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エピソード10.5 男が一番震える武器

なんてこった・・・10話を投稿するの忘れてたみたいです・・・。

「剣とフィナ・ロシュと、俺」

「異世界で いきなりそんな命懸け それは流石に聞いてなかったわ(字余り)」

の間の話になります・・・。


読んでいただいてる人は突然武器を持ってたことになりましたね・・・すみません。


大事な部分が抜けてるとか恥ずかしい・・・。


訓練の翌日。

俺は今、アリシアに連れられて街の市場に来ていた。


「……で、ここに何しに来たんだ?」


「お前の武器を探す。」


「……え、俺の武器って木剣じゃないの?」


「何を言ってるんだ?木剣は訓練用だ。

本気で戦うには、お前に合った武器が必要だろう。」


「なるほど……って、そもそも俺に合う武器ってなんだよ。」


「それを探すために来たんだろうが。」


(完全に丸投げやないかい……)


市場の武器屋が立ち並ぶ一角。剣、槍、斧、弓、短剣、

見たことない謎の武器までズラリと並ぶ。


「ノイア、なんか俺に合いそうなのあるか?」


<分析中。ハルの筋力・反応速度・戦闘スタイルを考慮……推奨武器、なし。>


「いや、ゼロ!?俺もう素手で戦うしかないの!?」


<補足:ハルには“特化した武器適性”が現在存在しません。>


「適性なし!運命も持てないし適性も無い!もうモブでやらしてくれよ!」


号泣する俺を俺を見て、アリシアはフンと鼻を鳴らした。


「なら全て試せ。振って、使って、しっくりくるものを探せ。」


俺は言われるままに試し始めた。


片手剣→重いし振り回せない

両手剣→そもそも振り上げられない

槍→リーチ長いけど扱いづらい

弓→当たらん

斧→ロマンだけは感じるが重たい

短剣→なんかしっくりこない


他にも鉄球に鎖がついたものやヌンチャク、鎌などいろいろ触ってみるものの

これといったものは見つからない。


(ダメだ……全部それっぽいけど、なんか違う。)


「おいアリシア、俺、武器使う才能、マジでないかもしれない。

 もうあの木剣でいいよ・・・あれが一番しっくり来たわ。」


「……甘えるな。才能で選ぶな、相棒として選べ。」


「相棒……」


武器屋の隅に、妙に地味な一角があった。

そこにあったのは、鉄の棒みたいな形の、いわゆる仕込み武器。

現実の武器で言えばトンファーのような形をしている。


「これ、なんだ?」


「それは“多目的武具”だな。柄の部分にギミックがあって、伸びたり刃が出たりする。」


「へぇ……」


聞くところによると、この世界では珍しいタイプのギミック付きの武器らしい。

店主曰く、物珍しさで店頭に置いてはいるものの、これを購入した人間はこれまでいないとのことだ。


確かにこの世界で戦う人間はみんな運命持ち。

決められた能力や運命を持っているのだから、この変化する武器は使いづらいのかもしれない。


まさにこの世界のルールに縛られない異端者の俺にはぴったりの武器なんじゃないか。


俺はそれを手に取ってみた。

正直トンファーなんて人生で触れることなんてないよくわからない武器だ。

・・・いや冷静に考えて他の武器も触ることはないけども。


持った瞬間——なんか、しっくりきた。


重さもちょうどいいし、手に馴染む。

何より、「何にでもなれそう」な感じがした。


「ノイア……」


<脳波・筋肉反応・握力……一致率78%。現在までで最適です。

 この武器は基本的にはトンファーの形をしているようですが、

 ボタンを押したりの組み合わせで剣の形にもなるようです。>


(オイオイ・・・なんて夢のある武器なんだよ!!)


<この武器であれば、ハルの戦い方の幅が広がり、勝率も高くなると思われます。>


「これにする!」


「ふむ、意外だな。もっと目立つものを選ぶと思っていた。」


「78%の一致率だからな!これが一番マシらしいぜ!」


「78%?」


しれっと変なことを言ってしまったような空気になり、

焦った俺はその場で構え、軽く振ってみた。

おお、回しやすい!なんとなく昔から知っているような感覚だ。


テンションの上がった俺は

「よし、これに名前つけよう。」

と笑顔で言ったのだが、アリシアはまた眉をひそめた。


「名前……?」


「だって、相棒って言ったじゃん?」


アリシアが呆れ顔になりつつも、少しだけ笑った。


「好きにしろ。」


「ふふっ……名付けて、

『スーパーチェンジリングトンファービームチェンジャー』!!

