第53話 仲間と家と新たな決意
肉ダンジョンの奥深くを探索し、無事に帰還したアイリスたちは、拠点として使える家を探すため街へ向かっていた。肉ダンジョンは特異な迷宮で、どの敵を倒してもドロップするのは肉だけ。宝や魔法具、素材は一切落とさない。それでもパーティは十分に戦利品を得ていた。
アイリスは手に持ったドロップの肉をアイテムボックスに整理しながら、次の拠点を考えていた。
「ここなら迷宮から戻ってもすぐに整理できるわね。肉の保管もしやすそうだし」
家を決めるために数件回った結果、理想的な家を見つけることができた。広さも十分で、肉の保管庫として使えるスペースも確保できる。購入手続きを進めるアイリスを見て、ガルドとリーナは興味深そうに家の中を見回していた。
アイリスはふと二人を見て、無意識に口を開く。
「じゃあ、荷物もここにまとめて置いておいて」
ガルドとリーナは互いに顔を見合わせ、即座に突っ込む。
「ちょっと待て、アイリス! 俺たち、まだ奴隷扱いだろ?」
リーナも腕を組み、真剣な表情で続ける。
「そうよ! 荷物扱いされる仲間じゃないんだから!」
アイリスは手を止め、はっとする。自分が無意識に二人を仲間として見ており、奴隷契約を忘れていたのだ。
「……あ……ごめん。つい、仲間として見てしまってた」
ガルドはため息をつき、リーナは口元を押さえて笑いをこらえる。
「いや……いいけど、でも忘れないでくれよ」
リーナも肩をすくめ、笑いながら言う。
「仲間として扱ってくれるのは嬉しいけど、契約上は……ね」
アイリスは深く息をつき、決意を固める。
「……そうね。もう契約なんて関係ない。二人は正式に仲間として、私のパーティの一員として迎えるわ」
ガルドとリーナは笑顔で頷き、肩を組むようにして家の中を歩く。
「やったな、これで本当に仲間だ」
「ええ、これで肩書きも関係なく、一緒に戦えるわ」
アイリスは書面を手に、商業ギルドや関連する役所に連絡して、奴隷契約の解除手続きを正式に行った。これで二人はパーティの仲間として自由な立場を得ることになる。
家の中では、アイリスがアイテムボックスを設置し、ドロップした肉の整理を開始する。棚に並べると、赤身、脂身、珍しい部位など、さまざまな肉がずらりと並ぶ。ドロップは全て肉なので、武器や魔法具、宝石はなく、料理用の素材としての管理が重要だ。
ガルドとリーナも、自分たちの荷物を整理しながら、家の中を探検する。自由になったこともあって、表情は生き生きとしている。
「これで肉ダンジョンでの収穫も、きちんと管理できるな」
「ふふ、これでくつろぎながら食料も確保できるわね」
アイリスは銃や魔法具、防具の収納を終え、肉の保管庫をチェックする。ドロップするのは肉だけだが、その種類は多く、料理や保存食に応用できる。次の迷宮探索に備えて、栄養や保存期間も考えながら管理するのだ。
リーナはソファに腰を下ろし、笑みを浮かべる。
「これで肉ダンジョンでも、安心して探索できるわね」
ガルドは窓際に立ち、外の景色を見ながら考える。
「肉だけでも、ちゃんと管理できれば生活には困らないし、戦闘後の補給も万全だ」
アイリスはアイテムボックスの中の肉を見つめ、次の迷宮での活用法を思案する。
「これからは、仲間として一緒に戦うわ。頼りにしてる」
ガルドもリーナも笑顔で頷き、拳を軽く合わせる。
「任せとけ、アイリス」
「もちろんよ、一緒に戦うわ」
夜になり、家の中は暖かい光に包まれる。肉ダンジョンで得た食材を整理しながら、仲間たちは新たな絆を確認する。奴隷契約の解除により、パーティとしての誇りと自由が確立され、次なる迷宮への準備がより充実したものとなった。
アイリスは窓から星空を見上げる。肉ダンジョンの戦利品である肉を整理し、仲間と共に過ごす家は、単なる拠点ではなく、彼女たちの絆と力を育む場所となる。
物語の幕はまだ下りない。家という拠点、正式に仲間となったガルドとリーナ、そしてアイテムボックスで管理される肉の数々が、次の冒険への活力となるのだ。




