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「グァ!」私は地面に突っ込み、視界を遮られた。「ッッッ!」私は口を動かせないが、助けを呼んだ。
意外とバタバタするのも役に立つものだ。何故か空中に浮き上がった。「ウオオ!」私は地面から顔を引っこ抜かれ、驚いた。眼の前には足があったのだ。「これってまさか…ヲンダー?」反応はなかったが、その反応からしてヲンダーだとわかった。私はどうやら足を彼に掴まれ、持ち上げられたのだ。「殺される気が…しないのかするのか…」私は助けを求めるかためらった。
「…」やはりヲンダーは無口のまま私を下見していた。
ドスッ 彼は私を落とすとそのまま何処かへ飛んでいき、気の中に紛れ込んだ。それから10秒ほど後、他の人達が来たので多分それが原因なのだろう。
「少し厄介だな…」私は目を閉じた。なぜかというと簡単なことだ。もしも私が考えていることは本当ならば彼たちは人工知能を持っている。普通のモンスターのように何も考えず、攻撃してこないということだもっと考えて行動をするということだろう。「何がだ?」気がつくとナギトさんが眼の前にいた。
「いいえ、ただ単に彼たちは普通のモンスターとは違って考えるんだなって思っただけ」凪斗さんも少し考えてから頷いた。「やっぱりそうだったか。さっき戦ったときもそうだったからもしかするととは思ったが…予想通りということか」ナギトさんはウンウンと頷いていた。「い、いいえ、私も予想ですし…本当かはわかりません」私は手をブンブンと振るった。「そういう予測、結構当たるんだぞ、ササミ」私はかしげた。「そ、そうですかね…」私は少し不満になりながらもさっきヲンダーが飛んでいった方向を見た。「というかなんでここに穴があるんだ?」私はハッとして赤くなった。恥ずかしいことだからだ。結構。馬鹿なことをしたし。「こ、これは…」私はオロオロとしていた。「まあ、とりあえずそれはいいとして、どうしてササミはここにいるんだ?なんかついさっき消えたみたいだけど」私は上を見た。「あそこ…」恥ずかしながらもどでかい木を指さした。「は!?一体何をしたらあそこに乗っかるんだ?」ナギトさんは目を丸くしていた。
「さあ」私は頭をかきながらそっぽを向いた。「それで、まさかササミがここに突っ込んで、この穴を作ったのか?」私はブンブンと頭を振った。「い、いや、そんなわけ…」だが、彼は証拠があった。誰にだってわかるような証拠が。「いや、お前の顔に土がべったりついてるぞ」慌てて私は手を動かし、できるだけ土をはたき落とした。「口の中にもあるー」私はしょんぼりとした。そこら辺を駆け回り、皮を見つけるとその水で土を吐き出すことができた。ゲームの世界でも現実世界のように気持ち悪いものだ。
「ぺ、ぺ、ぺ」口のまだ残っている土も洗い流し、ため息を付いた。「ハー、もー、これってもう行ったら現実世界と同じ感触じゃん!」ちょうどそこに聞いたことのある声がした。「それは脳に振動を送っているからだよ。実際では何一つ起きていないけど脳にそう起こっている、これは現実だと信じさせるのさ」その声はカナデだった。「カナデ!」後ろを見ると、カナデ…はいなかった。
「やあ、僕の名前はンローだ」