No.7 イジメは...
陰湿な奴らだ。人の上履きに画鋲を仕込むぐらいだから近くで俺が困っている所でも見てヘラヘラ笑っている物かと思ったが、熊谷は愚か囲いの奴らすらいない。隠れてるのか?
まぁいないならそれでいいが。とりあえず上履きにあった画鋲はひとまず下駄箱の上にでも置いておくか。
「おー。レン何か今日遅くね? なんかあったの?」
「いや別に」
教室には既に聖夜がいた。それに、熊谷とその囲い達もいた。ただ何故か熊谷達は俺に絡んで来るわけでもなく静かに席に座っていた。妙だ。
アイツらがあんなイタズラで満足する訳がない。念のため机の中を覗くとそこには大量の紙くずが敷き詰まっていた。すると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえてきた。は......まぁいい。さっさとこの紙くずをでも捨てるか。
「あれ? レン何その紙。お前どんだけゴミ貯めてたの? 仕方ないから捨てるの手伝ってやるは」
「お、ありがとう」
俺が一人で片付けをしていると聖夜が自主的に手伝いに来てくれた。本当、こいつはこういう時には気がきく。ただ一つ心配なのはアイツらの聖夜を見る目が少しこわばった。流石に聖夜にまで迷惑はかけられ無い。手伝ってもらうのは今日限りにしょう。
「なぁ聖夜。後は自分でやるからもういいよ。あとこれからは自分の事は自分でやるからもう手伝わなくて......」
「いいって。俺達、親友だろ? 困った事があったらいつでも言えよ。」
本当にコイツと親友になって良かった。きっと今の状況を察してくれたのだろう。
「あっレン君おはよう」
「おはよ......」
「瑠奈ちゃん! おはよー。今日早くね?」
熊谷が俺の言葉を遮るように言った。そして、その囲い達は俺と瑠奈の間に壁の様に並んだ。まるで俺を瑠奈に近づけない為かの様に。それに熊谷は一切俺の方を見ようともしない。
まぁ瑠奈に何か用がある訳でも無いし、ひとまず聖夜の席にでも避難するか。俺は一旦その場を後にした。
「なぁレン。あれどう思う? 一人の女子相手に集団でたかってる、なんか嫌な感じだよな」
「別にいいだろ。どうせ一人じゃ何も出来ないから、あーやって集団でいんだろ」
「ハハッ。確かに、絶対アイツ一人だとビビってなんも出来ないよなぁ」
適当に言ってみたが。確かにアイツが一人でいるところなんて見た事がない。まぁ一人になってもどうせ、やる事は変わらないだろうけどな。
「瑠奈ちゃん一年の時もあんな感じで毎日絡まれてたらしいんだわ。絶対、嫌がってると思うんだよな」
「嫌いな奴に毎日絡まれてんだから嫌に決まってんだろ」
「え? やっぱり瑠奈ちゃん熊谷の事嫌いなの? てかなんでお前そんな事知ってんの? さっきも挨拶されてたし。たった一日で仲良くなりすぎだろ。ずりーぞ」
「別に。たまたま知っただけだ。」
「ふぅーん。もしもさ、仮にだぞ。俺が瑠奈ちゃんを助けたら、仲良くなれっかな?」
「友達どころか彼氏になれるかもな(笑」
「ハハッ。そんなんやるしか無いだろ(笑」
俺達がそんな冗談を言い合っていると、流石に大きな声ではしゃぎ過ぎたのか、熊谷達がこちらへと向かってきた。
「おいレン。お前あんま調子乗んなって言ったよな。おい! 何が彼氏だ。お前らみたいなインキャが瑠奈の彼氏なれる訳ねぇだろ」
彼氏というワードに反応したのか熊谷は大きな声で怒鳴り散らかした。ただここであまり刺激すると後々厄介な事になる、ここはひとまずインキャらしく静かにするか。
「すまん。次からは気おつけるは」
「は? 何がすまんだ。調子のんなって言ってんだろ。おい!」
熊谷はそう言うと、右手で俺の胸ぐらを掴み左手の拳を握りしめた。コイツ本気で殴る気かよ。
その時だった。
「おい! 熊谷お前調子乗ってんじゃねぇぞ。さっさとレンから手離せよ」
忘れていた。聖夜は見た目は静かそうだが、いざという時にはカッコいい。