No.1 欲しい物は...
初投稿です!
もし意見がありましたらどんどん教えて下さい。
「て、てめぇ……絶対に……」
全身血塗れのその男は地面をはうようにもがき俺の足を掴むと力尽きたのか動かなくなった。
いや、その男だけじゃ無い辺りを見渡すとまるで血の池地獄かのように血を流した無数の男達が俺の足元に倒れている。
きっと何処かの組織にやられたのだろう…可哀想に。
俺はそんな事を思いながら大量に血しぶきを浴び真っ赤に染まった手で銃を握り締めながらターゲットのいる部屋へと進む。
「おい! 今すぐ手に持ってる銃を下に置け。早くおかないと撃つぞ」
ただ部屋に入っただけだというのにいきなり拳銃を向けてきたその男は何を恐れているのか今にも腰を抜かしそうなくらい震えていた。
「すみません、お忙しい中かってに来てしまって。その今日はある人物からの依頼で貴方に用がありまして。その…こう言い難いのですが死んでくださ……」
”バーン”
恐らく手が滑ったのだろうターゲットの男は拳銃の先を俺に向けたまま発砲した。
だが銃弾は何かに当たるわけでもなく、ただ部屋の扉に綺麗な穴をあけただけだった。
まさかいきなり来客を撃つとは、親の教育がなって無いな。あと少し避けるのが遅かったら普通に当たって死ぬとこだった。
近くにあったデスクを盾に俺が隠れているとターゲットの男が不機嫌そうに怒鳴り散らかし始めた。
「てめぇー誰の依頼で来やがった。死にたくなかったら早く答えろ! でないと撃ち殺すぞ」
「悪いんですが、契約上依頼者を答えられ無いんですよ。あと時間無いんで変に抵抗しないでもらえます?」
”バーン” ”バーン”
ついに痺れを切らしたのかターゲットが、俺の隠れているデスクにパチンコでも打っているかの様に拳銃を乱射する。
相当焦っていたのかほとんどの弾はデスクどころか奥の壁に穴をあけただけだった。
それにしても撃ちすぎだ……。
俺はデスクから身体を出すとターゲットの下へ近づく。ターゲットの男はチャンスとばかりに俺に拳銃を向け引き金を引いた。
しかし、その弾は俺はおろか壁にすら当たることはなかった。不発? いや違うただの……
「はぁ……撃ち過ぎなんだよお前。自分の持ってる銃の装弾数ぐらい確認しとけ。間抜けが!」
「待て待て! 頼む何でもする。だから死んだ事にしてくれ頼む……頼む!」
態度を一変させた俺がターゲットの額に銃を突き付けると男は拳銃を捨て、地面に倒れるように泣き崩れながら命乞いを始めた。
さっきまでの高圧的な態度と違いこっちは駄々を捏ねる子供の様でちょっと可愛い。
「何でもしてくれるんだな。そうだなぁー何してもらおうかな? そう言えば最近買いたい物があったような……」
「な、何でも買ってやる。ついでに俺の持ってる金も全部くれてやる。何ならこのビルも自由に使ってくれて良い。それに……」
”バーン”
「死ね」
まだ何か言いたそうだったが、時間も押している事もありさっさと死んでもらう事にした。
最後まで赤子のように泣いていた、その男の死顔を依頼達成の証拠として、写真におさめ依頼者にメールで送った。もちろん自撮り風だ。
依頼者と言っても本当の依頼者では無く、届いた依頼を俺に押し付けた奴の事だ。
俺が証拠の写真を送るとまるで待っていたかのように早速返事が返ってきた。
『流石No.2だね。本当、仕事が早くて助かるよ。今日はもう依頼は無いからゆっくり休んでね( ^ω^ )
新学期も頑張れ! バイバイ。』
相変わらず仕事内容と合ってない陽気なメールだ。でも、これなら誰かに見られても依頼内容がバレる心配も無くて安心だ。
それにしても、今週だけで8つの依頼をこなした。流石に体力的にも精神的にも疲れてくる。
俺はNo.と言う組織に属しているせいで毎日のように殺しや盗み、護衛などの仕事を半ば強制的にやらされている。いや、やらせてもらっていると言うべきだろうか?
なにせ、生まれてすぐに両親を失った俺を、この組織が引き取ってくれた。俺の他にも100人程の子供が同じような理由でこの組織に入っている。
俺達は厳しい暗殺術などの訓練ののち、それぞれに強さの強弱を示すNo.が与えられた。俺はその中でも次席に当たるNo.2をもらっている。
ちなみに、さっきメールしていた陽気な奴はNo.1だ。それに女だ。
そう言えばメールでNo.1が新学期も頑張れと言っていたが…もうそんな時期か。明日からはまた普段通り高校に通う事になる。
仕方ない高校二年生の春、まずはクラス替えで仲の良い奴と同じクラスになる事を祈るところからはじめるか……。
良ければコメントよろしくお願いします。