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自分らしさという檻の中でもがいているなら

朝。


空は晴れ渡り、窓の外では鳥が鳴いている。

「こっちの世界でも早朝のハトは癖のあ「……ぅぉおおおおお!!? 痛ってぇえええ!!!」


全身の筋肉が悲鳴を上げている。

昨日の比ではないレベルの激痛だ。


(昨日の素振り1100本……完全にやりすぎた……ッ!!)


寝返りを打つだけで関節がギシギシ音を立てる。

腕は動かそうとするたびに鈍い痛みが走るし、脚に至っては痙攣しているレベルだ。


「ノイア、俺の筋肉痛レベルを数値化してくれ……」


<現在の筋肉ダメージ値、限界値オーバーです。>


「数値化もできないとかもう死んでるレベルじゃん・・・」


ノイアの無機質な回答に絶望していると、突然、扉が乱暴に開かれた。


「いつまで寝ている。今日も訓練だ。」


アリシアだった。

なんだか昨日よりも元気がいいような気がする。


「いやいやいや、無理無理無理無理!!

今日は休みだろ!? 昨日あんなに頑張ったんだから!!」


「何を言っている。訓練は毎日やるものだ。」


「いや、人間には休息が必要なんだよ!!」


「そんなものは、甘えだ。」


「……こいつ、やっぱサイコパスだろ。」


「あと、おまえ昨日の素振り700本目くらいからちょっと手を抜いてたな。

 本当なら今日も500本素振りさせるところだったが私もそこまで鬼じゃない。

昨日の頑張りに免じて見逃してやる。」


・・・何故かわからないがアリシアが女神に見えた。


そんなこんなで昨日に引き続き、強制的に訓練場へと連行される。

これ、雨だったら休みとかになってたんだろうか。



「今日は基礎体力向上と模擬戦をやる。」


そう言って、アリシアは俺を訓練場の外周へと連れて行く。


「まずは走れ。」


「……え?」


「足腰を鍛えなければ話にならん。最低でも訓練場を10周しろ。」


「10周!?バカ言うな! 俺もうすでに死にかけてるんだが!?」


「なら、今ここで死ぬか?」


「極論すぎるわ!!」


とはいえ、逃げる術はない。


(くそっ!死にたくないし走るしかねぇ・・・。

 ノイア、外周の長さはどんなもんだ?)


<外周は約1500mほどになります。>

(あら無駄に広いのね)


俺は重たい体を引きずりながら、なんとか走り出した。


30mほど進んだところで——


「はぁっ……はぁっ……ま、マジで無理……」


全身の筋肉が悲鳴を上げる。


(これ10周どころか1周も無理じゃねぇか!?)


「情けないな。せめて5周は走れよ。」


「いや、すでに人間の限界なんだが?情けの無いのはお前なんだが?」

もう声にならない声である。


<マスター、体力消耗を抑えるフォーム解析を開始します>


「そういうの最初から言えって!!」

しかし昨日といい今日と良い、ノイアの”最適化”は本当に凄い。

ここは全力で頼るしかない。


ノイアのアドバイスに従い、"効率的な走り方"を試す。


・無駄な動きを省く

・一定した呼吸

・腕の振り方を最適化


(おお……なんか、ちょっと楽になった気がする!!)


それでもキツいことには変わりないが、少なくとも1周はできそうだ。


「ふむ……今のは悪くない。」


アリシアが微かに感心したように頷いた。


「ここからが本番だからな。5周だけでいいぞ。」


俺のクライマックスはとっくに終わってるんだけどな・・・。

そんなこと言えるわけもなくただただ走り続けた。



「さて、次は模擬戦だ。」


訓練場の中央に立つアリシアが、木剣を手に持つ。


「今日は、お前の"戦い方"を見つける。」


「ちょ、ちょっと待て! そもそも俺、戦えるレベルじゃないんだが!?」


「貴様は異端者だ。異端者には異端者の戦い方がある。」


そう言うや否や、アリシアは木剣を構えた。


「——始めるぞ。」


(マジかよ……!!)


俺は慌てて木剣を握りしめる。


「お、お手柔らかに——」


——その瞬間。


視界が揺れた。


「なっ——!!?」


俺が一瞬でも気を抜いたのがまずかった。


気づいたときには、アリシアの剣が俺の首元にピタリと当てられていた。


「終わりだ。」


「……マジで、強すぎんだろ。」


アリシアは淡々と剣を下ろす。


「まだまだ話にならん。」


「いや、そりゃそうだろ!! 俺、異世界来たばっかだぞ!?」


「ならば、異端者らしい戦い方を身につけろ。」


「異端者らしい戦い方……?」


「そうだ。普通の戦い方では、運命持ちには勝てん。

 私はもちろんのこと、運命持ちは全員もれなく超常的な力を持っている。

 それらに対抗するのに、ただ体力や筋力があるだけでは話にならん。

 そして、普通の剣術や戦術でも相手にならない。」


「……つまり、俺は"普通じゃない戦い方"をしろってことか?」


アリシアは微かに笑みを浮かべた。


「異端者らしく、貴様だけの戦い方を見つけろ。

 私にワインをぶっかけてくれた時のようにな。」


(ちょっと根に持ってるのかな?)



俺は木剣を見つめながら、小さく息を吐いた。


(……確かに、普通に戦っても勝てる気がしねぇ。)


「ノイア、俺の戦い方の最適解を教えてくれ。」


<ハルの最適解は相手の動きを"予測"し、想定外の動きを取り入れることです。>


(なんかアリシアの未来視と似てる気もするけどそれとはまた違うのか?)


<ハルには未来を読む力はありません。

しかし、私の分析力とハルの直感で相手の動きを読むことができると思われます。>


「なるほど!つまりどういうことだって?」


<「相手がうろたえるほどに予想できない行動」

をとれば隙を生むことができるということです。>



俺は木剣を再び握り直し、アリシアを見据えた。


「……少し、わかってきた気がする。」


「フッ、ならばやってみろ。」


「……お手柔らかに頼むぜ。」


何者でもない俺だけの戦い方・・・。

ここでいっちょ見つけてやるとするか。


ノイアとハルの会話表現を変えてみようかなと思い試行錯誤しております。

読んでいる方が混乱しないようこれ以前の話も修正してみようと思ってます。

ご迷惑おかけします・・・。

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