四話. 『吸血鬼』になろう
「素晴らしい。いいですね〜。すごくいいですよ、才能がありますね」
だれだ
「私ですか?ひどいですよ。さっきまで話していただじゃないですか」
だれだ
「そういえば名乗ってませんでしたね。私の名はダニエル・ジョンソン。しがない悪魔ですよ。あ・く・ま♡」
「ああああああぁぁぁぁぁ」
「おっいいですね。活きが良い。まぁ、吸血鬼は死なないとなれないので丁度いいでしょう。」
「死んでください」
つらい。寒い。冷たい。悲しい。眠い。ひどい。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。し。し。し。
死
PiPiPiPi,PiPiPiPi
「はっ」
夢か。惨々だったな。
「母さん。おはよう」
嫌な家族だが、いないよりいたほうがいい。
「母さん?」
どこにいるんだ?
「かあさ
そうだよな。夢でもあんなの見ないよな。でも、あまり忌避感はない。
「うーん。どうしようか」
なんか見てて美味しそうに思えてきた。とりあえず肉片はビニール袋にいれて、でかいのは小さくしておこう。
「化け物だな」
あっち側に引っ張られたのかもしれない。まぁ、考えても仕方がないが、
「めんどくさい」
父さんも同じようにしておこう。仮にも愛し合っていたんだし、おなじようにすれば問題ないだろう。
「片付けたけどどうすればいいんだ」
うーん。なにも思いつかない。ん?
なんだこれ。置きメモか?
しんちゃんへ
お母さんゴメンね。ずうっとこんなんだよね。嫌な家族だよね。でもね、あなたの心配をしているの。あなたは私に愛されているの。だから、こんな私でも愛して
母より
なんだこれ。母さんがこんなこと言うわけ無いだろ。
とりあえず、燃やすか。
「いや、やめてくださいよ」
振り向くとそこには140cmぐらいの幼女がいた。
「あれ、私のこと忘れたんですか?ダニエルですよ。ダニエル」
「ダニエルは男のはずだ」
「いやあ、堅苦しい話は男の体のほうがそれっぽいじゃないですか。それでですね、あなたには血を吸ってもらいたいんですよ」
「なんで?」
「そうですね。魂はあなたにあげた短剣のおかげで回収できましたが、あなた自身の力がないと絶望をあたえるのが難しいんですよ。もっと圧倒的な力でねじ伏せて絶望を集めてほしいんですね。あなたにも悪い話じゃないでしょう?」
「どうすればいい?」
「簡単です。その肉を食べればいいんです。血肉には魂の残滓が残る。ほら、よく腕を無くした人とかもない腕を感じたりするじゃないですか。アレですよ。特に『吸血鬼』は血から魂のエネルギーを集めるんです。」
「人の肉を食べる」
ふーん。やってみるか。
あれ、手紙は?(すっとぼけ)