第18話 スランプ気味
こうして僕は、彩奈と意外な場所で仲良くなることが出来た。
そしてその日の放課後、僕は、戸松さんと一緒に作家部に向かってると戸松さんが、恥ずかしそうにしながら話しかけてくれた。
「ねぇ、これから二人きりの時だけじゃなくて、どこでも私の事、心美って呼んでほしいんだけど良いかな? 」
「もちろん良いよ。それじゃ僕のことも勇人で良いよ」
「ありがとう、勇人! 」
すごく嬉しそうにしてくれている心美とも距離が縮まっていき、僕は作家部の女子全員の事が好きになっていく。
そして作家部に到着すると結衣先輩が、真っ先に迎えてくれる。
「おっ、今日も来たんだ」
「正式に入部させてもらうために入部届も持ってきました」
「そうなんだ。まぁ、好きすれば」
結衣先輩は、相変わらずツンツンした冷たい態度だった。
そして心美と彩奈は、いつも以上に執筆を進めていき、結衣先輩も執筆を進めていく。
しかしその中で小倉先輩だけ何故か、筆が進んでいなかったため僕は、聞いてみることにした。
「小倉先輩、調子がよくないみたいですが、大丈夫ですか? 」
「実は、ちょっとスランプ気味なんだよね」
「それは大変ですね」
「みんなみたいに小説が書けたら良いんだけど、書けないから困ってるんだよね」
小倉先輩が、頭を抱えながら困ってる姿を見ていた結衣先輩は、小倉先輩にこう言ってあげる。
「小倉、そう言う時はノートと色鉛(色鉛筆の略)持って校内をゆっくり歩いてみたらどうだ? 勇人も一緒に」
「どうして僕も一緒なんですか? 」
「勇人も正式な部員になった以上、小説・マンガ・イラストのいずれかの制作活動をしてもらわないといけなくなるから、一緒に校内を歩いた方が、何か良い内容が思い付くかもしれないだろ? 」
「確かにそうですね。僕はまだ書きたい物が決まっていませんからね」
僕がそう言うと急に小倉先輩のテンションが上がりながら、僕に話しかけてくる。
「桜井くん、一緒に歩き回ろう! 」
「小倉先輩が宜しければ良いですよ」
「それじゃ結衣部長、桜井くんと少し出掛けてきますねー! 」
「遅くならないように気をつけるんだぞ! 」
「分かりました」
そして僕は、小倉先輩と一緒に校内をゆっくりと歩き回っていく。
一方、部室で執筆を続ける心美が結衣先輩に不安そうにしながら質問する。
「部長、2人きりにさせて大丈夫なんですか?もし小倉先輩が、桜井くんとえっちな関係になってしまうかもしれません」
しかし結衣先輩は、冷静な表情で心美に返事をしていく。
「それなら大丈夫だ!小倉はスランプ気味だし、勇人は作品を作るためのネタを探しに、それぞれ出掛けてるから心配はいらないと思う」
「あっ、今2人にとっては、それぞれ作品を作るための大切な時間だからって事でしょうか? 」
「簡単に言うとそう言うことかな」




