを浮かべる。


「皆、ちゃんと楽しんでくれているみたいね」


 リーナも笑顔で頷く。


「旅の間も、こうして作品が人々に喜びを与えていると思うと安心するわ」


 商業ギルドで雑談していると、棚の隅で見慣れない巻物が目に入った。念話のスクロールだ。遠く離れた者同士でも思念を届けられる、まさに孤児たちとの連絡にうってつけの品。


「これは……遠くにいても連絡が取れるってこと?」


 アイリスは目を輝かせる。ガルドも感嘆の声を漏らす。


「まさか、こういう道具があるとはな。孤児たちを心配する必要も減る」


 リーナも興奮気味に言葉を重ねる。


「これさえあれば、屋台や隣家の様子もすぐに確認できるのね」


 アイリスは念話スクロールを一つ購入し、アイテムボックスを取り出してコピーを増やす。旅する仲間全員に渡せるよう、準備を整えるのだ。スクロールを増やす作業は、アイテムボックスのバグを活かして行う。


「これで旅先でも、孤児たちと連絡が取れる。安心して探索に集中できるわ」


 街に戻ると、孤児たちとルク、セリルの前でスクロールを説明する。


「皆、これを使えば、遠くにいても私たちと話せるの」


 孤児たちは目を輝かせ、ルクも少し驚いた表情を見せる。セリルはにこやかに微笑む。


「これでいつでも連絡できるのか。心強いな」


 アイリスはスクロールを読み込ませ、孤児たちにも操作方法を簡単に教える。子供たちは楽しそうに試してみる。


「わあ、アイリスたちに話しかけられる!」


 「これなら寂しくないね!」


 ルクも頷き、子供たちの安全と学びを見守る責任を再確認する。セリルもスクロールを手に取り、授業や屋台管理で必要な指示をいつでも送れることに安心する。


 夕方、孤児たちの笑顔を確認し、屋台も順調に営業しているのを見届けたアイリスたちは、再び旅立つ決意を固める。


「皆、準備はいい? 今度こそ、ダンジョン都市へ向かうわ」


 ガルドが荷物を背負い、リーナも微笑む。


「孤児たちが元気でいてくれるなら、私たちも安心して進めるわ」


 アイリスは念話スクロールを手に取り、孤児たちに向かって軽く手を振る。


「また後でね。何かあったらすぐ連絡して」


 孤児たちは元気よく手を振り返し、ルクやセリルと共に屋台の準備に戻る。街の人々も見守る中、アイリスたちは再び道を進む。


 夜の森に入る頃、アイリスは空を見上げる。遠くにいる孤児たちの笑顔を思い浮かべ、念話スクロールで繋がっている安心感に胸を熱くする。


「これで、どこにいても皆を守れる」


 ガルドが横で頷き、リーナも微笑む。旅の目的は変わらない。ダンジョン都市の探索と攻略。しかし、孤児たちの安全と日常も同時に守れるようになったことで、パーティはより安心して冒険に集中できる。


 物語の幕はまだ下りない。念話スクロールを得たことで、遠く離れていても繋がり続ける孤児たちとの日常と、再び始まる旅の冒険。アイリスたちは新たな安心と可能性を胸に、森を抜けて次の街へ向かって歩き出すのだった。



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