ころすけの雪の日の夢と暖かい笑顔
前回、「ぼくはころすけ」で
読んでいただいたお礼を伝えるのを忘れていました。
改めて、
「ころすけ」を読んでいただきありがとうございます。
大切な人がいなくなるとヒトも動物も悲しくなると
思います。今回、本当に会えなくなるのはつらくて厳しいので夢として描かせていだきました。
ぼくはころすけ
「家の守り神」と呼ばれているねこさ
なぜ、「守り神」かというと
いっしょに暮らしているお兄さんとお姉さんからは
いつもお留守番を任されているからなのさ
朝になると、お兄さんとお姉さんは出かけます。
2人はころすけに
「いってきまーす!お家を頼んだぞ!」と声をかけます。
ころすけも
うにゃーん、にゃお(気をつけてね)と返します。
そんな1日が始まり、
いつものように1人でお家を守っていたころすけの
そんなある日のできごとです。
1人になり少し時間がたった頃、
ころすけはうとうと、と眠たくなってしまいました。
それはころすけにとって悲しくて寂しくなる夢を見ました。
いつものお部屋
ころすけはお兄さんとお姉さんといっしょに
暖かいお部屋の布団の上でころころしています。
外を眺めると寒くなり、雪が降ってきました。
お部屋の中にいるのに、
どこからともなく
背筋も凍るくらいの雪風が吹いてきました。
ころすけは飛び上がり、
くしゅ、くしゅ、にゅうん、、
くしゃみをして辺りを見回しました。
そこで、お部屋の奇妙さに気づいたのです。
暖かいものは冷めきって
お部屋にも雪が積もっているではありませんか。
大好きなお兄さんとお姉さんを見ると
凍ったように動きません。
身体も冷たくなってしまってます。
ころすけは横に行き、
にゃおん、うみゃあ(どうしたの?寒いの?)と心配し
にゃおん!(ぼくが暖めてあげるよ)と
元気よく声を上げてすりすりしてみます。
しかし、変化はなく2人の身体は冷たいままです。
身を寄せると次第に自分も寒くなってきました。
そこで、走ったりして再び体を暖かくして
また、2人に温もりを伝えにいきます。
にぁあんにゃあ
(ねえ、動いてよ)
ころすけはどうしたらいいかわからなくなり
少しずつ、自分も元気を失っていきました。
わからないまま何度か同じことを
繰り返しているうちにお腹が減って来ました。
うにゃーん、うにゃーん
「お腹が空いたよ、ごはんが欲しいよ」
いつものように呼んでみても2人は動きません。
ころすけは2人といっしょにいるのに
ひとりでいるように感じます。
こころの中もお部屋のように寒く冷たくなってきました。
気がつくと部屋の角に
4人のぶさいくな雪だるまができており、
お兄さんとお姉さんの方に向かって動き出します。
突然のことに
ころすけは怖さで逃げ出したい気持ちにもなりながら
勇気を出して
シャー、うにゃー「2人に近づかないで!」
にゃーーん!にゃおーーん!
「お兄さんとお姉さんを守るんだー!いっしょにいるんだー!」
と精一杯の声を出し動けない2人を守ろうと
雪だるまの前に立ちふさがります。
しかし、雪だるまたちにはころすけの声は届かず、
そのまま進んでいき、ころすけをはねのけます。
ころすけは転がり、外に連れ去られる2人を眺めます。
外に消え去る雪だるまたちに
にゃん、うにゃーーん
「お兄さんとお姉さんを連れてかないでー」と
声をしぼり、できる限り叫びました。
寒いお部屋にはころすけだけが残され
ひとりになってしまいました。
しばらくすると、
何もなかったかのように部屋は暖かくなりましたが
疲れと空腹で倒れてしまいます。
横になり、ころすけは
2人といっしょにいた事を思い出しました。
お兄さんからおやつをもらったり、
お姉さんと遊んでもらったり楽しい記憶でした。
そんな気持ちが目に伝わり、涙が流れ出します。
誰もいない部屋を見るのがつらくて
まぶたを閉じてしばらく泣いていました。
こんな気持ちは初めてです。
2人ともっといっしょにいたかった、と思いましたが
流れ出した涙はなかなか止まりません。
暗いまぶたの中、2人に会いたいと強く強く願いました。
そのまま時間が過ぎていきました。
気がつくと、遠くから
ころすけを心配そうに呼ぶ声が聞こえました。
だんだん声がはっきりしてきます。
その声は懐かしい知っている声です。
お兄さんとお姉さんの声でした。
ころすけは夢から目が覚めました。
辺りを見回すと元の知っているお部屋にいました。
少し戸惑っていると、
お姉さんがころすけの目に涙が残っているのに気づいて
優しく拭いてくれました。
ころすけは寝ていたことを思い出しました。
しかし、夢のできごとが心に残っているので
静かに、お兄さんとお姉さん交互に甘えにいきました。
事情を知らない2人ですが、
ころすけがいつも以上に甘えるので
抱き上げてお互いの顔を見つめました。
ころすけはごろごろと言い、今度は幸せの涙を流しました。
3人は笑いあいお部屋をいっそう明るく暖かくします。
ころすけはいつものように尻尾をビンと立て
じまんのヒゲをゆらし
にゃおにゃお、にゃんにゃーん、と2人にお礼を言います。
ころすけはこの3人で笑いあったことを
忘れないでおこうと思いました。
また会えて嬉しい。
仕事から家に帰り家族に会うときにいつも思います。
まだ、少しの人生しか歩んでいないですが
「なくしたもの」があり、
二度と戻ってこないものがあります。
そんな中また会えることっていいことだな、と
いう思いも込めて「ころすけ」にがんばってもらいました。
まだまだ、物語を作るには未熟者ですが、
少しずつ読んでいただけるようにがんばっていきたいです。