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天空の村2・水の妖精  作者: シード
12/33

第四話『きずな』‐③


 ばがぁん! ばがぁん!


 祭りの再開を知らせる花火だと思う。大きく打ちあげられた。

 ぞろぞろぞろ。ぞろぞろぞろ。

 休けい広場で待機していた人たちが、いっせいに動きだす。

「始まった始まった。さぁ、会場へ急ごう」

「ずいぶんと長い休けいだったわね。一時はどうなるかと思ったわ」

「おかげで一部、中止になった音楽もあるよ。聞きたかったのになぁ」

「まぁ、いいじゃないか。ほかにもいろいろあるんだし」

「あっ、待って。わたし、忘れものしちゃった」

「ぼくもだ。いっしょにもどろう」

「ミーにゃん。いよいよ始まりにゃよ」

「ねぇ、ミアン。どれを聞こうか?」

 さまざまな声が飛びかう中、わたしたちは歩きながら予定表とにらめっこをしていた。

「お兄ちゃん。次はどこへ行くの?」

「これから始まる楽曲はどれも、にたりよったりですねぇ。だったら……。

 どうです? フローラ。一番近いところにしませんか?」

「お兄ちゃんがそういうなら、わたしはかまわないよ」

「それじゃあ、あそこへ」

 休けい広場から川にかけられた小さな橋をわたると、そこがもう目的地。だんじょうではすでに演奏者が集まっており、楽器を鳴らして音色を確かめるような仕草をしている。

(そろそろ始まりそうだな)

 わたしの予感は的中した。今いる会場近くに設けられている拡声機から場内放送が流れた。

「みなさま。大変長らくお待たせしました。これより音楽祭を再開いたします」

 やったぁ! ばんざぁい! ばんにゃあい!

 集まっていた人たちの間から歓声が聞こえてくる。

「さぁ、我らの歌ひめもお見えになられました。みなさま。盛大なるはくしゅでおむかえください」

 ぱちぱちぱち! うぉぉっ! ひゅうひゅう! ぱちぱちぱち!

 はくしゅにまじって歓声や口笛も聞こえてくる。会場がいやが上にも盛りあがってきた。

「お兄ちゃん。やっと始まるみたい」

「そうですね。あっ。出てきま」

 お兄ちゃんの言葉が不意にとぎれた。視線の先にあるだんじょうを見てみれば、だいだい色の作務衣を着たあどけない顔の女の子が現われていた。

(あの子が歌い手かぁ。でもなんで……)


 細い紙を丸めて両はしをくっつければ、一つの輪っかができる。同じ長さとはばの紙をその輪っかにとおして丸め、両はしをくっつければ、同じ大きさの輪っか二つがつながった形となる。それを何回かくり返して、最後に両方の輪っかに紙をとおして丸め、両はしをくっつければできあがり。大きな輪っかとなる。くり返す回数をふやせば、もっと大きな輪っかも造りだせる。これを輪つなぎというらしい。


 その女の子は首、かた、こし、うで、足など身体中、至るところに、色とりどりの輪つなぎをまとっている。

(安あがりだけど、なんであんなものを? 歌うだけなのに?)

 そんなことを思っていると、彼女の第一声が耳に届いた。

「いやぁん! お待たせしてごめぇん! あなちゅわの、あなちゅわの、そしてあなちゅわの、マリエちゅわんでぇぇす!」

(ええと……、『いやん! お待たせしてごめん! あなたの、あなたの、そしてあなたの、マリエちゃんです!』……か)

