十一話. 悲しきモンスター
土曜も出社。家でも仕事……
だから、毎日投稿できなくても許してください。
なんでもしますから
「センセーィ。体調悪いんで寝ていいっすか?」
「わかった。三時間目もダメそうだね。連絡しとくよ」
「ういーす」
ベッドで横になる。
最近の学校は本当にやさしい。わからない人用の解説、テストの点数から苦手を見つけそれに合わせた授業をしたり、体調が悪いと言えば良く調べられもせずに休められる。
そんな努力がたった一日で終わるとするならどんな表情を浮かべるのだろうか。
努力して成績をあげて、将来の夢をもち、彼氏彼女もいて……
そんな彼らが人生を楽しむことなく、努力が報われることなく、ついえていったら……
そんな想像をしながら眠気に身を委ねていった
*
「芝田! サッカーしようぜ!」
「ああ」
幼稚園児の頃サッカーをしていたときがあった。ひどく懐かしい。
「俺はシュートを打つからキーパーやってくれ」
「いいよ」
友達と一緒にサッカーをしていた。いつも俺はキーパーだった。
走らなくていいから。過度な期待はされないから。そんな理由だった気がする。
「シュート!」
ああ。そのコースは届く。キーパーならゴールを守らなければならない。
手を伸ばし、体をボールの進路上に出す。
「いてっ」
顔面にボールが当たった。とても痛かったのを覚えている。
「おい。大丈夫か?」
「うわーん」
鼻血を出しながら泣き出した。そんな思い出だ。
*
ところかわって公園が見えてきた。
木々が生えていて、自然との一体感が味わえる。池やアトラクションもあってなかなか楽しんでいた思い出がある。
「おい、芝田。こっちこいよ」
友達に呼ばれた。一緒にサッカーをしてたやつだ。名前は忘れた。
「えっ、でも。そっちは池で危ないよ」
「いいからこいよ」
そう。こんな感じで呼ばれて
「えい」
後ろから突き飛ばされた。今考えるとペンギンみたいだなと思う。
「わぷっ。助けて!」
池の水はぬるくて、まずくて、生臭い。体に悪そうな味がした。どうせなら川のほうが良かった。
そこから幼稚園の先生に救われた。子どもが池周辺で遊んで自分から落っこちたということになった。
*
「おい、俺さ。今日、友達に学校で腹パンされたのよ」
「ふーん」
「だからさ、俺にお前のこと腹パンさせてくんね?」
「えっ、なんで」
「口答えすんなよ!」
「いたい。いたい。なんでぶつの⁉」
「おい、逃げんなよ」
お腹を打たれると内蔵がいたくなる。じーんとした感じ。なかなか痛みが取れない。
「時間かけさせるなよ」
*
「どうしてぶったの?」
「やめてよ、母さん」
言ってやった。やった!これで僕は救われるんだ!開放される。もう怖がらなくていい。
「ほんとに悪い子ね。もう二度としないように」
……?
「わかったよ、母さん。もう受験勉強が忙しいから部屋に戻るよ」
それだけ?
どうしてもっと怒らないの?どうしてもっと追い詰めないの?僕は頑張ったんだよ、耐えたんだよ?なんでそれだけですますの?僕がぶつ権利はないの?ぶたれるべきじゃないの?僕をぶってたのに僕がぶてないなんておかしいよ!
「ママ、僕はぶっちゃだめなの?」
「だめよ。たぶん、受験勉強であたってるだけだと思うの。ちょっとしたら直ると思うから」
そうか。あとちょっと耐えるだけなのか。ママに言われたからたぶんそうなのだろう。
*
「おい、お前。うるさいぞ。少し黙れ」
「えっ、音読の宿題なんだけど」
「黙れよ!口答えするな‼」
「いたい!人のこと殴るなんて最低だ!」
「何を!」
蹴られ殴られ、、、
もう、痛いよ。疲れたよ。どうして彼はこうなままなのかい?もう彼は中学受験も終わったじゃないか?
「うっ」
「おい、、、大丈夫か?」
金的だ。あまり痛くなかったが、ここで身を屈めて痛いアピールをする。すると彼は暴行を止める。殴られ続けこんな特技も手に入れてしまった。
「母さん、助けて。またイジメてくるんだ」
「関わんないようにしなさい。高校受験を控えて気が立ってるのよ」
「ムリだよ。家族なんだから。顔を合わせないようにできないよ」
「じゃあ、ママがもうイジメないように約束してくるわ」
「わかったよ、もうイジメない」
「はい、じゃあ勉強頑張ってね」
「そうそう、テストで学年1位を取ったんだ!」
「すごいじゃない!」
笑顔で話し合っている二人。家族という枠組みの中、子どもがまず頼るのは母だ。子どもは母を神格化すらし、なんでもできると考えている。そんな母が苦しむ自分を助けてくれなかったのだ。考えてみてほしい。今まさに不条理な理由で虐げられている中で信じている神が現れたのだ。そして、その神が虐げてきた相手に諭した。ココまではよい。ただ、神とその人間が談笑を始めたとすると、神がその人間を褒めたとすると、虐げられた人はどんな反応をするだろうか。
*
その人間はもう逃げられない。自分より下の人間が幾人もいるのは知っている。生まれながらに死にかけている子どもや明日の食事にありつけない子どももいる。だが、知っていてなお今の状況に自分は耐えられない。
家族に法はなく、正当な罰が与えられることもない。犯罪者は裁判官と結託し自分の都合のいいようにしている。一時期、警察に相談するということも真剣に考えた。だが、110するほど緊急性はないし、人殺しほど深刻な問題とも思わなかった。傍から見れば、親から食べ物を不自由なく与えられ、中学受験させるほど余裕や子供の将来を考えている親に見えた。
その人間にとっては家族という社会しかなかった。幼稚園、小学校に社会を見いだせなかった。
「おい、お前その目はなんだ?」
「……」
「ムカつくな。殴らせろよ!」
そして、決壊した。
「うわー!」
家は二階建てだった。そして、二階にいたのでベランダから落ちようと思った。
「おい、お前何してんだよ!止まれよ!」
身を投げても下に車があるので頭から落ちない限り死なないと思った。これを機に彼が変わることを祈るしかなかった。自分から状況を変えるんだ。
だが、ベランダの壁は小さい自分には高すぎた。
*
「面白い夢見てますね」
「……俺はいつまで寝てればいいんだ?」
「うーんと、あと30分くらいですね」
「結構長いな」
「あなたの体が根本的に変わるわけですからね」
「?」
「説明してほしいですか?」
「ああ、どうぞ」
「でもなぁ。メリットがないなぁ。なにか私にメリットがあればなぁ」
「……で、」
「私に生きた人間。100人ください。期限は3日」
「」
普通、100人いきなりよこせと言われてもムリだろう。だが、、、
「どうやって与えればいい?」
「まず、血とろうそくを用意してください。そしたら、正五角形と外接円を描いて対角線を引いて、各頂点にろうそくを置いてください。火をつけて、私にお祈りをすると対角線で構成されている小さい正五角形の中にいる人が私に送られます」
「怪我は駄目か?」
「別にあってもいいですよ」
「わかった。その条件を飲もう」
「やったー!それではまたの機会に」
「おい!待てよ!情報は?」
「いつ話すかは条件に入ってませんが?」
「……」
「私、悪魔なんで」
「110」
「もう一声」
「125」
「そんなもんでいいでしょう。125人、頑張ってくださいね♡」
「早く情報を寄越せ」
家に帰る途中、大学の前を通ったらすごい車が来てましたね。
もうそんな時期ですか。




