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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
主人公

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49話 罪悪感

「ちょっと立花さん。病人にあれはさすがに……」


 五人全員が集まった病室で七瀬瑞希が立花梨々花を窘める。


「ごめんなさい。さすがに反省してます……自分の感情を抑えきれませんでした」


「どれだけ溜まってるのよ……」


 如月陽菜のツッコミに、望月花音が独り言を呟く。


「私も後でやろ」


「やらんでいい!」


 妙に必死な如月陽菜に高坂結月が笑みを浮かべる。


「如月さん。妙に必死ですけど、どうしたんですか?」


「べ、別にどうもしないけど……ただ病み上がりの雄也を労わってあげようと思っただけ」


「ふ~ん……なら私も後で感情爆発させよ」


「させんでいい!」



 そんな陽菜の声と共に俺は目を覚ます。


 どうやら既に五人全員が部屋に来ているようだった。


 先程まで静かだった部屋が賑やかになっているのが空気間から伝わってくる。


 ベッドの上で一瞬だけモゾっと身動きを取ると、五人の視線が一斉に集中する。


 俺はみんなに感じている罪悪感でまともに五人の顔を見ることができなかった。


「………………………………」


 あまりに長すぎる沈黙が続くことにより、次第に罪悪感も増していく。


 自分から何か言わないと、と思った。その瞬間に立花さんが口を開く。


「え。先輩方なに泣いてるんですか」


 立花さんの言葉に思わず反射的に顔を上げると、言葉通り、立花さん以外の四人が涙を流していた。


 俺はそんな状況に困惑しつつ、全員を宥めるが、四人ともまともに話ができる様子ではなかった。


 盛大に涙を流す結月。静かに泣く陽菜。俺と同じく罪悪感を抱いた表情で涙を流す瑞希。そして、いつもの無表情を涙で濡らす望月さん。


 俺は全員が落ち着くまでしばらく静かに過ごした。


 ◇◇◇


 全員が落ち着いて、俺は色々説明してもらった。


 俺が公園で倒れていたこと。救急車で運ばれたこと。犯人のストーカーが再度捕まったこと。そして……立花さんが、俺と同じく未来からタイムリープしてきたことも同時に教えてもらった。


「そう、だったのか……」


 過去あった告白劇のあの場に彼女もいたのか……。


 二度も彼女に悲惨な光景を見せてしまった。俺は彼女に謝らなければいけない。

 

 一番端に立っている立花さんと目を見合わせる。


 俺が、ごめんなさい、と頭を下げようとした瞬間に、まさかの彼女から先に口を開く。


「先輩……」


 妙に妖艶な潤んだ瞳で見つめてくる彼女に俺は嫌な予感を察知する。


 そんな俺の嫌な予感は、


「もう一度キスしてもいいですか」


 見事的中した。


 まさかこんな真面目な空気の中、そんなことを言われるとは思ってもみなかった。

 

「ほんと貴方って人は……」


 陽菜が嘆息混じりに呟く。


 俺は陽菜に合わせて、コホンと咳払いして再度真面目な空気感を作ってから、頭を下げる。


「立花さん。ごめんなさい――最後、別れ際にあんなことを言っちゃって……」


『俺は君が好きじゃない』


 昔、仲良かった女の子をそんなふうに思うはずがない。


「結月、陽菜、瑞希、望月さんもありがとう。俺の命を救ってくれて」


 「本当に」と付け足して、深々と頭を下げる。


 こんなことで今までしてきた悪行が消えるとは思わなかった。それでも、せめて、今できる精一杯の謝罪だけはしておかないと、と思った。


 数十秒間ずっと頭を下げ続ける。


 彼女たちから何か言われない限り、到底頭を上げるなんて恐れ多いことはできなかった。


 彼女たちは俺に失望しているのか、はたまたタイムリープしてきた俺を知って見限ったのか――それほどの長い沈黙が流れ続ける。


 と、そこで結月がその沈黙を破る。


「ねぇ、杉田くん。未来から来たって本当ですか?」


「ちょっ、高坂さんっ!」


 陽菜の制止をお構いなしに結月は続けてくる。


「神宮寺光輝から聞いたんだけど……これ――」


 俺は頭を上げて、結月の方に目をやる。


「それは……」


 俺が状況整理を行う際に使っていたノートだった。


「もしかして……全部……」


「はい」


 どうやら既に中身は全て見られているようだった。それも全員に。


「うん。本当だよ。そのノートの通り、俺は未来からタイムリープしてきた」


 タイムリープのことは神宮寺から聞いて知っているはずだが、俺自身の口から聞いたことにより、全員今一度言葉を失う。


「見放しただろ……俺は復讐のためだけにタイムリープして、復讐のためだけにみんなの心を弄んだ」


 俺は最低のクズ野郎だ。


 あんな謝罪一度しただけで許されることではなかった。


 こんな可愛い子たちから好かれるほど俺は優しい人間じゃないし、好ましい性格もしていない。ただの意地汚くて復讐心に塗れた人間だ。


 俺みたいな人間は……


「幸せになる価値なんてない」


 これはみんなの心を弄んだ自分への罰だ。


「…………」


 そんな俺の言葉により、全員の表情が一斉に曇る。


「ふざけないで……」


 俯きながらそんなことを言ってきたのは、真ん中に立っていた陽菜だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。


午前7時投稿。投稿はこの時間帯になると思います。


少しでも「面白い!」と感じましたら、ブックマークと★★★★★、よろしくお願いします!

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