episode2:
カレーは何を入れても美味しくなる。
そう考えるのは世界共通ではないか。
私は数ヶ月前に友人にものを貸した。
それは私がほぼ毎日使う、大事にしていたものだったが、友人曰くどうしてもそれが必要らしい。
だが約束の2週間をすぎても、一向に帰って来なかった。一緒に山を登りに行った時、新種の動物を見に行った際にも催促してみたが、返す気はないらしい。
ぐつぐつと今夜の夕食、カレーを煮込みながら解決策を考えることにした。
「スパイス、いや具材が足りない。買ってくる」と同居人のカネフォラに伝え、私は外出した。
それから久しく人間と会話していない。そもそも、家への戻り方が分からなくなった。
気づけばこれを。
毎日夕方、種子をひたすらに集める衝動が抑えられなくなり、気づけばざっと200種類もの種子が、この麻袋に集まっていた。種子は先人の思いが詰まっている。
いや、正確には種子の中の、栄養分となる「胚乳」に思いが詰まっている。