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文字に注意?

周りをきょろきょろとし出す一点と一画。時折ポスターに近づいては隅々まで見ていく。静かな空気にいたたまれなくなり佳苗がニゴウに小声で話しかける。


佳苗「あの……ニゴウくん? だっけ?」


ニゴウ『? なぁに? オネーサン』


佳苗「あの人たちはいったい何をしているの、かな?」


ニゴウ『ススケを探しているんダヨ!』


佳苗「ススケ?」


ニゴウ『ススコさまがイタズラで文字を変えちゃうノ』


佳苗「……ススコさま? イタズラ?」


ニゴウ『うん! イタズラ好きナノ。でもススケをそのままにしちゃうと大変になっちゃうカラ、ボクたちがお掃除してるノ!』


佳苗「……へぇー、そう、なんだ……」


佳苗(うん。さっぱりわからん……)


佳苗「じゃ、じゃあ、今は何をしているの?」


ニゴウ『文字を探してるノ!』


佳苗「文字?」


ニゴウ『うん! いつもと違う文字がイタラ、それがススケなんダ、って一画さまが言ってタ』


佳苗「いつもと違う文字……」


ポスターや電光掲示盤に目を凝らす佳苗。

ポスターの[野森駅]が[野森験]

ポスターの[承ります]が[承まわります]

掲示板の[広告]が[交告]になっている。


佳苗「……あ」


ニゴウ『どうしたノ?』


佳苗「文字、見つけちゃったかも?」


ニゴウ『エー?!』


したり顔の佳苗。驚いたニゴウは一画たちの元へ飛んでいき、興奮気味に報告するニゴウ。


ニゴウ『一画サマ! イカスサマ!』


イカス『ニゴウ、どーしまシタ?お仕事場から離れてはいけませんヨ?』


ニゴウ『ごめんなサイ! デモ、オネーサンがススケ見つけたって言っテテ……』


イカス『オヤ?』


一画「ほんとか?!」


ニゴウの報告に驚く一画。ずんずんと佳苗の元へ走ってきて両手を取る一画に顔を真っ赤にして固まる佳苗。


一画「君!」


佳苗「……ひゃぇ」


イカス『ノー! 一画! 先ほどからレディに対してなってまセンヨ!』


イカスに強く言われ、しぶしぶ手を離す一画。手を捕まれたままの形で固まる佳苗。イカスの声で我に返る。


一画「あ! ごめん……」


イカス『ソーリ、レディ。お怪我ハ?』


佳苗「あ、へ、平気。ありがとう、イカスくん?」


イカス『イエ。さてレディ。ススケを見つけたと聞きましたガ?』


一画「そうだ! どこにススケがいる?!」


ズイと佳苗に近づいてくる一画。イカスといつの間にか来ていた一点が同時に制止をかけ、一点は一画の肩を掴む。


イカス、一点「『一画』」


一画「……う」


すごすごと戻る一画。代わりに一点がにこやかに佳苗に近づいてくる。


一点「ごめんなー。こいつ興奮すっと見えなくなっちまうんだ」


佳苗「い、いえ……」


佳苗(こっちの人もかっこいい……)


一点に見惚れほんやりする佳苗。そんな佳苗に首をかしげる一点。手に持ったタコミが笑い出す。


一点「? どうしたんだ? この子?」


タコミ『フフ。気にしないノ、一点。ネェ、あなた、一点に見惚れるのもいいケド、ススケの場所教えてくれないカシラ?』


タコミの言葉に我に返る佳苗。文字が変わってる所を指差していく。


佳苗「あ! はい! あっちとあっちとあそこです!」


タコミ『フフ、ありガト。さ、一点、一画ささっといくワヨ』


タコミに促され、一点は[承ります]に一画は[広告]の元に向かっていく。ポツンと残された佳苗はニゴウに話しかける。


佳苗「ねぇ、ニゴウくん」


ニゴウ『どーしたノ? オネーサン』


佳苗「二人は何をしてるの?」


ニゴウ『おそうじしているノ!』


佳苗「おそうじ……うん、確かに」


佳苗(確かにお掃除してる……うん)


佳苗とニゴウが話している時、一点はハンディモップを、一画は取り出した布を文字に向けて使うと黒色のキラキラした粉が空気中を舞うのをタコミとイカスが受け止めていく。


佳苗「何かを取ってる……?」


ニゴウ『ススなノ! 大事なノ!』


佳苗「……そぉなの」


佳苗(うん、わからん!)


掃除を終えた二人は残る[野森駅]の方へ向かっていく。その時、[野森駅]が黒く滲んでいくのが見えた佳苗。声を上げる。


佳苗「!? あの! 何か変な感じにっ!」


一点、一画「!?」


佳苗の声に身構える二人。[野森駅]の滲みがどんどん色濃くなり形を成していき、大きな真っ黒の羽子板と羽になる。羽子板が羽を叩き、羽が弾け飛び散ってくる。


佳苗「羽子板と羽? ……わっ!?」


ニゴウ『オネーサン!』


佳苗まで飛んできたものをニゴウが受け止める。


佳苗「! 大丈夫?! ニゴウくん!」


ニゴウ『だいじょうぶダヨ!』


くるくるとその場を回るとニゴウについた黒色の液体が飛び散り、その後を掃除していくニゴウ。大丈夫そうなニゴウに安心し、一点、一画の方へ目を向ける佳苗。

タコミが吐き出した黒い壁が二人への攻撃を防いでいる。


一点「サンキュ、 タコミちゃん! 墨電池、大丈夫か?」


タコミ『大丈夫ヨ、一点。でも、墨幕は墨電池を使いすぎるワネ』


攻撃の合間から羽子板を伺う一画。羽子板は少しずつ大きくなり攻撃も勢いを増している。


一画「ススケ化になってる。早くしないと危険だな。それに、イカスくんも墨電池をだいぶ消耗してるだろ? 」


イカス『だいじょーブデス! といいたいところですガ、だいぶ墨電池を使ってマスネ』


羽子板からの攻撃が止まる。が、特大の羽が作られつつある。


一点「おっと、あれが打たれたらヤバイな。さくっと片付けよう、一画!」


一画「あぁ、一点!」

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