あの色
鮮やかな藍色の
紫陽花に見惚れる。
人知れず暮らす身が。
雨に濡れて拙い。
心へと映り込む。
前向きじゃない時でも、
寄り添ってくれるようで、
昔から麗しい。
生きることは素晴らしい。
雨に濡れた紫陽花が、
あの人への愛しさを
気づかせてくれるから。
縁側で眺めていた
幼い頃の夢。
その日は淡い紅の
紫陽花の傍らで。
心から滲み出る。
何も学んでなくても、
抱きしめてくれるようで、
好きな庭の景色。
大事なのは懐かしさ。
雨上がりの紫陽花に、
あの夢への純情が
淑かに浮かぶから。
紫の紫陽花なら、
尊い明日の色。
人間は迷うばかり、
雨がまた降り出した。
心とは何だろうか。
見えない明日に繫がる
秘密の扉のようで、
愛や夢を誘う。
言葉に出来ぬ思いと、
雨に帰る紫陽花の
あの色の移ろいを
いつしか許すから。