「お兄ちゃん。あの人、変わった言葉づかいをしているね」

「すぐになれますよ」

「なれるって……。お兄ちゃんはあの人を知っているの?」

「学生時代からの友だちですよ。彼女は」

「えっ。そうだったの?」

「もっとも歌ひめをやっているとは思いませんでしたが」

「ふぅぅん。で、どんな人なの?」

「いい人ですよ。僕としゃべっている間に気を失うことがありますけどね」

「身体でも弱いの?」

「いいえ。健康そのものですよ。ただそうなるっていうだけです」

「なんか判りにくそうな人ね」

「いいえ、見たままの人ですよ」

 お兄ちゃんはそういったものの、わたしにはよく判らなかった。

「……にしても、あの人。こんな時間にここにいて大丈夫なのですかねぇ?」

 お兄ちゃんはだれにいうともなしに、ぼそっ、とつぶやいた。


 やがて歌が始まった。打楽器をこれでもかこれでもかと、がんがん打ちならし、大おんきょうをとどろかせている。けんばんやげんを鳴らすたびに、悲鳴にもにた、かん高い音が周囲にひびきわたる。これらの音にあわせて、村人たちがうでをくり返し高くかかげて身体を動かしている。

「…………ですね」

(えっ? なに? お兄ちゃん)

 となりにいるお兄ちゃんの声も聞こえないほどさわがしい。多分、お兄ちゃんもそう思っているはず。わたしは声をかけるのをあきらめ、鳴りひびく音に感応したかのごとく身体を動かし始めた。ううん。わたしだけじゃない。お兄ちゃんをふくめ、その場にいる全員が、音に操られているみたいにおどっていた。


 曲が一つ終わった。

「ねぇ、お兄ちゃん。今の、楽器の音が大きすぎて歌が聞こえにくかった、とは思わない?」

「彼女がいうにはね。それでいいらしいですよ」

「うん? どういうこと?」

「楽器をばんばん鳴らしておどっていれば十分盛りあがるのだそうです」

「だったら歌い手はいらないんじゃないの?」

「それがそうもいかないみたいなんです。だんじょうの中心でけんめいに歌いながら観客と一緒になっておどりまくる。そんな人間がひとりでもいれば、歌がたとえ聞こえにくかろうが、絶大な効果があるっていってましたよ」

「ふぅぅん。そういうものなんだ。でも、お兄ちゃん。その上で歌がうまければいうことなし、なんじゃないの?」

「フローラ。それはいわない約束ってもんです。彼女はね。歌うこと自体は、それほど自信がないそうです。だからよく口ぐせでこんなことをいっていますよ。

『歌に必要なのは声じゃありませぇぇん、心でぇぇすぅ』ってね」

「声じゃない? 顔じゃなくって?」

「『顔には自信があるから条件にいれてもかまいませぇぇん』、とかいっていました」

「そう……。お兄ちゃんってあの人のまね、うまいね」

「だからいったじゃないですか。『すぐになれますよ』って」


 だんじょうでは次の曲が始まろうとしていた。マリエさんはまた、

「あなちゅわの、あなちゅわの、そしてあなちゅわの」とかいいながら、観客を次々と指さしている。ところが、ある一点を指さしたとたん、その動きはとまった。

「いやぁん! ネイルちゅわぁん! あなちゅわも来てくれたんでぇすっねぇ!」

 マリエさんはそういって助走をつけると、だんじょうから跳びあがる。

 ばん! ひゅぅぅ!

(な、なんて高さまで跳べるんだろう!

 いや、もうあれは、跳んでいる、なんてもんじゃない。飛んでいる、が正しい)

 大空高く飛んだマリエさんは四肢を拡げた状態で、お兄ちゃんめがけて落ちてくる。それに対し、お兄ちゃんは両うでを左右に拡げた。

「お兄ちゃん。まさか、あの人をだきとめるつもりじゃないよね?」

「いけませんか?」

「いけませんかって……、危ないよぉ」

「大丈夫ですよ、『愛』さえあれば」

「そんなぁ」

 お兄ちゃんと話をしている間も、我が意をえたとばかりマリエさんは満面の笑みをうかべてせまってくる。

(このままじゃあ、お兄ちゃんがつぶされちゃう)

「ああ、でも、その必要はなさそうですね」

「えっ」

 両うでを元にもどしたお兄ちゃんの視線。てっきりマリエさんかと思いきや、別な一点に向けられていた。

 ごぉぉぉぉっ!

