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掃除に注意?

○桜が舞い散る明るい場所 幼い主人公と同じ歳くらいの少女が向かい合っている。


少女が幼い主人公(木月佳苗)(16)に貝のチャームのついたブレスレットを差し出す。その光景をぼんやりと見ている今の佳苗。


今の佳苗(あの時の、なつかしい……)


少女「これ、あげる!」


幼い佳苗「……いいの?」


少女「うん! この子も佳苗ちゃんと一緒にいたいって言ってるから! 佳苗ちゃん大事にしてくれる?」


佳苗「うん! 大切にする! ありがとう、澄香ちゃん!」


今の佳苗(澄ちゃん……一緒にいたいって、誰、?)


稲「佳苗!!」


今の佳苗「!!」


○ベッドの上 主人公のおばあちゃん(木月稲)によって掛け布団がひっぺがされる。


ベッドから落ちる佳苗。寝起きの顔でおばあちゃんを見上げる。


佳苗「おばあちゃん、もっと優しく起こしてー……」


稲「お前さんはちょっとやそっとじゃ起きないからねぇ。ほれ、朝ご飯出来とるから顔洗ってシャキッとしてき」


佳苗「……はぁい」


稲が部屋から出ていく。立ち上がり枕元の小さな机の上に置いてある青い貝殻のチャームがついたブレスレットを手に取る佳苗。


佳苗「懐かしい夢だったなぁ……。もしかしたら今日、澄ちゃんと再会できるってこと? ……なんてね」


鞄の上にブレスレットを置き部屋を出る佳苗。青い貝殻が微かに動く。


○玄関 靴を履く主人公。


制服にブレスレットを着けた右手で靴を履きながら稲に声をかける佳苗。稲が奥から出てくる。


佳苗「おばあちゃーん、学校行くねー」


稲「あれ? 今日は早いねぇ。なんかあるのかい?」


佳苗「なにもないけど、商店街通って行こうと思って。お店とかだいぶ変わってたし」


稲「そうだねぇ、佳苗が小さい頃とは違っているかな。でも、早いからまだやってないと思うがねぇ」


佳苗「わかってるって! 朝は見るだけ!寄り道は放課後! 行ってきます!」


稲「寄り道はほどほどにねぇ。行ってらっしゃい」


○野森駅改札口近くの商店街 主人公が駅へ向かっている。


お店、すれ違う人に目を向ける佳苗。


佳苗(この商店街も昔とは変わったなー。お洒落なお店も増えてる。寄り道が楽しみー)


佳苗が通りすぎる前の黒いモヤがかかった電柱の看板の[野森駅→]が佳苗が通りすぎると[野森駅←]になる。


○野森駅改札前 電光掲示盤には次の電車の発車時刻が表示されている。


スマホを左手に持ち、電光掲示盤を見上げながら改札口へ近づく佳苗。


佳苗 (遅れなし。いつもより早いけど乗っちゃお。到着はーー……)


左手でスマホを操作しながら右手に持った定期入れをタッチパネルに近づける。右手首のブレスレットの貝殻が定期入れとタッチパネルの間に挟まれる。

改札口を通ると同時に見えない壁も通る佳苗。


○野森駅改札内 人がいなくなった改札内。


周りの景色が変わったことに気づかずスマホを見ながら進む佳苗。そのまま歩いていると何かを蹴飛ばしてしまう。


イチゴウ『イタっ!?』


佳苗 「え! ご、ごめんなさい! ……はれ?」


顔を上げるが前には誰もおらず、駅の異変に気づく佳苗。


佳苗「……え、あれ……?」


きょろきょろと周りを見回し、戸惑う佳苗の下から声がかかる。


イチゴウ『ここデス!』


佳苗「? ……へっ!?」


声の方へ目を向ける佳苗。そこにはイカの形をした自走式掃除機(イチゴウ)が佳苗を見ながら怒っている。


イチゴウ『モウ! 何するのデスカ! ながら歩きはいけナイとよく一点様も一画様に申しておりマス!前方不注意ですヨ!』


佳苗「す、すみません……」


イチゴウ『マッタク……ハっ! わたくしまだお仕事途中でございマシタ! 行かなければ……! デハ!』


佳苗「え、ちょ、ちょっと待ってーー……」


走り出すイチゴウ。呆然と見つめる佳苗。ふと我に返り慌て出す。


佳苗「ちょ、ここどこ? 駅、だよね? で、さっきの何? しゃべるイカ、の掃除機?!」


イチゴウはそのままホームに上がる階段の方へ進んでいる。


佳苗(人はいないし、イカの形した掃除機蹴飛ばしちゃうし、もうなんなの?! )


泣きそうな顔でイカの後を追いかける佳苗。ホームへの階段を飛んで登っていくイチゴウ。その光景を呆然と見上げる佳苗。


佳苗 (へぇー、今時の自走式掃除機って階段飛ぶんだぁ。って! んなわけないでしょ!)


イチゴウが見えなくなり、ホームの方から声が聞こえてくる。


「……、……い!」


佳苗 (誰かいる!?)


階段を駆け上がる佳苗。ホームにたどり着く。

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