五話. 何をしようか
「まず……」
「そりゃあ美味しいわけないじゃないですか。何を期待してたんですか?」
めっちゃまずい。噛みごたえも最悪だ。
「めっちゃまずい。噛み切れんし、ぬるぬるする」
「そんなにいやなら吐き出せばいいじゃないですか」
「……」
「そうですよね。だせませんよね。あなたは人を食べる化け物。みすみす食べ物を逃すわけない。そうだ!伝え忘れていたことがありました。あなたはもう立派な化け物なので人から命を狙われます。当たり前ですよね。よって、その短剣を有効活用するのをおすすめしますよ。それで斬りつければ魂がちょっと斬れるんです。あなたの体に魂を取り込みやすくなりますよ。」
「……」
「今のあなたは『吸血鬼』を名乗るただの人間とそう変わりません。そうですねぇ。あと、40Lぐらい血を飲めば、次の段階に行けるのではないでしょうか。わかりやすく言うとだいたい10人とちょっとぐらいですね。ただ、短剣を使ったり肉を喰らえばもうちょっと少なくても良いかもですね。はぁ、こんなに話すのは初めてですよ。饒舌キャラじゃないのに。出血大サービスってやつですね、吸血鬼だけにね。では、育ったらまた来ますよ」
ダニエルは黒い点へと飲み込まれていった。
これで芝田心平ただ一人。いや、もう芝田ではないかもしれない。
(これからどうしようか。別に家に縛られているわけでもないし、両親がいなくなったことは問題になるはずだ。)
「だったら……」
寒いのは苦手です