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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
後輩

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40話 ダブルデート 3

 今回のダブルデートも終盤に差し掛かっていた。


 空は既に暗くなり始めていて、その微妙な暗さがお化け屋敷の中を彷彿とさせた。


「どうしたの? もしかしてお化け屋敷のこと思い出しちゃった?」


 考えていると、小馬鹿にするように陽菜から言われる。


「違う」


「その割に、お化け屋敷出てきてから様子が変だけど」


「それは……」


 立花さんのことを考えていたからだ。


『先輩、本当に覚えてないんですか?』


 あの時の立花さんの言葉がやけに引っかかって頭から離れてくれない。


「まぁ、何でもいいけど。雄也のことだし、どうせお化け屋敷の中で可愛い女の子でも見つけたんでしょ?」


「言っとくが俺はそんな遊び人じゃない」


 一体俺を何だと思っているのか……。


「ふ~ん。でも、その割には私との初デートでカップルシート予約してたよね?」


「いや、あれは陽菜が――」


 と、言おうとしたところで、今この場には神宮寺と立花さんがいることを思い出す。


 さすがに二人の前で、『恋人のフリ』の話をするわけにはいかない。


 こほん、と咳払いをしたところで、立花さんがまたしても指揮をとる。


「最後にあれ行きませんか?」


 立花さんが指す方向には、園内で一際目立っている観覧車が光を放っていた。


 これまたデートにはもってこいのスポット。


「私が杉田先輩と、陽菜先輩は神宮寺先輩と」


 だが、今回も一筋縄とはいかなかった。


 それに今回の提案はどう考えてもおかしい。観覧車という密室の空間にダブルデートで来た相手の彼氏と乗るなんて……理解できない。


 本当に彼女は何を考えているのか。


 当然俺以外の二人もその提案に対しては怪訝な表情を浮かべていた。特に神宮寺が。


「なんでだよ。梨々花は俺と乗ればいいだろ」


 神宮寺の問いかけに立花さんは、仮面を被るかの如くいつもの笑顔を顔に彩る。


「だって面白そうじゃないですか! 普段教室での先輩がどんな感じなのか聞きたいですし! 先輩いつも自分のこと話したがらないんで、他の誰かに訊くしかないんですよ」


「俺から何を聞きたいんだよ?」


「例えば……一年生の時の先輩、とかですかね」


「…………」


 瞬間、その場に気まずい空気が流れる。


 その空気を和ませるかのように立花さんはすぐさま付け加える。


「先輩がどんな人と仲良くしてたのか、学校で誰かと付き合っていたことはあるのか、とか気になりますしね!」


 二人が逡巡している中、俺が声をあげる。


「俺は別にいいよ」


 陽菜には悪いけど、これは俺にとって何かを掴む絶好のチャンスなのだ。


 この機を逃すわけにはいかない。


 それに俺の見解だと、神宮寺は既に立花さんに惚れている。だからもし、陽菜と密室になったとしても余計な手出しはしないだろう。


 本気で惚れている女の前で、自分の評価を下げるような真似はしない。


 それでも、当然二人は納得できないと言った様子で怪訝な表情を浮かべていた。


 と、そこで立花さんが神宮寺へ熱い視線を送っていることに気がつく。


 しばらくしてから神宮寺は「分かった……じゃあ俺は陽菜と乗るよ」と立花さんから視線を逸らした。


 残すは陽菜だけだった。


 俺は、立花さんがしたように陽菜へ視線を送ると、陽菜はやれやれと軽く息を吐いてから、「分かったよ」と賛成してくれた。


 俺は陽菜に「ごめん」と耳打ちし、これで晴れて立花さんの乱暴な提案が実行されることとなった。


 俺たちは二手に分かれて、それぞれ観覧車に乗った。


 向かい合う形で立花さんと座り、俺は早速切り出す。


「何が目的なんだ?」


「さっきも言いましたけど、私は杉田先輩に神宮寺先輩のことを――」


「嘘だ」


 遮るように言うと立花さんは黙り込む。


「あんなの誰でも気づく。前提として神宮寺の過去を知りたいのなら陽菜でもいいわけだし」


 初めから分かってはいたが、彼女は俺に何かを伝えようとしている。


 それが分からないから俺は今現在、スマホを鞄から取り出す立花さんを見つめることしかできなかった。


「それより先輩! 私たちまだLINE交換してませんでしたよね! 交換しましょ!」


 スマホをいじり始めた彼女は、話を逸らすようにLINEのQRをこちらへ向ける。


「今日集合する時も連絡しようとしたんですけど、LINEを交換していないことに気がついて困ってたんですよ」


 言いながら、徐々にスマホを近づけられる。


「分かった。交換しよう」


 特に断る理由もなかったので、俺は交換することに決めた、


 それにこんなことで時間を使うわけにはいかなかった。


 今後彼女と二人っきりで話せるのは、今日が最後だと思ったからだ。


 LINEの交換を終えて、お互いスマホをしまう。


「それで、本題だけど……なんでこんなことしたの? お化け屋敷の時も、俺と一瞬でも二人っきりになるために、色々仕組んでたよね?」


 俺がまくし立てた後、立花さんは「ふぅ〜」と深呼吸をして、目を見合わせる。


「私もまだまだですね〜。ですが――」


 その瞬間、一気に立花さんの雰囲気が変わる。


「先輩。自意識過剰です。私は確かに色々仕組んでました。正直さっきの観覧車は自分でも無理を言っているのが分かってました。ですが……どうしても相談を聞いてほしくて、このような行動をしたまでです」


「相談?」


「はい。実は私…………」


 長い沈黙が流れた後、


「明日先輩に告白しようと思ってるんです」


 彼女は、初めて赤面した顔を表に出した。

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