十四話. 校長先生の話ってめっちゃ眠くなるよね
え、1ヶ月も更新が遅れた理由ですか?
え、ええーとですね。それには深いワケがありまして。あ、そうだ。実はですね。結構な理由があるんですが、本編のネタバレになっちゃうので言えないんですよねー。ああ、残念だなぁ。伝えたいのになぁ。
……この伏線回収はいつかするかも?
「これから、学校集会を始めます。校長先生のお話。校長先生おねがいします」
「長期休暇も終わり、生活リズムも整ってきた頃かと思いますがいかがでしょうか。さて、私から皆さんにお知らせがあります。最近、近隣住民の方が行方不明になることが多くなっています。決して他人事ではありません。皆さんの横を見てください。その人はどうしていないのでしょうか。その理由を把握していますか?本校はそういった面をしっかりしていく必要があると思います。ですので……」
もうそろそろかな。
「これからは「黙れ」……」
「え」
ゲームの始まりだ。
*
誰も、生徒や先生でさえその光景が理解できなかった。
「その場から動くな」
「…っお前‼ 何をやっている⁉」
そう声を発したのは体育教師であり生徒指導の先生でもある人だ。
「ん?」
「お前‼ ナイフを捨てろ‼」
そう言って、ズカズカとこっちに近づいて来た。
「止まれよ。手が滑って刺しちゃいそうだ」
「止まってください。私はまだ死にたくありません」
「っ」
校長の呼びかけでやっと止まった。
「おお、随分冷静だねぇ。首にナイフを刺そうとしているのに」
「それはそうです。ここでナイフを刺してしまったらあなたは取り押さえられてしまうでしょう? 死なばもろともかもしれませんが、だったらそういう状況に持っていかなければいいだけです」
「ほー。やるねぇ」
その場にいた多数の人はナイフをもって人質をとっている生徒と人質になっている校長が冷静に会話しているのが信じられなかった。
「さぁて、みなさん。皆さんにやってほしいことがあります。と言っても5人だけいればいいんですけど。ええっと、1年1組10番、1年8組40番、2年4組1番、3年1組20番、3年8組10番……この5人は前に来てください」
このような状況で動ける人はいない。いつもの生活から突然狂った世界に放り込まれ、スポットライトを浴びたのだ。短絡的に考える者以外動けようがない。
「早くしてもらえませんかねぇ。暇なんで校長にナイフをギリギリまで近づける遊びやってていいですか?」
言外の意味を察した担任たちがその生徒に向かうよう指示を出す
「従うのよ。大丈夫、殺されないわ」
「そうですよ。殺しません。だから、命令に従ってください」
考えるのを放棄した生徒は命令に従順に従う。数も少ないため、切れ者が交じる可能性も少ない。
「動かないでくださいよ」
そう言って芝田は壇上から降りる。
「さて、君たちにはまずアルコールランプを取ってきてもらいたい。壇上に5つ、人数分隠してある。それをもって元の場所に戻ってくれ。ああ、そうだ。火は付いているから落としたりしないでくれよ。危ないからな。以上だ」
5人の生徒は互いに顔を見舞わせ、3年生から動き始める。
「あー、下手な真似はよしてくれよ。外にいる仲間がここを包囲している。私はそれを手伝っただけなんだからな」
「……取引しませんか?」
そう校長が切り出した。
「校長。まだいたんだ。逃げてても良かったのに」
「生徒を危険に晒すわけにはいきません。取引しましょう。私の望みは生徒の解放です。対価はいかがしましょうか?」
校長はこのタイミングでテロリストの目的を聞いた。目的がはっきりすれば明確な隙が現れるかもしれないし、生徒を逃がせるかもしれないからだ。そして、目の前にいる生徒はいわばコウモリ。こちら側とも接点があるので下手な殺しは避けるかもしれないし、個人の利益になるようなことで安全を確保できるかもしれない。
「そうか。そういえば目的を言ってなかったな。これは生徒全員聞いたほうが良さそうだな。マイクをつけてっと。そうだなぁ、簡潔に答えると儀式のためだ」
「……」
「いや、そこまで心配しなくていいよ。儀式と言っても血なまぐさいものじゃなく、ただ人数が必要なだけなんだ。ある特定の場所にろうそくを置いて、みんなで祈ればそれでいい」
「……それだったら先生だけでいいのでは?」
「人数が足りないんだよ。この日本で宗教に興味を持つやつは少ない。信者だけだと儀式はできないが、それだと泊がつかず信者離れが進んでく。そこで学校に目をつけた。人数が多く、社会に興味を持ち始める高校生に。この事件をきっかけにテレビや何かで日本が宗教に着目して、教徒が増えるかもしれない。まぁ、宗教なんてそんなものだよ」
「なるほど」
