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1.はじまり

「お願いします!私はわざと治療をしなかったわけじゃ決してありません!話を聞いてください!」


月明かりがわずかに差し込む薄暗い牢屋に長い黒髪の女性の悲痛な声が響く。


「イルマ、あなたは王太子殺害未遂の罪で明日、王都中央広場での斬首刑が決定したわ…残念だわ」


鉄柵の前に立ち女性を見下げていた銀髪の女はそう言い残し言い去っていく。


一人残された女性は小さな鉄格子のはまった窓から見える月に向かい手を合わせる。


「女神様…!!なぜ私にこのような仕打ちをするのですか…!こんなことになるなら私は聖女になんてなりたくなかった…!小さな村でも貧しくても!お父さんとお母さんと弟の4人で静かに暮らせていればそれだけで満足だったのに…!」


そうして彼女はそのまま石畳に伏せるように泣き崩れ…


翌日、刑は執行された。


―――――――――――


「ありえない!!!」


自室で叫ぶ私は加藤綾野、日本に住む19歳のちょっと事情があって休学中の女子大生。


私は人気ゲーム「救国のディモルフォセカ」をプレイし1つのエンドに到達したところだ。


このゲーム、キャラクターのビジュアルや声優陣は豪華でいいのだか、どのルートに行ってもイルマはトゥルーエンド以外はすべて悲惨なことになるらしい。


そしてそのトゥルーエンド到達がめちゃくちゃ難しい。


販売されて間もない為もあるだろうか、攻略サイトにもまだ情報はないほど。


私の推しキャラは何を隠そうその大聖女イルマなのだ。


黒く長い髪、お人形みたいに整った幼さの残る顔、控えめで優しい性格、そしてなにより愛してやまない大声優様が声を担当。


推すなっていうほうが無理。


「なんでこの子にこんな当たり強いのよ!こんなにいい子なのに…」


買ってから一か月、寝る間も惜しんで到達したのは6つのエンド。


そのどれもが、処刑か野盗に襲われて死ぬか、奴隷として飼われ殺されるか、自殺をしてしまうなど。


プレイしててわかるのはこの子はゲーム内で悪役聖女なんて言われてるけど、心が清らかな困った人のことをほっておけない、そんな子。決して悪役なんかじゃない。


それでもそう言われるのはもう一人の大聖女のローゼリア・コルトハイルと取り巻きたちがそう仕組んでいたせい。


イルマは農村の平民でローゼリアは侯爵令嬢。


聖女に身分差はないため、平民でも成績が優秀なイルマがこのまま自分と一緒に王族に嫁ぐのが耐えられなかったためだと言われている。


この世界には魔法がある。


火、水、風、土、白、闇の6属性。


その中でも希少なものが白属性のみ使える治癒魔法と呼ばれるもの。


治癒魔法とは、大きく分けて2種類あり、『病』を治す力と『怪我』を治す力がある。


基本的にはどちらかの力しか使えない。


稀にどちらも使える者もいるが、どちらか一方は劣るという。


物語の舞台となるクラインネスタ王国では5歳になると、教会で魔法の適正を授かる。


ここで白属性と分かれば、平民貴族関係なく国に保護され王都にある教会で聖女教育を受ける。


そして病専門の聖女クラスと怪我専門の聖女クラスに分かれる。


教育は9年間で、修了時の成績、魔力量や使える魔法などでその先の配属先が変わる。


修了したものは自らの治療院を持つことが許され、貴族とのみ婚姻も認められる。


様々な理由で修了まで至らなかったものは各地にある教会の中の常駐治療員や冒険者ギルドへの派遣員として、婚姻は認められず生涯を過ごすことになる。


そして、それぞれの分野で最も上位の両聖女は大聖女の名を冠し、2人で1人の王族と婚約をする。


この国では貴族のみ一夫多妻が認められており、両聖女を娶るのは病気と怪我に備えるというのもあるが、国民に絶大な人気があり、膨大な魔力と優秀な治癒魔法を持つ大聖女を囲い込むことの意味合いが強い。


そして、この病の大聖女がイルマで、怪我の大聖女がローゼリアだった。


「はぁ、なんで仲良くできないのかなぁ。私なら絶対にいじめたりしないで仲良くするのに…そういえば最後の残念ってどう意味だったんだろ?」


いじめられる側の気持ちはよくわかる。私だってずっと…!?


突然胸に激しい痛み襲う。


「これっ…やば…きゅう…きゅ…う…」


そして私の意識はそこで途絶えた。




はじめての作品で拙い部分もあると思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

これからスローペースにはなると思いますが少しずつ更新していきます。

お気に召して頂けましたら、ブックマーク登録、評価のほうよろしくお願いいたします。


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