飽き。
今日はもうここまででいっか。
そっと、ゲーム画面を閉じる。
どうしてだろう。
ゲームをやればやるほど、やりたかったのはコレジャナイ感に襲われる。
もしかしたら自分が楽しみたいのは新しいゲームの新鮮感であって、ゲーム自身ではないのかもしれない。
それとも、ゲームの楽しみ方を間違えてるのかな。
ゲームを始める前は想像がこれでもかっていうくらい膨らんでいく。
これがこうであれがああで、でも実はあれはあれだったかもしれない。早くやりたいなあ。
そんなワクワクに任せて、オンラインゲームであればどんどんレベルを上げていく。装備も整えていく。
モバイルゲームならばガチャをして手持ちを増やす。キャラを強化する。
そしてたくさんのやりこみ要素を突き詰めていくうちにふと、我に返る。
これ、楽しいかな。と思ってしまう。
あと一時間頑張れば攻撃力が20上がる。あと3回周回すれば必要素材が集まる。
その重要性を急に見失う。そもそも重要だったのかどうかもわからなくなる。
今のステータスのままでも、そんなに変わんないよね。周回するの、明日でもいいや。
こう思ったとき、今まで楽しくゲームをやっていた私は、死ぬ。
そして憑き物が取れたかのように、新しい私は、どうかしてたと費やした時間が無駄だと宣言する。
今日、恐らくまた私が一人死んだ。
これから何が起こるかも簡単に想像がつく。
いつもワンパターンで、そこまで頑張らなくていいという思いや、ずっと執着するばかばかしさ、
そういったものがログインする頻度を徐々に、確実に減らしていく。
そしてついにログイン自体することがなくなってしまい、飽きた。とタグ付けして終わりなんだ。
これまで何度も繰り返したことだし、これからも何度も繰り返していくんだ。きっとね。
ゲームの正しい楽しみ方とは何か、わからなくなってしまった。
純粋にゲームを楽しめる年齢を、過ぎてしまったのかもしれないなとも思う。
今では虚無を生まないための手段の一つ、そうなのかも。
そんなことを考えながら、今までの時間を埋める何かを見つけようと、また検索をかける。
「新しいゲーム、探さなきゃ。」
なにもやることがない無の時間が訪れる前に。
独りの寂しさを紛らわすために。