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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
主人公

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47話 タイムリープした理由

「前世の私たちは……もれなく光輝のことが好きだったんじゃないかな」


 そんな的外れな言葉が聞こえてきた瞬間に、私は顔を上げて気がつけば否定の言葉を口にしていた。


「ふざけないで――私をそんな中に入れないで」


「…………」


 会話していた四人は、私が顔を上げた驚きでしばらく硬直していた。


 その間に私は平静を取り戻して、後から「――ください」といつもの敬語を付け足す。


「確かに、前世でのあななたちは神宮寺光輝にゾッコンでした。前世ではあななたちに加えて先輩の妹の楓ちゃんもその中にいました。どうして先輩じゃなくてあんな奴を好きになるのか私には理解できなかった。でも、同時に安心もした。先輩を独り占めできると思ったから――」


 前世の告白劇が終わった後、私は一人になる予定の先輩に話しかけるつもりだった。


 それはまるで、恋愛映画の再会シーンみたいに。


 だけど……


「それは叶わなかった。先輩が……死んだから」


 私は続けて的外れなことを言った先輩方に教える。


「それと、先輩はあなたたちを庇って死んだんじゃない。先輩は神宮寺光輝を庇って死んだんです」


「えっ。どういうことですか……?」


 結月先輩の疑問に続いて、陽菜先輩が訊いてくる。


「立花さん。それだとまるで自分も未来からタイムリープしてきたみたいな言い方だけど……?」


 私はその問いにハッキリと答える。


「陽菜先輩の言う通り――私も、雄也先輩と同じ未来からタイムリープしてきました」


 ◇◇◇


 前世、先輩が刺された後、私は急いで倒れてる先輩に駆け寄った。だけど、その時には既に手遅れだった。


 先輩は目を閉じていて、完全に息をしていなかった。


 他の先輩方が救急車を呼んだり、色々な処置をしていたけど、もう意味はなかった。何をしても意味がない。


 そうして私の思った通り――数時間後に先輩が息を引き取ったと楓ちゃんから知らされた。


 でも先輩が亡くなって数日間、私は現実を受け止めきれなかった。


 まだどこかで先輩が生きているかもしれない。普通に学校に登校して、また神宮寺光輝の手伝いをしているかもしれない。


 でも、どこを探しても先輩の姿は見当たらなかった。


 そこで完全に理解した――もう、この世界に先輩はいないんだ、と。


 そう理解してから行動に移るまでは一瞬だった。


 私は――学校の屋上から飛び降りて自殺した。先輩のいない世界に未練なんてなかったから。


 でも、死ぬ直前に一つだけ思うことがあった。


 それは…………もう一度、先輩に会いたい。



 そして気がつくと私は、中学三年生の時にタイムリープしていた。


 初めは何が起こっているのか理解に苦しんだ。でも、たまたま街中で先輩を見つけた時、一瞬にして頭が理解した。


 私は、タイムリープした。


 初めて先輩の姿を見つけた時、思わず涙が溢れた。先輩が生きて動いている。


 ちゃんと生きている先輩を見ているだけで私は満足だった。


 だから話しかけるようなことはしなかった。と、言いたいところだけど、多分私は怖かったんだと思う。


 きっと話しかけても先輩は私を覚えていない。


 そんな恐怖があったから、私は直接先輩には話しかけずに神宮寺光輝と接触をして、先輩の復讐に加担するような行動をした。


 そうして案の定、先輩は私のことを覚えてはいなかった。けど思い出してはくれた。


 先輩が思い出してくれた時は死ぬほど嬉しかった。


 感極まって思わず『セックスしてください』なんて口走っちゃったくらいだし……。


 でもそんな思いに反して私は初め、何度も何度も先輩の復讐を止めようとしていた。先輩がわざわざ身を危険に晒す必要はないと思ったから。


 でも、先輩の言動を見ていると、その復讐がいかに本気なのかが伝わった。


 だから私は復讐に加担した。先輩がそこまで本気なら、と。


 ◇◇◇


 今までの諸々の説明が終わると、陽菜先輩が「つまり……」と言ってきたので私はそれに答えるべく口を開く。


「先輩が復讐のためにタイムリープしてきたとするならば、私は……先輩ともう一度会うためにタイムリープしたんだと思います」


 そんな私の告白に四人の先輩方はそれぞれ顔を見合わせる。


 私は更に続ける。


「私は、先輩さえ幸せになってくれれば良かった。先輩が生きてくれれば良かった」


 でも、その願いはまた(つい)えてしまうかもしれない。


 その証拠に今目の前の先輩はまた死にかけている。


 こんなことなら――


「こんなことになるなら……先輩が貴方たちを助ける前に止めておけば良かった……」


 今でも先輩の眠っている顔を見る度に胸が痛くなる。


 私は、また私は――


「それは違う」


 私が先輩の顔を見つめながら泣きそうになっていると、後ろから否定の言葉が聞こえてくる。


 そんな声を上げたのは、いつも無表情の望月先輩だった。


「確かに前世での私はあの男に惚れていたかもしれないけど……今の私と前世の私は違う。彼は死にそうになっている私を助けてくれた。今の私がいるのは紛れもない、彼のおかげだ」


 続いて、瑞希先輩も声を上げる。


「私も。雄也くんがいなかったら、私はここにいなかった」


 それから続いて、陽菜先輩も結月先輩も声を上げた。


 私は何も言い返せなかった。


 ここで否定したら四人に『死ね』と言っているようなものだったから。


 今の彼女たちは、私が知っている前世の先輩たちではなかった。


 私の知っている先輩たちは、今やどこにもいない。


 今、目の前にいるのは、私と同じく先輩のことを待ち望んでいる女の子たちだけだ。

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