表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/53

第7話 アドリブ

「実験台ってどうしてそうなるんですか? 」



「君は、私の変なところを見たんだから、そのくらいしてもらわないと困るよ。もし断るって言うなら先生にえっちな事して来られたって言う」



 急に僕の方に迫ってくるため、僕は、その女子にこう返事をする。



「分かりました。僕が実験台になります」



「それならさっきの事は許してあげる」



 すると今度は、急に机を僕の机にくっつけてくる。


「ありがとう」



「別に良いよ。あっ、私は戸松 心美。よろしくね」



「僕は、桜井 勇人と言います。よろしくお願いします」



「桜井くん、硬いわね!敬語じゃなくて良いよ。席も隣なんだから」



「ありがとう、戸松さん」



この時、戸松さんは少し笑ってくれた。


 笑ってくれた戸松さんの表情が僕にはすごく可愛く思ってしまった。



「あっ、次の休み時間になったら体育館の裏についてきてくれない? 」



「どうして体育館の裏になるんだよ」



「だって他の人に見られたくないから」



「それなら良いよ」

 こうして僕は、次の休み時間に戸松さんと体育館の裏に行くことになった。



 そして休み時間になって、僕と戸松さんは体育館の裏に移動すると、戸松さんがいきなり、セリフと行動について説明してくる。



「それじゃ、桜井くんは優くんの役で、私は彩希ちゃんの役をするから、桜井くんは、彩希好きだよって言って近寄ってきてくれる? 」



「分かった。今からセリフ言ってから近寄っていくよ」



「桜井くん、頼むわね」


 僕は、言われた通りのセリフに少しあることを付け加える形で、言ってから戸松さんに近寄っていく。



「彩希、好きだよ。他の誰よりも好きだよ! 」



「優くん、そんなこと言われたらもう我慢できない! 」



(ちゅっ!)



 すると物語の中に入り込んでる戸松さんは、そのまま僕の唇にキスをしてくれた。


僕は、この時すごく幸せな実験台だと思ってしまい、ドキドキが止まらなくなっていた。


 そしてここで、戸松さんが急に顔を真っ赤にしながらこう言ってくる。



「桜井くん、勝手にアドリブをいれないでよ! 」


「実験だからアドリブを入れてみた方が、良い感じになるかなって思ったんだけど… 」



「良い感じになりすぎて本当にキスしてしまったじゃない! 」


「それは戸松さんが物語の中に入り込んでたからじゃないの? 」



 僕がそう言うと戸松さんは、さらに顔を赤くしながら小声でこう言ってきた。


「桜井くん、私の唇を奪ってよ」



「ちょっといきなり何を言い出してるんだよ」



「私だけドキドキするなんてズルい! 」



「それは実験と関係あるの? 」



「関係あるよ!桜井くんのえっちなアドリブのおかげで今、すっごく良いキスシーンが思い付いたから」


「別にえっちなアドリブではないと思うけど… 」


 僕が苦笑いしながらそう言うと戸松さんは、急かしてくる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