「ネイル、危なぁい!」

 一匹のアーガが低空飛行でこちらへ向かってくる。どうやら、さけんだのはせなかに乗っているかわいらしい顔の女の子。おどろいたことに立ったままの姿勢を保っている。手には巨大なお魚さんでさえもつかまえられるような玉あみがにぎられていた。

(あれで一体なにを?)

「いくよぉ、マミー!」

「くぉーっ!(ひめぇ、任せてぇ!)」

 ぐぃぃん!

 マミーと呼ばれたアーガが上昇を開始した。せまりくるマリエさんとは、ななめ下で向かいあう形になる。女の子は玉あみを水平にかまえると、少しだけ横につきだした。

「あぁぁれぇぇっ!」

 マリエさんは吸いこまれるように頭から、あみの中へと、つっこんでいく。

 ぐぐっ!

 玉網が勢いにおされ、後ろへ引っぱられるような感じになる。だけど、女の子は、ぴくりとも動かない。

(あの状態なら引っくりかえってもふしぎじゃないのに。すごい力でふんばっているんだなぁ)

「むぎゅ!」

 マリエさんの顔があみに張りついた。

「やったぁ!」

 女の子は玉あみを高くかかげたあと、マリエさんがつっこんでいるあみの部分をマミーの頭の方に差しだす。

「ほぉら、マミー。マリエを生けどったよぉ!」

「くぉーっ(さすがだね、ひめ。まだ失敗は一度もないよぉ)」

「次もぜひ、こうありたいものだね」

 玉あみの棒をかたにかつぐと、ほこらしげな表情をうかべた。

(すごい。あんな小さな身体でマリエさんの入ったあみを、ああも軽々と乗っけられるなんて)


 マミーがお兄ちゃんの目の前に飛んできた。女の子はお兄ちゃんと話をするのにちょうどいい場所まで来ると、『ここでとまって』とマミーへ指示を出す。

 ばさっばさっ。ばさっばさっ。

 マミーはつばさを動かすことで、うかんだままの姿勢をつづけている。

「ネイル、大丈夫だったぁ?」

「ええ。レミナさんのおかげですよ」

「うんうん。よかったよかった」

「レミナさん。レミナさんがここに来たってことは」

「そう。むかえに来たんだよ。この子をね」

(そうか。あの人がレミナさんか)


 マリアさんから名前だけは聞いていた。マリアさんやラミアさん、それにセレン先生とも親友だとか。学生時代は同級生であったことから、いつもこの四人で行動をともにしていたらしい。それでいつしか下級生から『お姉ちゃん組』との異名がつけられてしまったとのこと。

(でも、お兄ちゃんより年上だなんてとても思えないなぁ)

 あどけない顔立ちの中に、いたずらっ子っぽさがひそんでいる。かみは水色で短め。毛先が、くるん、とうち向きにはねている。着ている作務衣はだいだい色。これらのどれもが、彼女の可愛らしさを演出するのに一役買っていた。


 ごそごそ。

 マリエさんが輪っかの部分に両手をかけて、あみの中から、ひょこん、と顔だけ出した。

「痛ぁぁん! うっそぉ! なんなのぉ。んもう、信じられなぁい。

 どうしてぇ? どうしてぇ? こんな目にぃ!」

 マリエさんはひとしきりわめくと、すぐさま頭をあみの中へと引っこめた。だけど、それもつかの間。おそるおそる、みたいな感じで、目の位置があみの外へ出るぐらいまで頭をあげて、こちらの様子をうかがっている。

(ふふっ。まるでいたずらがばれたこどもみたい)

