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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
ショートストーリー

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七瀬瑞希

 以前来た時よりも片付いている部屋のソファで腰を下ろす。


 ソファの前には40インチほどのテレビとローテーブルが置いてあり、ソファの後ろにはベッドがあって、更にベッドが置いてある反対方向の隅には、配信用と思われるデスクやモニターが一部屋に詰め込まれていた。


 前来た時には気づかなかったけど……一部屋でかなり詰め込んでるな。


「あまりジロジロ見ないで。恥ずかしいから」


 瑞希がジュースや菓子類を机に置きながら隣に座る。


「ごめんごめん。前来た時よりかなり変わってたからつい」


「前の時は汚いって?」


「そこまでは言ってない」


 少々被害妄想が強い瑞希からコントローラーを受け取り、俺たちは前に視線を持っていく。


「じゃあ早速やろっか」


 そう言って瑞希は手に持っているコントローラーで格ゲーを起動した。


「ちなみに、私結構強いけど大丈夫?」


 瑞希は、配信で鍛えられた成果を発揮すると言わんばかりにコントローラーを握って、固定キャラを選択する。


 それに俺は「舐めるなよ」と返してからキャラを選択し、ゲームを開始した。



 それから俺たちは数試合ほど激戦を繰り広げた。いや、激戦というほど激しい戦いではなかった。


 結論から言うと、瑞希こと配信者のみずりんは……壊滅的にゲームが下手くそだった。


 なので、あまりゲームをプレイしていない俺でも圧勝できた。


 まぁ、そこが彼女の人気の秘訣なのかもしれない。


 瑞希は縋りつくようにコントローラーを握りしめ、既にキャラピックを終えていた。


「早くキャラピックして」


「はい……」


 俺は、声に怒りを秘めた瑞希を到底煽る気にはなれなかった。


 試合はその後も続行されて――結果は、23対4で俺の圧勝に終わった。


 ◇◇◇


「うぅ……悔しいぃ……」


 呻きながらも、膝の上に頭を乗せて甘えてくる瑞希。


 コントローラーを机に置いて、完全にやる気ないモードに入っていた。


 狼狽えている瑞希を見るのは久しぶりな気がする。


「そういえば今の瑞希って転校してきた日と比べるとかなり雰囲気変わったよな」


 俺は、頭を上に向けて目を見つめてくる瑞希に、前々から思っていた疑問を口にする。


「それリスナーからもめっちゃ言われる。やっぱり雄也くんから見てもそうなんだ」


「うん。転校してきた時は元気な子って感じだったけど、今は一皮むけたというか……大人っぽさが出て艶めかしくなったというか」


「炎上を機に変わったからね」


 瑞希は「そして」と目を見つめた状態のまま続ける。


「心から好きになれる人も見つかったからね」


 言ってから気づいたのか、瑞希は頬を染めて視線を逸らす。そのまま頭の向きをテレビがある方に変える。


 そんな瑞希を少しだけいじめたいと思った俺は、意地悪な質問をした。


「自分で言ってて恥ずかしくないの?」


「超恥ずかしい」


 瑞希はそっぽ向いた状態のまま答えて、「でも」と続ける。


「事実だから…………それとも雄也くんは私のこと好きじゃないの?」


 言いながら瑞希はまた頭の向きを変えて、膝の上から見上げるように目を見つめてくる。


 そんな彼女に俺はハッキリと告げる。


「好きに決まってる」


「そっ……か」


「ていうか好きじゃなかったらあの日、この家には来てないよ。復讐のためとはいえ、好きじゃない人にあそこまでする義理はない」


 俺はそこまでお人好しじゃない。


「ふーん。なら、私を好きじゃなかったらあのまま見捨ててたんだ?」


 言い方が悪いな、と思いながら俺は思考を巡らせる。が、どうしても瑞希を見捨てるという世界線が想像できなかった。


 俺がお人好しじゃないのは確かだ。復讐のためにタイムリープしたのも確かだ。でも……彼女たちの幸せを願っていたのは本心だった。


「ねぇ、雄也くん」


 俺は瑞希の声に反応して顔を下に向ける。その拍子に瑞希と目が合う。


 そして、



「――好き」



 そんな甘い声が至近距離で聞こえてきたのは、きっと彼女の顔が俺の顔と触れ合う寸前だったからだろう。


 瑞希は俺の首に手を回して、上半身を起こすようにして、唇を重ねた。


 先程までポテチを食べていたからポテチの味がする、ということは全くもってなく、味は特に何もしなかった。


 その代わり、心地よくて妙に顔に熱が集まった。


「――――」


 キスは数十秒間に渡った。


 数十秒後に、唇が離れる。


 そして俺は言えていなかった言葉を口にする。


「俺も好き」


 すると、先程まで妖艶な笑みを浮かべていた瑞希がまた頬を赤く染め上げて、顔の向きを変えた。


 数秒後、落ち着いた様子の瑞希が「よし」と体を起こす。


「雄也くん。もう一回やろ」


 俺はどっちのことを言ってるのか分からなかったが、当然ながらやるのはゲームの方だった。



 そしてその後、俺たちは様々なゲームをプレイしてその日を楽しんだ。


 ◇◇◇


 数時間後。


 ゲームで疲れ果ててソファで眠っている雄也くんを私は見下ろす。


「今日はちょっと張り切りすぎちゃったかな……それに……」


 眠っている雄也くんの唇と目が合うと、また顔が熱くなってくる。


 でも……


 私は眠っている雄也くんの唇をもう一度奪ってやった。


 唇を離して、彼に囁くように呟く。


「眠ってる雄也くんが悪いんだからね」

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