滅びた国1
いいですか。落ち着いて聞いてください。
あなたが開いたのは「おはようございます」であっています。
筆者が間違えて投稿したわけでもありません。
そこは凄惨だった。道行く人の顔は暗く、覇気がない。希望を持つような顔はなく、今日生きるだけに必死な顔だ。道端にはホームレスが溢れ、老人にむかって男が暴力を振るっている。市場に活気はなく、店は全て閉まっている。野菜や肉、果物の類も売っていない。さらにココはその国の最も発展していた場所だった。この国にはまだまだ他の国にはない特徴がある。もし旅人が来たらあることに気づくだろう。それは道歩く人が男しかいないことに。
この国では兵士が家畜を財を人を畑をすべて奪った。家畜は兵站として使われ、財は奪われ、女は遊ばれ、子どもは連れ去り、畑を焼く。女は体を使って、子どもは未来でもって、この国から逃げようとした。
そうして残るのは男や未来のない年寄たちだ。
この国は他国との緩衝地帯としての役割のため滅ぶことすらできず、家畜のように生きながらえているどうしようもない国だ。
「今日、また宣戦布告された」
「またか。我が国をコケにしよって」
「いや。この場合は食い物にしやがってっていうべきだ。コケよりも食い物が我が国にぴったりではないか」
「ハッ。どっちでもいい。で、どうするんだ?」
「どうもこうもない。軍隊は壊滅。降伏は認められない。となれば」
「「「神に祈るほかあるまい」」」
若き王は諦めていた。年老いた主教様も含め。
すべての民は諦めていた。この泥船に。もうどうしようもないと思っていた。
だが、そんな状況もアレによって変わった。
アレはとある農民が畑で取れたと言っていた。
どうせ他国の兵士の落とし物だろうと思っていたし、なぜそんなありふれたものをわざわざ私の前に持ってきたのだろう。
即刻処分する予定だった。
そんなとき、我が国の敬愛すべき主教様がアレを触り始めた。
壊れ物を扱うかのように繊細な手付きで。
そして涙を流しながら神に祈り始めた。
曰く「奇跡だ」「神はこの国を見ている」
足もガタガタしているし、とうとう狂ってしまったのかと思ったよ。
3分ほどたつと主教様は落ち着いて、アレを懐に入れた。
汚らしいアレを仕舞うのはどうかと思い忠言したが、聞き入られなかった。
それからだ。我が国に侵入した兵士が死に始めたのは。
今日も略奪される。命があれば儲けもの。そんな建前の覚悟を無価値にしてくれた。
最初は病気が流行っているのだと思った。
病気は穢から生じる。この国は死と欲望で満たされているから病気が流行ったんだと思った。
だが、その日、自国民のゴミのような死体を見ることはなかった。
次の日、またもや兵士が侵入してきた。今度は他の国からだ。兵士を失った今がチャンスだと思ったんだろう。通り道にはちょうどよく肥えた国もあるのだから収穫して兵站として使おう、そんな魂胆が透けてみえた。
我が国は積んでいる。そう、実感できた。一時の幸運で助かることすらない。緩やかな破滅を避けられない。
そして、またしてもその兵たちは死んだ。
その次の日は、他国の商人が死んだ。そして、それを口実として兵が我が国に入ってきた。
我が国土に入った瞬間に死滅した。
その次の日はある国が我が国に商品を送らないことを決定した。すると、その国の民の間で変死が続出した。急いでその政策を撤回した。
いくらか日が経つと、連合軍が「民を暗殺するのは国際法違反だ」といって攻めてきた。すべて死んだ。
また……
「主教様。俺は夢を見ているのか?」
「いや。福音だよ。我々は神の御業を見ているのだ」
「神は我々を見捨てなかった」
「あの聖物。アレがそうだとよくわかったな」
「いや。アレは神秘が入っているとわかってはいたが、我が国をここまで改善させるとは」
「犯罪率0。検挙できていないわけではありません。すべては神のままに」
「さて、今までさんざん食い物にされてきた我が国だが、どうする?」
「どうするとは?」
「戦争だよ。もはや兵士なんて必要ない。聖物一つで戦争ができる」
「ハッ。どこまで毟とるの間違いでは」
アレは国を守る。アレは他国からの干渉をすべて無意味なものにした。
これからもアレが我が国を守り続けるのだとそう思っていた。
「あぁ、まるで夢のようだよ」
吸血鬼についての説明はもうちょっと後で
サボりすぎ?
知らない子ですね。
ちょっと脇道にそれた話となっております。あと、この話はもうちょっと続きます。
この終わりかけの国がやっと掴んだ『奇跡』。
イッタイドウナルンダロウナ、メガハナセナイナー。