 レミナさんは、やれやれ、といわんばかりの顔を彼女に向けると、やさしげな口調で言葉をかけた。

「もうお務めが始まる時間だよ。帰ろう」

「へっ? 時間?」

 マリエさんは、うで時計に目をとおすものの、首をかしげた。

「でもぉ……。まだ一曲ぶんぐらいなら歌えるよぉぉん。ほらぁぁ」

 そういって時計が示している時刻を見せると、レミナさんは、ちっちっちっ、と立てた人さし指を横にふる。

「マリエちゃん。小さいころ、遠足に行ったことがあるよね。その前日、先生からいわれたはずだよ。時間によゆうをもって集合場所には来てください、ってね」

「うん」

 マリエさんはまるでおこられてでもいるかのように、こくこくとうなずく。

「笑みをうかべてやんわりと話していたとは思うけどね。あれは『おきて』といってもいい。人が生きているかぎり、忘れてはならない決まりごとなんだよ」

 さとすようにいうレミナさん。そこへ、お兄ちゃんが小さな声で耳打ちを。

「いくらなんでもおおげさですよ。そんなことをいったら、僕の知っているほとんどの人が『おきて』をやぶっていることになるじゃありませんか。もちろん、レミナさんやラミアさんも、ね。例外な人といえばせいぜいお姉ちゃんぐらいです」

「しっ!」

 レミナさんは人さし指を自分の口元にあてる。そのあと、まるで悪だくみを話しているかのように二人のひそひそ話がつづく。わたしは二人のそばにいるのでいやでも聞こえてくる。

「いいかい? ネイル。マリアちゃんはね。おきてをやぶらないんじゃない。やぶれないんだよ。性格的にね」

「なるほど。そうともいえますね」

「朝は目ざましを使わずとも時間どおりきちんと目がさめるっていうし、夜は夜で決まった時間になればすぐにねむれるってさ。定規で線を引こうとすれば、ほんのわずかな誤差が生じてもすぐにやりなおしちゃう。こうでなきゃならない、みたいな規律ってぇもんがね。マリアちゃんの身体の中には生まれつきしみこんでいる。そんな気がしてならないよ」

「ですがね、レミナさん。定規の件でいわせてもらえれば、当人は、『何度も引きなおすから紙がよごれたり切れたりして、結局、またやりなおさなきゃならなくなるので大変なんです』ってこぼしていますよ」

「どじっ子っていう側面もあるからね。でも、そこがまたいいんだよ」

「といいますと?」

「常識や規則を重んじた行動をとっているっていうのはね。ゆうずうがきかない反面、たよりがいがあるんだよ。ただそればかりだと性格的にかたすぎて、友だちとしてはつきあいにくい、ってことがなきにしもあらず、なの。ところがマリアちゃんの場合、それを、どじっ子の性格が相殺している。おかげでだれもが親しみをもてる存在になっているってわけ。それにさ。マリアちゃんて親切だし、人あたりもいいじゃないか。だから困った時には相談しやすくてね。助かっているんだ」

「レミナさんはお姉ちゃんが大好きなんですね」

「もち。あちきだけじゃないよ。ラミアさんやセレンもだよ。だから親友になったの」

(そうか。レミナさんたち四人がまとまっているのは、その中心にマリアさんって存在があるからなのね)

「ところで、と。なんでお姉ちゃんの話になったんでしたっけ?」

「えっ。……あっ、そうそう。今はこの子と話をしていたんだね」

(レミナさんが自分より、せの高いマリエさんを『この子』呼ばわりするのは、『ええっ!』って思っちゃうんだけど……、でも年からすれば、レミナさんの方がひとつ上なんだよなぁ)

 レミナさんの目がマリエさんにそそがれる。

「この子にはね。『おきて』、ぐらいの強い言葉で説明した方がためになるんだよ」

「つまり、教育のいっかん、ってわけですか?」

「そういうこと」

「ふっふっふ。でもレミナさん。相もかわらず人が悪いですね」

「はっはっはっ。まだまだ。あちきが本気を出したらね。こんなもんじゃすまないよ」

「ぜひ、いつかそのお姿をこの目で見て、そのお言葉をこの耳で聞きたいものです。

 ふっふっふっ」

「任せておいてよ。はっはっはっ」

 ふっふっふっ。はっはっはっ。あっはっはっはっ。

 きょとんとしているマリエさんの前で二人の高笑いがつづく。

(黒い霊気が立ちこめているなぁ)

