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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
生徒会長

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33話 犯人

 その日の放課後。


 神宮寺が教室を出ていく姿を見て、俺はその後を追いかける。


 結局、俺はまたストーカーに戻る。


 正直もうあまりこのような行動はしたくなかったのだが、今回はやむを得ない。望月さんに『もうやらなくていい』と言われてしまった以上、一刻も早く犯人の手がかりを見つけないと。


 神宮寺とその横には彼女の望月さん。


 二人のカップルは、並行しながら校門を通り、帰路につく。


「そういえば、花音ちゃん。いじめは大丈夫?」


「大丈夫。最近は収まってきてるから」


「それなら良かった。何かあったらすぐに言うんだぞ? 俺が何としてでも守るから」


「うん。期待しとく」


 言いながら、神宮寺が望月さんとの距離を縮める。


 二人の密着度が増す。


 相思相愛ではないのに、お互いただ相手を惚れさせるためだけに密着する。


 それを見ていた俺は、焦ることもせず、ましてや感情を高ぶらせることもなく、ただただ愕然とする。


 何せ、二人を陰から見ていたのは俺だけではなかったからだ。


 俺以外にも二人のことを見ていた女の子――彼女は、数ヶ月前にいじめで退学になった杏奈さんだった。


 杏奈さんは、さながら瑞希のことをストーカーしていた男のようだった。


 絶対にバレてはいけない、という緊張感と執念が感じられた。


 イチャイチャする二人を杏奈さんは目を血走らせながら電柱を爪で強く握っている。


 そういうことか。そういうことだったのか。


 そんな決定的瞬間を目にした俺は、今までの疑問が全て吹き飛び、足りなかった残り一つのピースが揃って確信する。


 いじめの犯人は杏奈さん。彼女だ。


 彼女は神宮寺とイチャイチャしている望月さんを見て嫉妬した。その嫉妬により、あのような悪意にまみれたいじめが発生したということだ。


 一体、強制退学した彼女がどうやって望月さんの私物を隠したり机に落書きをしたりできたのか……。どうやって学校に忍び込んだのか……。

 

 俺が朝、登校してくる時には既にいじめは完遂されている。


 つまり考えられるのは、夜中の学校に不法侵入して作業に入る。


 だが、それだとあまりにも不明瞭だ。


 俺は朝の学校を思い出す。


 入口、校門……警備員。


 そういえば、いつも俺が学校に来る頃には既に警備員さんが来ていた。


「…………」


 しばらく考えて答えが出る。


 そうか。制服だ。


 杏奈さんは元々は本校の生徒だ。つまり前着ていた制服がまだ残っている。


 制服姿を見たら警備員さんは、杏奈さんを本校の生徒だと思うはずだ。


 きっと杏奈さんは制服を着た状態で『忘れ物をした』とか適当な理由を作って、学校に入れさせてもらっていたのだろう。


 そうだな……夜の九時辺りならできなくはない時間帯だ。


 だが、そう何度も忘れ物を理由にしていると、不自然に思われるはずだ。


 どうして警備員さんはあんな早くに学校に来ていたのか……。


 それは、何度も忘れ物を理由に学校へ来る杏奈さんを心配に思った所以だろう。


 そんな夜中に何度も学校へ来るなんて何か話せない理由があるに違いない。そう思った警備員さんは、いつでも杏奈さんが学校に入れるように待っていた。


 憶測に過ぎなかったが、なくはない話だった。というか、今の杏奈さんのストーカーがその憶測を事実へと変えていた。


 彼女は警備員さんの善意を踏みにじったのだ。そんな彼女は今現在、二人のカップルを憎悪のこもった眼差しで見つめている。


 一体どうしたらあんなになるまで惚れられるのか理解できない。


 もしかして神宮寺は退学後の杏奈さんを、更にたぶらかしてもしたのだろうか。確かに奴なら『使える駒』が欲しくてそういう行動をしていてもおかしくはない。


 俺のそんな考えは的中していたのか、神宮寺はまるで杏奈さんの感情を逆撫でするように、イチャイチャを見せつける。


 神宮寺はあくまで杏奈さんの存在に気づかないふりをしている。


 きっと奴は思っているのだろう。これで明日、またいじめが悪化する。そしてそろそろ決着をつける、とも。


 ――パシャリ。


 俺はそんな計画を阻止するべく、その決定的な瞬間を写真に収めた。


 ◇◇◇


 数日が経過した。


 あれから望月さんのいじめは完全になくなった。


 あの後、俺はストーカーしている写真だけでは証拠不十分だと判断し、その結果、俺も夜の学校へと出向くことにした。


 案の定、望月さんの机に落書きしている杏奈さんがいたので、その瞬間も写真に収めた。


 バレたら何をされるか分からなかったので、一旦身を隠し、杏奈さんが作業を終えて帰った後、俺は朝と同じように望月さんの上靴を探し、机の落書きも消した。


 完全な証拠を手に入れた俺はそのまま急いで交番に直行して、その証拠を提出した。


 『もう夜遅いから』とすぐに帰されたものの、数日して杏奈さんに関する連絡が来た。


 杏奈さん――彼女は女子少年院に入ることになった。


 少し気の毒だけど、神宮寺の洗脳から呼び覚ますためにはこうするしかなかった。


 気疲れした俺は休み時間、一人で屋上に行き、外の空気を吸って、その空気を一気に吐き出す。


 今回は本当に疲れた。だが、何とか解決できて良かった。


 その後、雲一つない空を眺めながら、ゆったりとした時間を一人で過ごした。

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