 我ながらかっこいい名前だな!!」


それを聞いた瞬間にアリシアが珍しく吹き出した。

「……やっぱやめたほうがいい。」




そんなこんなで俺の武器はこのトンファーっぽいものに決まったのであった。

新しい武器を手に入れた俺は、

早速アリシアに連れられて訓練場へ戻ってきていた。


「今日は、その武器の“扱い方”を試す日だ。」


「お、おう……でもまだ全然慣れてないけどな……」


俺の手には、昨日の市場で手に入れたトンファー型の変形武器。

名称はまだ仮だが、今のところ“スーパーチェn——”やめよう、まだその話は早い。


アリシアが何やら倉庫から大きな布をかぶせた物体を引っ張り出してきた。


「これを使う。」


「……なんか出てきた!? なにこれ!? 木の人形!?」


「訓練用の木人だ。ちゃんと関節も動くようになっている。

 攻撃すれば反撃もしてくるから、試し斬りにはちょうどいい。」


「ええじゃねぇか!昔のカンフー映画で見たことあるぜこういうの!!」

カンフー映画が大好きだった俺は勝手にテンションが上がっていたが、

アリシアはあまり興味がなさそうな顔で俺に手で合図する。


「好きに振ってみろ。その武器の挙動を試すには最適だ。」


「……わかった。ノイア、武器の使い方、なんかヒントは?」


<起動ギミックを順に試してみてください。

 まずは柄の部分を回転、次にボタンを押し、振り下ろすと——>


カチッ。


「……え? なんか刃、出てきたぞ……?」


トンファーの側面から、鋭い刃が一瞬で展開される。


「おおおおおお!! 変形したぁああ!!!」

「なんだこの厨二心をくすぐる感じ!!めっちゃ好きぃぃぃ!!」


<なお、柄の先端を引き抜くことで槍モードになります。

 また、両側のギミックを連動させれば棍モードへの切り替えも可能です。>


「なんでもアリかよこの武器……!!」


俺はテンションが上がり、木人形に向かって剣モードで斬りかかる。


——ドカンッ!!


「!? いったぁぁあ!!?」


反撃機能付きの木人形が、俺の攻撃に反応してバチンと拳で反撃してきた。


「ノイア!?こんなの聞いてないぞ!?」


<事前に説明しました。「反撃もしてくる」と>

<あと木人形は筋力補正ありなので、普通に痛いです。>


「この世界、訓練が本気すぎるんよ……!」


数回の攻防のあと、俺はようやく武器の扱いに少しずつ慣れてきた。


アリシアは腕を組んで俺を見ていた。


「……意外と動きが良いな。」


「昨日より身体が軽いし、なんか感覚的に振れるんだよな……」


「ノイアの最適化の影響か。……それにしても、その武器。

 まるで、最初からお前に合わせて作られていたかのようだ。」


「……そういえば、誰が作ったんだろうな。この武器……」


<製造者の情報は不明。ただし、内部構造に"高位錬金技術"の痕跡あり。

 一般の鍛冶師では到底不可能なレベルです。>


(……もしかしてこの武器も、俺がこの世界に来る前から、

 ノイア……いや、"何者か"によって用意されていたのか……?)


ぼんやりとそんな思いを巡らせながらも、

俺は武器を振るう手に、少しずつ確かな自信を感じていた。


「……これが、俺の武器。」


「ふっ、その顔……少し“戦士”らしくなってきたな。」


「じゃあ、そろそろ正式に名前つけるか?」


「やめておけ。ろくな名前をつけない未来しか見えん。」


「それ、未来視で見えたのか?」


「違う。確信だ。」


俺はニヤリと笑った。


「じゃあ、名前はまた今度考えるとして……

 この武器で、俺は戦えるようになる。」


少しだけ、そんな気がした——。



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