 ちょっとひいてしまったわたしがいた。


「音楽祭が再開したのはいいとしてにゃ」

「なに? ミアン的にはなんか文句でもあるの?」

「文句っていうわけじゃないのにゃけれども……。

 今回はてっきり、いきなり出てきたマリエにゃんの話になると思ったのにゃん。ところが、ふたを開けてみたら」

「『マリエ』さんじゃなくて、『マリア』さんの評価になっちゃているのよね」

「にゃあ、ネイルにゃん。これは一体どうことなのにゃん?」

「アタシも教えてほしいわん」

「まだ話のとちゅうなので、こんなことをいっていいのかどうか判らないんですが……」

「なんなのにゃ?」「なになに?」

「どちらの方がフローラとかかわりあいが多いか?

 はっきりいって、この一点につきます」

「にゃるほろ。今までの話からすれば、フローラにゃんが主役なのはいちもくりょうぜん。となればにゃ」

「いきなり出てきたマリエさんよりも、話の合間に、ちらちらっ、と名前が出てくるマリアさんの方に目が向けられるのも当然ってわけね」

「するとにゃ……」

「どうしたの? ミアン。ひさしぶりに後ろ足だけで立って前足を組んでいるけど。なにを考えこんでいるの?」

「今から話すのはウチの推理であって、なんのこんきょもないのにゃけれども」

「ふむふむ。それで?」

「ひょっとしたらマリエにゃんって、これ以降はお話の中に出てこないのじゃにゃいか?

 にゃから深く追求されることもにゃいまま、あっさりとその場を去った。ウチはそんな気がしてならないのにゃん」

「なぁるほどね。特別出演、いや、一回きりの使いすて、ってやつだわん」

「とまぁ思うのにゃけれども……。ネイルにゃん。本当のところどうなのにゃん?」

「ねぇ、どうなの? ネイルさん」

「……僕は……貝になりたい」

「音楽祭が再開したのはいいとしてにゃ」

「なに? ミアン的にはなんか文句でもあるの?」

「文句っていうわけじゃないのにゃけれども……。

 今回はてっきり、いきなり出てきたマリエにゃんの話になると思ったのにゃん。ところが、ふたを開けてみたら」

「『マリエ』さんじゃなくて、『マリア』さんの評価になっちゃているのよね」

「にゃあ、ネイルにゃん。これは一体どうことなのにゃん?」

「アタシも教えてほしいわん」

「まだ話のとちゅうなので、こんなことをいっていいのかどうか判らないんですが……」

「なんなのにゃ?」「なになに?」

「どちらの方がフローラとかかわりあいが多いか?

 はっきりいって、この一点につきます」

「にゃるほろ。今までの話からすれば、フローラにゃんが主役なのはいちもくりょうぜん。となればにゃ」

「いきなり出てきたマリエさんよりも、話の合間に、ちらちらっ、と名前が出てくるマリアさんの方に目が向けられるのも当然ってわけね」

「するとにゃ……」

「どうしたの? ミアン。ひさしぶりに後ろ足だけで立って前足を組んでいるけど。なにを考えこんでいるの?」

「今から話すのはウチの推理であって、なんのこんきょもないのにゃけれども」

「ふむふむ。それで?」

「ひょっとしたらマリエにゃんって、これ以降はお話の中に出てこないのじゃにゃいか?

 にゃからマリアにゃんについてのおしゃべりの方に重点がおかれてしまう結果とにゃってしまった。ウチはそんな気がしてならないのにゃん」

「なぁるほどね。特別出演、いや、一回きりの使いすて、ってやつだわん」

「とまぁ思うのにゃけれども……。ネイルにゃん。本当のところどうなのにゃん?」

「ねぇ、どうなの? ネイルさん」

「……僕は……貝になりたい」


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