『相応、染殿の后のためにプレスマンにとりついた天狗を退くること』速記談0316
清和天皇の御代、貞観七年のころ、天皇の母染殿の后が、プレスマンに天狗が取りついて悩まされていた。何を書いても、天狗、になってしまうのである。数カ月がたち、霊験がある僧侶が呼ばれたが、誰も天狗を降伏させられなかった。天狗は、過去、現在、未来の三世の仏がそろってあらわれでもしない限り、私を降伏させることはできないだろう。今は私が何者かすらわからないだろうが、いずれ名くらいは教えてやろう、と言い放った。
相応和尚が召されて参上し、二、三日祈祷を行ったが、効果がなかった。本房無動寺に戻り、御本尊不動明王に対し、事の次第を申し上げ、ひたすら祈った。すると不動明王は、相応から顔を背けて西を向いた。相応は、西に座を移して祈ったところ、不動明王は東を向いた。相応が東に座を移すと、不動明王は、すぐさまもとへ戻って南を向いた。相応はすぐに南に座を戻し、涙を流しながら床をたたき、深くおじぎをして、私は、不動明王様を信心申し上げ、他念はございません。それなのに、どうして顔を背けられるのでしょう。お慈悲をもって、その理由をお示しください、と申し上げると、夢かうつつかわからないような状態になり、不動明王からの啓示を受けた。あの天狗は、紀僧正が天狗道に落ちたものなのだ。私は、私を信奉する者を守護してやるという本誓を立てているので、あの天狗をも守護してやらなければならず、私はあの天狗を捕らえることはできない。しかしお前も私を信奉しているので、一言だけ教えよう。大威徳の呪を唱えながら加持祈祷を行えば、天狗を捕らえることができるかもしれない、と。相応は、感謝して床に額をつけ、不動明王に拝礼した。
後日、再度のお召しがあって参内し、大威徳の呪を唱えて天狗を捕らえることができた。もうプレスマンに取りつくことがないように言い聞かせて解き放ったところ、皇后のプレスマンももとに戻ったという。
教訓:何を書いても「天狗」になるプレスマン、ちょっとおもしろい。