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憧れのラブコメ主人公のハーレム計画に加担していたけど、クズ野郎と分かったので、次こそは阻止して美少女たちを幸せにしようと思います  作者: 砂糖流
転校生

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22話 炎上

 七瀬さんこと、みずりんの炎上の原因はズバリ、ガチ恋勢による嫉妬だった。


 いつかは分からないが、捕まったあのストーカーが、神宮寺と一緒にいるみずりんを写真に収めていたのだ。


 その写真が今日、あのストーカーと思わしき男のアカウントから投稿され、瞬く間に拡散された。


 多分だが、男は捕まることを想定して、復讐のために予約投稿をしていたのだ。


 普通の配信者ならここまで炎上はしない。が、みずりんの場合、配信スタイルがコスプレをしながらゲームするというものなのだが、内容としては言わば『アイドル売り』というものに近かった。


 みずりん本人にその気がなくても、ファンからすれば、別の男がいて且つそれを隠すのは、裏切りのような行為だった。


 そうなれば、炎上するのは容易だ。


 基本的にみずりんに投げ銭をしまくっていたガチ恋勢たちが、拡散して叩きまくっていた。


『ふざけんな! 金返せよ!』『あんな配信しときながら結局男いんのかよ』『ファンになって損した』


 理不尽極まりないガチ恋勢たちに、炎上を面白く思った一般ユーザーたちが火に油を注ぐ。


 周りが叩いてるから自分も叩こう、という考え方のクズ野郎がネット内で溢れかえっていて、本当に見るに堪えなかった。


 ホームルーム前の朝の教室内は、みずりんの炎上の話題で持ち切りだった。


 神宮寺は何事もなかったかのように陽キャグループと話していて、まるで動揺が見受けられない。


「なぁ、光輝。お前これ大丈夫なんか?」


「大丈夫だろ。何もしなければどうせすぐに収まる」


「いや、そりゃそうだろうけど……」


 意外にも、教室内の皆、神宮寺と七瀬さんを心配する声が多かった。


 その七瀬さん本人はさすがに学校には出向いていないのだが。


「七瀬さんは大丈夫なんかよ? 彼氏なんだろ?」


()()付き合ってないけど、確かに心配だな。後でLINEしてみるよ」


 神宮寺は友達にそう言って、スマホを構えながら、ニヤリと、あの不気味な笑みを浮かべた。


 あまりに自然な笑みなので、周りは違和感を抱いていなかったが、唯一それを見ていた俺だけが気がつく。


 もしかしてあいつ……何かやったのか?


 ピキっと怒りが湧いてきたが、冷静に考え直す。


 普通に考えたら、神宮寺がいちいちみずりんを炎上まで追い込む意味がな――思いかけたところで――いや、ある。


 前世のことを思い出す。


 前世でもみずりんは同じように炎上して、その後、学校には来ず一時的に家に引きこもることになる。


 だが、数ヶ月後、七瀬さんは突如学校に姿を現して、まるで何事もなかったかのようにこう言うのだ。


『私。配信やめた』


 登録者数100万人越えのみずりんのアカウントは完全に削除された。


 その後、配信者を完全に引退した彼女は、以前よりも神宮寺に自分の想いを伝えて、常に神宮寺の一番になろうとしていた。


 前世の七瀬さんは、他のヒロインが気圧されるほど圧倒的なヒロイン力を発揮していた。


 それが一体何を意味しているのか……。


 配信も世界の人間も何もかも信じられなくなって、信用できるのは神宮寺だけになったということだ。


 前世、七瀬さんは神宮寺に縋りつく以外で人生の生きる意味を見い出せなかった。


 だから前世の七瀬さんは途端に洗脳されたように、縋りつくように、神宮寺に猛アタックし始めたのだ。


 一度絶望を味わわせて、そこから主人公のように救い出す――神宮寺がよくする手法だ。


 そんなやり方で女の子から好きになってもらって何になるんだ。


 結論が出た瞬間に、俺は我を失う。


 配信を頑張っていた彼女の人生を壊しておきながら、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる神宮寺に怒りを抑えきれない。


 本格的に笑いが堪えきれなくなった様子の神宮寺は、早足で教室を出ていく。


 俺は、血が出るほど強く唇を噛みながら、その後を追いかけた。


 人気の少ない校舎端に着いた瞬間、神宮寺は、「っぷ」という声と共に、大声で笑い出す。


「本当に傑作だっ。まさかあのストーカー野郎がこんな馬鹿な真似をしてくれるなんてっ。感謝しないとなっ」


 ケタケタと笑う神宮寺に俺は舌打ちをしながら背を向ける。


 お前がやらないなら俺がやってやる。


 今でも布団の中で苦しんでいるかもしれない七瀬さんを、俺が慰める。


 俺なんかじゃ、彼女を慰めるのは不可能に近いかもしれない。きっと今、七瀬さんが求めているのは神宮寺だけだから。


 それでもこの正義感で、少しでも彼女の縋りになれるのなら、俺はとことんやってやる。


 これは俺にとって、何も行動できなかった彼女への贖罪だ。

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