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第8話 初キス

「早くしないと休み時間が終わってしまって、他の人に見られるかもしれないから」



「戸松さん、僕が本当にキスして良いの? 」



「私からお願いしてるんだから良いに決まってるじゃない」



「それじゃ、ちょっとだけするね」



 そして僕が戸松さんの可愛い唇にゆっくりとキスをしていくと、戸松さんは顔を真っ赤にしながらこう言ってくる。



「私のファーストキスどうだった? 」



「す、すごくドキドキして良かったよ。でも戸松さん今、ファーストキスって言ってたけど… 」



 すると戸松さんが、小声でゆっくりと話し出す。



「うん。実は今まで男子とキスしたことなかったの。私、男子と接するのが苦手だったから… 」



「それならどうして僕には、普通に接することが出来てるの? 」



「それは自分でもよく分からないの。でも何故か桜井くんにキスを求めてしまった感じかな… 」



「そうだったんだね。小説の方は、進みそう? 」


 僕がそう聞くと戸松さんは、明るそうな表情をしながら答えてくれた。



「すごく進みそうだよ!実験台になってくれてありがとう! 」



「ううん。僕の方こそありがとう。すごく嬉しかったよ」


「すごく進みそうだよ!実験台になってくれてありがとう! 」



「ううん。僕の方こそありがとう。すごく嬉しかったよ」



 こうして僕の一つのアドリブ行動が、僕と戸松さんの関係を思わぬ展開になってしまったのである。



 それから放課後になって僕は、作家部に行くため戸松さんに場所を聞く。



「戸松さん、作家部ってどこにあるのかな? 」



 すると戸松さんは、不思議そうにしながら質問してくる。



「どうして作家部の場所を聞くの? もしかして私の跡をついていきたいの? 」



「違うよ。昨日、水樹先輩に逢って誘われたんだよ」



 僕が事情を話すと戸松さんは、驚きながら返事する。



「えっ、水樹先輩って部長じゃない! 」



「うん。部員に男子がいないから来てほしいって言われてるから、見学しにいこうと思ってるんだよ」



 僕がそう言うと戸松さんがすごく嬉しそうにしながら話しかけてくる。



「そうだったんだ!って事はこれから私たち一緒の部活になるかもしれないね」



「そうだね」



「もし、桜井くんが入部してくれるなら、私から個人的に入部特典つけちゃうよ! 」



「入部特典ってなんだよ! 」



 僕が顔を赤くしながら質問すると、戸松さんが近寄ってきて僕の耳元で、小さな声で教えてくれる。



「入部特典はね、私とデートだよ! 」



「デートって今現在でも、お互い席が隣で僕、ドキドキしてるんだけど… 」


「これてデートまで出来たら、楽しい学校生活が送れると思うわよ」



「戸松さん、是非考えておくね! 」



 僕がそう言うと戸松さんは、すごく嬉しそうにしながら僕の手にゆっくりと触れてそのまま繋いでくる。


「私、桜井くんと一緒に部活したいと思ってるから良い返事待ってるわよ」



「ちょっといきなり手なんて繋がれたらドキドキするから」

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