六話. 恋は黒糖の味
ちょっと時系列が戻ります
私は清水京子。群馬高校の美少女、ピチピチの女子高校生よ!
ずっと頑張って勉強していてネズミの王国に行ったこともないわ。もちろん彼からのお誘いがあれば別だけど……彼、シャイなのよね
私ね。好きな人がいるの。彼はちょっと変な人だけどユーモアがあって面白いわ。思慮深いところもあるし、なにより将来の夢が『医者』! ただ、自分の中で完結してるようなのが玉にキズ。でも、そんなところもいいよね。
「ふっふっふ」
「何笑ってんのキモチワルイ」
あぁ、私としたことが。私、素直になれないの。脊髄反射で酷いこと言ってしまったわ。
……でも、彼と話をすることができた!やった!笑ってる彼も素敵ね
幸せすぎて急に心配になってきた。なにか悪いことが起こるんじゃないかって。そんなわけないのに
*
あ、そうだ。四時間目は英語だった。単語テストがあるんだっけ……
悪い事ってのはきっとコレね。
昨日寝る前にちょっと勉強したけど覚えてるか心配だなぁ。単語テストがあることも忘れてたぐらいだし……
友だちと問題の出し合いっこでもしましょうか。
「よーし、お前ら全員いるな。英単語テストするぞ♡」
「いやだー」「助けてくれ!」……
はぁ、騒いでる男子共はうるさいわねぇ。私が単語を覚えているうちに早くテスト配って欲しいんだけど
「先生。早く始めましょう」
(!!)
彼がテストを配るよう言ってくれた!! まさか私のため!?
私のことを考えてくれてたの?
やっぱり、彼も私のことが好きなのね!
*
テストの点は85/100点だった。彼のことを考えてたらnとmを間違えて書いてたわ。失敗、失敗。
次はそんなことがないようにしなきゃ。
「よーし、全員いるな。テスト返すぞ〜」
「!?」
テスト返し!?
……最悪ね。番号順で並ぶと彼の番号は私の一個前(ここも運命を感じる)なので先生の声が聞こえちゃったんだけど、彼の点数はあまり良くないらしい。
こうなると、彼は自分の世界にのめり込んで出てこないのよ。
あぁ、一緒に帰ろうと思ったんだけどなぁ。
まぁ、また後で誘えばいいよね。今日でさいごじゃないんだし。
私、黒糖は嫌いなんですよね。