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第1話 「隣の席の世界一可愛いツンデレ美少女」

大阪市立安治高等学校…通称安治専には普通の学校とはちょっと、いや普通以上のことがある。

 それは何か、そうそれは()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言うことだ。














「起立、気をつけ。礼!」


「「お願いします」」


 どんな学校でもよく見る普通な光景、いつも見慣れた教室と聞き慣れた挨拶。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな学校はうちしかないだろう。何故なら世界一と日本一の美少女が居るのだから。




氷見谷(ひみや)…悪いがここ教えてくれないか?」


 俺は隣の席の美少女にそう頼んだ。俺自身、女子に話しかけたこと…話かけた人など両手で数えるほどしかいない。が、こいつだけは違った。


 なんとボッチで有名な俺が唯一、信頼できる女子なのだ。




「岸中…いくらなんでもさ、自習だからと適当なプリントを渡されて分かんねえってなっていても。さすがにちょっとなぁ」


 そう言いつつも椅子をちょっと俺の方に近づけ、優しい口調で氷見谷は返事をしてくれた。計画通りだ…

 高専はそもそも女子が少ないし、何しろ席替えやクラス替えといったこともないので、俺からすれば1年間隣にいたやつに話しかけた方がいいのだ。彼女からしても。




「しょうがないだろ…俺は理系なんだからさ、文系なんていらないって思いながらここに来たし。氷見谷は良いなぁ。学年一位で」


 俺はなんとか教えてもらおうと褒めるという手に出た。少しずるい技でもあるが大体なんとかなるものでもある。


「むぅ…でも岸中(きしなか)には理系で少し負けているから、ちょっと悔しいと思ってる。まぁ…褒めてくれたわけだし、教えてあげても良いよ」


 頬を少し赤らめながら、氷見谷は俺に現代国語と言う悪魔の教科を教え始めた。と言っても初歩的なところを教えてくれるだけで、発展的なところは自分で解くから教えているのかわからないが。

 教えてもらっているだけで感謝。わかりやすいし、応用のパターンや内容まで教えてくれるのだから。





「礼はないので各自で終わるように…」


 現代国語の先生がドアを閉めて教室から出て行った時に、俺はため息をついた。

 こうして俺と悪魔である現代国語との戦闘は終わったのだ。某魔法少女なのに銃を使うアニメと同じくらい、びっくりするような問題が多く手こずったが最終手段である氷見谷のおかげで助かった。


 そして俺はとある飲み物を買うために自販機へと全速力で向かうと、瞬時に炭酸飲料を買う。そしてソフトテニスで鍛え上げられた走りで戻ってきた。




「ありがとな、氷見谷。はい、好きなフェンタだぞ」


 俺はそう言いながら、お礼…報酬として彼女の好きな某炭酸飲料を差し出す。1年間こんな感じなので彼女の好みはもちろん、趣味まで知り尽くしてしまった。もしかしたら彼女の熱狂的なファンよりも知識面などで勝ってるのでは?






「報酬だ!やはりこうでなくっちゃ!」


 氷見谷は俺が差し出したフェンタをサッと受け取ると、ごくごくと言う音を出しながら勢いよく飲み始めた。うん、ご飯をこの光景を見ながら余裕で二合食べれる。



「ちなみに、岸中。金は大丈夫なん?」


 氷見谷は俺が買ったフェンタをみながら、そう話かけてきた。うっ…確かに最近は部活道具であり生面線でもあるラケットを買ったり、ラノベやアニメグッズを買ったりなどで厳しいがまぁなんとかなるだろう。



「うん…まだまだいけるぞ」


 俺は氷見谷に悟らせないようにさせるために、笑顔でそう言った。

 個人的にはぎこちない笑顔だったが、氷見谷はどうやら気づかなかったみたいだ。


 そして校内に学食の時間を告げる音楽、幻想交響曲Op.一四:第一楽章

(夢想と情熱)がスピーカーから流れる。その合図を聞くと俺は氷見谷と、食堂へと向かって行った。









「焼き魚定食ととんかつ定食を一つずつ」


「はいよ…学生手帳を見せて頂戴ね。うんほな、おおきに」


 愛想のいいおばちゃんに俺はそう注文をすると、学生手帳の提示を求められたので見せて学食を受け取る。この学校では事前に料金を払うと何食でもタダなので財布に優しい。


 俺は学校に感謝をすると、一緒に食べる氷見谷のところへ学食を持っていく。俺たちの縄張りであるベランダ側の電源コード付きの1人席へと。




「うん…さすが岸中!私の好み知ってるね。そしてやっぱ岸中は今日もとんかつ定食」


 氷見谷は俺が持ってきた学食を見るや否やコメントを、俺に対してしてくる。と言ってもいつもこんな感じのコメントなので、あぁいつも通りだなと感じることができる。


「ってか…あれだろ氷見谷はこんなぼっちと、食事して良いのか?クラスの女子とかとは食べないのか?」


 俺は気になっていたが、ちょっと禁句でもあることを聞いた。彼女とは入学してからずっと食べる仲なのだが、一回も女子と話していることや俺以外のやつと食べることも目を合わせることもない。


「うーん、岸中以外の人とまずまず話さないし。良い人なのかとかわからないからなぁ」


 彼女はそう言いながら魚の骨を丁寧に取り出す。まぁ器用なところは、メカトロニクスコースの中でも随一だろう。頭の良さも含めて。


「そっか…なら卒業までずっと食べるのか?」


 俺はとんかつに学校のオリジナルソースをかけながら、氷見谷に問う。別に個人的には嬉しいし大歓迎だが、男子の敵となっている俺からしてもちょっとなぁとなる時もある。第一年頃の女の子はこんな感じなのだろうか?


「うん!だってそれしかないんだし。そうじゃないと《《岸中に甘えられないもん!》》」


 氷見谷が放った衝撃の一言によって、俺は食べようと思っていた箸を落としてしまった。


 え…甘えられないだと。


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