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外れ伯爵家の三女、領地で無双する  作者: 森のカフェしっぽっぽ


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第1話 祝福と前世の記憶

伯爵家の三女、アイリス・フォン・アスラは、今日もまた父の書斎で重い溜息をついていた。

「……どうして私が、三女なのだろうか」


兄二人は既に立派な騎士として認められ、領地と家門の威光を背負っている。だが、セレスティアには何もない。魔法査定でも無属性、スキル評価でも「使えない」と烙印を押され、伯爵家の応接間では冷たい視線を向けられるだけだった。


そんな日常の中、今日は「祝福の儀式」が行われる日だった。

伯爵家の長女、次女、そして三女であるアイリスは、神殿にて正式に家族から祝福を受ける。王国では、生まれた家系の身分と将来を神殿の祝福で確認する習慣があった。


神殿の祭壇に立つと、淡い光が天井から降り注ぎ、祝福の祈りが空間を満たす。アイリスの胸は、なぜか高鳴っていた。

「……なんだか、懐かしい気分」


光が彼女の体を包み込む瞬間、頭の中にざわめきのような声が流れ込む。

――ここは、どこだ?

――君は、前にもここに来たことがあるはずだ。


アイリスは目を閉じた。その瞬間、脳裏に鮮明な記憶が蘇る。


――そうだ、この世界……これは MMORPG『ガイア』 の世界だ。


アイリスは前世、現実世界の少女だった。学生時代、彼女はゲームに没頭する日々を送っていた。特にこの『ガイア』というゲームは、領地経営、冒険、交易、討伐クエストまで楽しめる総合RPGで、彼女は時間を忘れてプレイしていたのだ。


「やっぱり……私、またやってきたのね」


彼女の目に決意の光が宿る。前世の経験があれば、この無属性魔法でも十分戦える。スキルだって、使い方次第で無限の可能性がある。


祝福の光が薄れ、儀式が終わった。神殿の司祭が彼女に微笑む。

「アイリス・フォン・アスラよ、あなたに祝福を授けよう」

「……はい、ありがとうございます」


表面的には普通に礼を言ったが、心の中では前世の知識を整理していた。


――まずはスキルだ。私のスキルは――

1.空間支配:倉庫や部屋を自在に拡張・縮小できる。ゲームでは倉庫カンストを回避する最強スキル。

2.暴食:食べたものを魔力や資源に変換できる。冒険でも経済でも便利すぎる。

3.ネットショップ:……これ、どう考えても当たりスキルじゃん!?


セレスティアは眉をひそめた。なぜ「ネットショップ」が当たり扱いなのか。普通のゲームなら、売買は簡単にできるだろう。だが、彼女の記憶では、特殊スキルとして「個人商店を開設できる」「販売手数料ゼロ」「外界と無制限の取引可能」というチート性能があった。


「……これ、まさか家族は理解していないんだろうな」


実際、伯爵家の顧問たちは彼女のスキルを評価しようともしなかった。

「空間支配?暴食?ネットショップ?ふむ…まあ、政治利用には向かないな」


その時、彼女はニヤリと笑った。


――ふふ、これで思う存分遊べるわね。


祝福の儀式が終わり、家族たちは豪華な晩餐へと向かう。セレスティアは一人、神殿の裏手に回り、周囲の景色を見渡した。王都の喧騒も、遠くの山々も、すべてがゲームの中で見た景色と重なっていた。


「さて……まずは村だわ」


彼女が目をつけたのは、伯爵家の領地の隅にある荒れ果てた開拓村。前世ではここを放置すると資源も人口も伸び悩む、いわば「クエスト報酬用の空き地」だった。だが、スキルと知識さえあれば、無属性魔法でも十分に変革できる。


「空間支配で倉庫や家を拡張して……暴食で資源を増やして……ネットショップで外界と取引……うん、完璧なプラン」


前世の経験を思い出したセレスティアは、胸の高鳴りを抑えられなかった。

「これからが、面白くなるわね……」


その瞬間、彼女の頭上で小さな光が瞬いた。

祝福の光は消えたが、セレスティアの中では新たな力が目覚め始めていた。無属性魔法は、単なる“空白”ではなく、自在に応用できる可能性を秘めている。


――よし、まずはこの開拓村を私の世界に変えてやろう。


そして、誰も気づかぬうちに、アイリス・フォン・アスラの冒険と領地経営の日々が始まった。


外れ三女として追い出される前に、彼女はすでに心の中で宣言していた。


「この村を、誰も見たことのない世界にしてみせる――!」


神殿の静寂の中、微かに風が吹き抜ける。

その風に乗って、アイリスの新たな物語が動き出した――。



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