表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れ伯爵家の三女、領地で無双する  作者: 森のカフェしっぽっぽ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/26

第3話 外れ三女、村を魔法で変える

開拓村の朝は、ひんやりと静かだった。朽ちた木の家々、雑草に覆われた畑、乾いた水路――すべてが放置されたままだった。しかしアイリス・フォン・アスラの目には、これからの可能性しか映っていない。


「さて、まずは倉庫と住居の整備から……」


アイリスは静かに呟き、手をかざす。空間支配のスキルが、彼女の意思を汲み取り、目の前の倉庫を拡張する。壁はそのままに、内部は無限に近い空間が生まれ、足元には新たな棚や仕切りが瞬時に構築された。


住民たちは、遠巻きにその様子を見守る。

「な、なんだあれ……」

「家の中が広がった!? どういうことだ?」


アイリスは軽く手を振る。

「安心してください。ここからは、住みやすい環境に変えていきます」


次に彼女は畑へ向かい、暴食スキルを発動する。手に持った種や作物を口に入れると、魔力が内部で変換され、畑に適した肥料や水分、作物の生長エネルギーが生成される。枯れた土地も、数時間で青々とした苗が芽吹き、見違えるほど豊かな畑へと変貌した。


「これは……魔法ですか……?」

村人のひとりが、目を丸くして呟く。


アイリスは頷く。

「そうです。でも、魔法だけではなく、計画も大切です。次は倉庫の整理と食料管理を進めます」


空間支配で倉庫の容量を増やし、暴食で生成した食料を分類して格納。住民たちは初めて、彼女のスキルの利便性を実感する。


「姫様、これは……本当に助かります」

年配の農夫が、涙ぐむように礼を言う。


アイリスは微笑む。

「礼などいりません。私は、この村を発展させるために来たのですから」


そして次の段階――ネットショップの開設に取りかかる。前世の知識を活かし、彼女は魔法アイテム、特産食材、加工品などを取扱商品としてリストアップ。手元の魔法端末を使い、外界の取引ネットワークと接続した。


「これで、村で作ったものはすべて外の市場で販売できます。資金は入りますが、契約に基づき、すべて私のものです」


住民たちは半信半疑だった。村で作った野菜や魔法道具を、外界の人々が買うというのだ。前世では普通のゲーム内操作だったことも、現実世界で起こると信じがたい。


「……でも、もし本当に売れるなら……村の生活が楽になるんじゃないか?」

若い男性が目を輝かせる。


アイリスは頷く。

「その通りです。生産と販売が循環すれば、村は自立できます」


こうして村は、アイリスの手によって少しずつ息を吹き返す。倉庫は整頓され、畑は豊かに育ち、住居は住みやすくなり、ネットショップは外界との交易を開始した。


ある日、住民のひとりが彼女に質問した。

「姫様……なんで私たちのためにこんなことを?」


アイリスは軽く微笑む。

「私はここで暮らす皆さんと一緒に、この土地を育てたいだけです。伯爵家の命令でも、政治利用でもありません。ただ、自由に、この村を良くしていきたいのです」


その言葉に、住民たちは胸を打たれた。

「……姫様……本当に、私たちのためだけに?」

「はい。私の自由と、皆さんの生活が重なった場所、それがこの村です」


日々、住民たちは彼女の指示に従い、村の整備に取り組む。空間支配で建物を改築し、暴食で資源を確保し、ネットショップで売上を伸ばす――。そして、村はわずか数か月で、周辺領地の住民が羨むほど繁栄していく。


「ふふ……面白いわね」

アイリスは笑みを浮かべる。村の広場で子供たちが新しい遊具で遊ぶ様子、農作物が豊かに育つ畑、倉庫に積み上げられた魔法道具――すべてが計算通りに機能している。


「空間支配と暴食、そしてネットショップ……これさえあれば、誰にも負けない村を作れるわ」


夕暮れ、オレンジ色の光が村を包む。アイリスは、遠くに広がる山並みを見つめながら、決意を新たにする。


――この村は、私だけの世界。

――誰にも邪魔されず、自由に、そして確実に発展させてみせる。


住民たちもまた、彼女の力と決意を信じ、少しずつ協力するようになる。荒れ果てた村が、生き生きとしたコミュニティへと変貌を遂げるその日々は、外れ三女の魔法と知識による奇跡だった。


「これで、村の未来は安泰ね……ふふ、やっと私の物語が動き出したわ」


アイリス・フォン・アスラの手による村改革は、こうして静かに、しかし確実に進んでいった――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