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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
転校生

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28話 理由

 校舎裏から目を背けるかのように、今はただ走る。


 またあいつだ。またあの男が俺の邪魔をしてきた。毎度毎度、俺が行く先にあの男が待ち伏せている。


 そして俺の所有物になるはずだったヒロインたちが次々と奪われていく。


 そんなの窃盗と言っても差し支えない。全国の警察官は一刻も早くあの男を捕らえるべきだ。


 本当に……どいつもこいつも……腹が立つ。


 モブの分際で、主人公に楯突くなんて……俺は絶対に諦めない。


 何としてでもハーレムを作り出してやる。可愛い女の子たちに囲まれて、チヤホヤされて、あの男のヒロインも奪い返してやる。


 そして最後、一人ぼっちになったあいつにこう言うんだ。


『ざまぁみろ』


 物語の主人公は一人でいい。ハーレム主人公は俺だけでいい。


 俺は一から這い上がって、最後には悪人(あいつ)をも凌駕する主人公になって嘲笑うんだ。このくらいの障壁で俺を止められると思うなよ。


 杉田雄也――お前だけは絶対に許さない。


 あいつのことはずっと嫌いだった。ずっと、ずーっと……高校に入学する前からあいつのことを恨んでいた。


 何てったって俺は、杉田雄也に復讐するためだけにこの高校に入学したのだから。



 あれは、二年前の中学生の頃。


 俺には他校に好きな人がいた。生まれて初めて好きになった人だった。


 その子は街中で足をケガして困っている俺に手を差し伸べてくれた。だが、俺はその瞬間、こんな奴に助けられる義理はない、と思った。


 それでも彼女は全く気にした様子を見せずに、凛々しい表情で俺を見下ろすだけだった。


 だからだろう。俺は、初めて自分のことを見ない彼女に惚れた。


 視界では見ていたものの、あの女はいつも別の物に目を奪われていた。


 街中で出会っても、いつも上辺だけのしょうもない会話だけ。まるで俺のことを見ていなかった。


 彼女の目には、いつも、いつも、いつも、あの目障りな男だけが映っていた。


 そう。その男は――杉田雄也。目障りなあのモブ男だ。



 俺はあいつを絶対に許さない。


 始めは確かに、学校でハーレムを作ってあいつにひけらかすぐらいの軽い気持ちだった。が、あの男は幾度となく俺の計画を邪魔した。


 一度目の校外学習費の計画。あれは理解不能だった。


 俺が奪ったはずの校外学習費用があいつの懐から出てきた。と、思ったら俺の鞄には封筒に入った札束が奥底で眠っていた。


 一体何がしたいのか理解できずに、時は流れ、奴は気づけば陽菜と仲良くしていた。


 俺は、廊下の方で陽菜と杉田が話しているところを見た瞬間にどうにかなってしまいそうだった。ずっと俺に好き好きと靡いていた女がいきなり因縁の相手とカップルになったなんて言い出すもんだから、笑うことしかできなかった。


 だが、聞けば奴らは俺を嫉妬させるために付き合ったと、休日の日に知った。


 それを知っても尚、俺は怒りを抑えきれなかった。


 一度あいつの手に汚された女なんか喋りたくも、視界に入れたくもなかった。気持ちが悪すぎて、告白された時は思わず手が出そうになったくらいだしな。


 そして今回。俺はほぼ勝利を確信していた。ようやく一人目のヒロインが手に入る、と。


 だが、また失敗した。また奴の手によって、俺の所有物は汚された。


 またあいつが……またあの男が……。


 怒りをぶつけるかのように、地面を強く踏みしめる。


 奴の顔。奴の声。奴の匂い。全てが脳裏にちらつく。


 捻りつぶしたい。圧倒したい。地に手をつかせたい。


 次こそ……次こそは絶対に失敗しない。


 俺はいかに杉田雄也の目を掻い潜るか考えながら、ある人に偶然を装って運命の出会いを果たすため、先輩たちがいる階へと向かった。


 ◇◇◇


 廊下側で、大勢に囲まれた瑞希を、まるで他人事のような眼差しを向ける。


 瑞希ことみずりんが活動を復帰してから数ヶ月が経過していた。


 あの配信の後、みずりんは炎上する前の絶大な人気を取り戻す、ことはなく……あの配信により注目度が前までの倍になって、みずりんの人気の勢いは留まることを知らなかった。


 それにより、学校内での瑞希の人気も爆上がり。そこから更に瑞希は神宮寺と絡むこともなくなったので、休憩中はこうして常に誰かから囲まれている。


「あの子の人気凄いね」


 そこで廊下の窓に頬杖をついた彼女が話しかけてくる。


「陽菜」


「なんか話すの久しぶり?」


「そんなこともない。っていうか何なら昨日LINEしただろ?」


「あー。そういえばそうだっけ」


「ほら、これ――」


 そう言ってLINEのトーク画面を見せる。


 それを見た陽菜は納得した顔を見せるが、次の瞬間に表情が曇り「なにこれ?」と訊いてくる。


 疑問に思いながらスマホの画面を自分の方へ向けると――あっ。


 スマホ操作を誤ったのか、なぜか画面にはトーク一覧が映し出されていた。


 そして一番上には朝、『おはよう』とLINEが飛んできた瑞希とのトークが表示されていた。


 その下には『見ているから』と少し不気味な結月からのLINE。


 そして、その下に陽菜……。つまり陽菜と交わしたLINEが一番前ということだ。


「やっぱ久しぶりじゃん……」


 不貞腐れながら、なぜか自分のスマホを連打する陽菜。


 次の瞬間――ピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコン。


 スマホが怒りを表すかの如く、震えまくる。


「あのー。スタ連をやめてはくれませんか?」


「やだ」


 まさかのスタ連拒否を拒否されるとは思わなかった。


 それ手疲れるだろ……。


 ぼんやり眺めつつ、震え続けるスマホをポケットにしまうと、髪の長いある女子が俺の真横を通る。


 凛としていて、ロングの紫髪から感じられる雰囲気は――圧倒的真面目。


 綺麗な彼女はうちの教室に顔を出すや否や、


「神宮寺くん」


 落胆していた男の名前を呼んだ。

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