他力本壊
「そいつはおっかねーなぁー」
ガハハと笑ってやがる。ヘロヘロパンチをカウンター気味に頭に手をおいてにぎにぎしてる。
こりゃあスキルで握力上げてるな。みしみし鳴き出したよ。
ARゴーグルに『CAUTION』て表示出たよ。
「制作者さんが怒り出すから、その辺でやめといて」
「んどおした、軽く撫でてるだけじゃねえかよ」
「これねえ、制作者さん達の力作なんだよ」
「関係ねえよ」
「そう………」
ガハハがニタニタに変わった。大人げないというか、他人の装備だぞ。
「これ壊れちゃうと開発主任した家の侍女長さん悲しむだるなぁー」
「えっ、侍女長って・・・」
「うん、むかーしむかしヲタ村ってとこで『紅ツナギの工房長』て言われてたって」
「ほう・・・」
「設計とデザインはねー、ねー様の幼馴染で王都の学園に家人枠でついてってくれて今はメイド見習いしている人なの」
「ほう・・・」
「でねぇ、たった今『DANGER』って云ってもわかんないよね。簡単に言うとちょっと前から『緊急通報』が開発メンバーに送られてたんだ。そろそろ来るよ。どっちかな」
「・・・・・」
「まぁー時間の問題かな。それまでにこの依頼の受託するから処理してよ。間に合えばなにかフォローの一言ぐらいは、ねっ」
「あっあー・・・」