バケツに注意?
○文具屋[煤本堂] 店の真ん中から現れる。
一点と一画に腕を捕まれたまま連れてこられた佳苗。状況がわからず辺りを見回すと店の奥からおじいさん(煤本耕造)とおばあさん(煤本青香)が出てくる。
佳苗(ここどこー!?)
耕造「おやおや、こんな所に出てきて」
一画「どうせお客なんていないだろ」
一点「ったく……」
青香が佳苗に近づき、優しく声をかける。
青香「大丈夫かい?」
佳苗「あ、はい。あのここって……」
青香「ここは文具屋[煤本堂]だよ。というか、あの子達は何も言わずに連れてきたのかい……」
無言で一点と一画に拳骨する青香。悶絶する二人を置いて佳苗を部屋の奥へと促す。
一点、一画「いってーっ!」
青香「バカは置いといて、とりあえずお茶しようかね。耕造さん、そのバカたちはお願いしますよ」
耕造「ほいよ」
○煤本堂の奥、住居スペース ちゃぶ台にお茶を用意され一息つく。
佳苗(あ、おいし)
青香「落ち着いたかい?」
佳苗「あ、はい」
青香「お名前は?」
佳苗「木月佳苗です」
青香「佳苗ちゃんね。あたしゃは煤本青香。あの子らのばぁちゃんさ。すまないね。何にも説明されることなく連れてこられちゃったんだろう?」
勢いよく頷く佳苗。呆れた顔で頭を下げる青香。
佳苗「はい、そりゃもう。学校も休んじゃって……」
青香「まったく……ほんとすまないね。学校はどうにかするから、心配しないでな」
佳苗「はぁ……」
佳苗
青香「……さて、いろいろ知りたいことだらけだろう? あの子らのこと、ススコさま、バケツ、ブレスレットそれに、澄香のこと」
佳苗「……はい」
消えた澄香を思い出す佳苗。
佳苗(澄ちゃん……)
立ち上がる青香が奥の襖に手を掛ける。
青香「全部教えてあげる。だから佳苗ちゃんもそのブレスレットと澄香のこと教えてね」
佳苗「はい」
佳苗は立ち上がり、青香に続いて奥の部屋へと入っていく。