九話. きょうこないってさ
一瞬彼の唇がひどく乾燥してるのかと思った。
最近乾燥してるからなぁ。リップクリームを勧めようかとも思った。
だけど、まるで人工物みたいにザラザラしてた。
違和感を覚えた。
目を開けると口にガムテープが貼ってあった。
(なんで?)
彼を見ると顔色も変わらず平常通りであった。
多少安心している感じさえもする。
「チクッとしますよ」
(いたい、いたい。なんで?)
*
ふぅ、うまくいってよかった。
最近、おばさんの血とか飲んだけどひどく味がなくてがっかりした。
なんというか旨味?みたいのがなくて乾いている水を飲んでいるかのようだった。これが、生命力といったものなのだろうか。魂の残滓が抜けているとこうなっちゃうのだろうか。
短剣を使うといいらしいので首元に傷をつけて……
「チクッとしますよ」
言わなきゃいけない気がした。ちょっとした遊び心ってやつだ。
首からおびただしい量の血が出てくる。頸動脈を傷つけちゃったのかなぁ。まるでチョコレートフォンデュみたいだ。ちょっと粘り気がないけど
、、、ペロ
うん、うまい。味がしっかりしている。垂れていくのがもったいないなぁ
「いただきます」
よし、ここからはいかに早く飲み切るかだ。頑張るぞー
*
げふっ。肉も多少食べたけど時間がないから後は埋めちゃおう。
骨とかも埋めて……
よし、こんなもんでいいかな。
急いで教室に戻るとそこにはニヤニヤした寺波美樹がいた。
すると彼女は僕の近くにきて耳に口をあてて言った。
「ちょっと血の匂いがする気がするなぁ。生気が抜けてる顔してるし。お楽しみでしたね」
「京子に来るように言ってくれてありがとう」
「いやいや、気にしなくていいって。親友のためになるし」
「あと京子はちょっとその場から動けないから遅れるって。授業でないかも。先生への言い訳よろしくって言ってた」
「へへー。そうなんだ〜。なんで動けないんだろうなぁ。わたし、わかんない。見に行ってこようかな」
「やめてあげろよ。あと、もし昼休みまで来なかったら救援よろしくってさ」
「あいー。了解」
よし。このまま計画通り進めればいいな。
次回は京子についての設定です。