「だから全て事が終わったら安全に帰れるよ。殺人なんてしちゃったら宗教の悪いイメージが固定しちゃう。まぁ、上からの命令ではそれでもいいって言われてるんだけどね。話題になればいいってさ」
「……」
「僕はそんなことしないけど」
「……狂ってる」
「ん? なにかいった?」
「いや、なんでもないです。それではあなたの立場はなんですか?」
「ちょっとまって。生徒が移動し終えたみたいだ。アルコールランプは下に置いておいてくれ。ずっと持ちっぱもなんだしな。ああ、そこの君。2年4組1番の子。もうちょっと左によってくれ。そうそう。そこらへんにアルコールランプを置いてくれ。はぁ、宗教ってめんどくさ」
「……」
「おっと忘れるところだった。最後にお祈りしないとな」
笑みを浮かべる芝田。そこで声や笑った表情を見て寺並や他のクラスメイトは気づいた。それが芝田であることに。別人のように話し、ギャグとは無縁そうなテロリストの正体に。
「な、なんで……」
「よし。やっか」
「なんで芝田……ちょっと「天にまします我らが神よ。贄は天を穿ち御前に参るだろう。ああ、ご満足になるだろうか。ダニエル・ジョンソン……っぷ。ダニエル・ジョンソンが名前とかギャグかよ」」
「「「「「」」」」」
「はーい。満足しちゃいまーす♡」
そこにいた先生たちは思った。とうとう狂ったかと。校長は思った。一人の人間の狂気が世界を狂わせてしまったのかと。幻聴が聞こえたと思うと生徒たちのだいたい6割が消えてなくなっていた。総生徒数が1000人なので、600人だ。600人が唐突に消え失せた。まだ、派手な光や爆音がしたほうが現実感があったかもしれない。ああ、目の前の現実が認められない。いくらか妖怪と関わったことのある校長ですら、そのような現象は神の御業であると思うしかなかった。『神隠し』まさに伝え聞くそれであった。
「ひゃははははははははは‼まるっきり騙されてやんの。生徒だから?同級生だから?そんなもん信じてんのかよ。神よりありえねぇってそれ」
「いやー。なんか多くないですか?こんなもらえてダニエル感激です」
「ばっ、化け物だ」
交渉がうまくいって、その生徒が逃してくれることを期待していた先生、生徒たちはその生徒が狂っていることを認識し、自らが助かる方法を考え始めた。このまま狂人と一緒にいたら殺されてしまう。自分の命は自分で守るのだ。
「ぎゃああああああああああ」
ある生徒が悲鳴をあげた。これをかわぎりに恐怖で凝り固まった身体に気づき、必要以上の力を抜いていく者が現れ始める。逃げる。出入り口周辺にいた生徒は扉へ飛んでいった。校長までもが恐怖に駆られ、自らが助かることだけを考えていた。そう、その狂人がそこまで計算に入れてなければ……
「「痛えぇぇぇぇぇぇぇぇえええ」」
先程声をあげた生徒と外へ出たのだろう生徒が叫んだ。それが恐怖から来るものであればより多くのものが「逃げる」ということを認識し、出口へ行っただろう。ただ、安全だろう出口方面から聞こえたのは痛みを訴える声であった。ここで幾人の者が思い出す。「テロリストの仲間」の存在に。
まだ何かあるはずだ。何か逃げる手があるはずだ。出口から出てはどうか。いや、外には仲間がいるらしい。でも、逃げられる可能性はあるはずだ。
*
よし、大丈夫そうだな。立っているやつらは自分が助かる方法を模索中か。わかりやすい目標である出口を潰すことで動けなくさせる。目標が定まってないと動けようがないし、その場で考えてしまうのは人間なら仕方ないことだ。さらに、周りの者が動いていない状況で自分から動き出すのはかなり難しい。その選択が命に関わっているならなおさらだ。
芝田は安心した。内心不安だったのだ。叫んだ内容がちょっとでも違ったならこうはならなかった。
あんなふうに叫んでくれて感謝だな。
そう、感謝していた。……ここまでは
「どぐガスだ‼ き゛い゛ろ゛い゛ぞ! さ゛わ゛る゛な゛‼」
糞が。うすうす思ってたのだ。皆が動かいていないなか、出口へ一人抜けるものは状況が見えているということに。体育館の中の出入り口周辺でガスをばらまいたが予想以上に効果が薄かったようだ。やっぱり高校の実験用だからかそこまで純度が高くなかったかな?あと、単純に量の問題もあるだろう。だが、痛みを感じてくれたのなら良かった。喉もやったのだろう。まぁ、一人くらいならいっか。はぁ、マスタードガスを信用しすぎたな。第一次世界大戦でドイツが使用したガス。独特の臭いと黄色い気体。触れるだけで激しい痛みを与える。そんな謳い文句なのに所詮ネットはネットだな。ちなみに今回は塩素も発生させている。同じく黄色っぽいから同一の気体に見えるだろう。
さて、どうなることやら。




