G◯dzilla: King ◯f the M◯nstersをいまさら見た男が好き勝手喚き散らすオデン屋
フィクションです。
G◯dzilla: King ◯f the M◯nstersをいまさら見た男は、奇声を上げながら客のいないオデン屋台の暖簾をくぐると「熱燗!!!」と絶叫した。
程なくして、縁の欠けた質素なおちょこが突出される。男はグイーッとそれを飲み干し、店主に突き返しながら喚いた。
「店主!!G◯dzilla: King ◯f the M◯nstersを見たぞ!!!」
「ハァ」
店主は「今見るなら普通はゴリラと戦う方じゃねえの?」と思ったが黙っておいた。
「店主!!ゴ◯ラとはなんぞや!!」
「デカいトカゲでしょ。あと火を吹く」
「そうだ!!だが違う!!」
男は目を剥いて絶叫した。店主は面倒くさそうに大根をいじっている。
「初代ゴ◯ラが戦争のメタファーであったように、本来ゴ◯ラとは【人間にはどうしようもないもの】のメタファーなのだ」
「あー、シン・◯ジラとかそんな感じでしたね」
「あれは駄作だ!!!!!!!!!!」
絶叫。静寂。咳払い。
「なぜアレがクソかはさておき、ゴ◯ラの起源はそういうものだ。しかしそのゴジラ像は徐々に崩れていく。
オドロオドロしさはナリを潜め、毎回出てくるゲストの怪獣とバチバチにプロレスを行うのだ。そのうちブッサイクな息子がでてきてパパになったり、協力して宇宙人を撃退したりとポップになっていく」
「あー、そういうのを批判したいンすか」
「真逆だ!!!!」
絶叫。
「ゴジ◯と聞いたら真っ先に脳裏に浮かぶのは普通【怪獣同士のプロレス】だ!みんなそれが見たいんだ!!俺だって見たい!!
ゴチャゴチャと小難しい話いらんねん!!怪獣が出てきてゴジラがバーーーン出てきて、ゴアーーーッと火ぃ吹いて、ボーーーンって!!!それが見たいんだよ!!!むしろそれだけが見たいんだ!!」
「ハア。ガンモどうすか。」
男はようやく自分がオデン屋に居ることを思い出したのか、矢継ぎ早に注文し、ガツガツと貪り食った。全て平らげ、ゲップとともに男は言う。
「マア、前置きはさておき。」
店主はげんなりした。今までの話が前置きなのか。
「だからこのG◯dzilla: King ◯f the M◯nstersは最高なのだ!初期のゴ◯ラ像を日本的な荒ぶる神と解釈し、傲慢ながらも善玉プロレスラーとして描ききる。まさに日本的【畏れ】だよこれは。
演出もいちいち愛を感じるのがニクい。モ◯ラの登場シーンで流れるアレンジBGMなんてもうアレだけで絶頂よ。ラ◯ンとかクッソ小物なのに戦闘機をボコボコ堕としてくあのシーン見てよ。ラ◯ンカッコイイ。ラ◯ンがオカズになりそうよ。もちろん主役の2怪獣も素晴らしいんだわ。ゴ◯ラの熱線吐く前のタメのSEがさあー。安っぽいけどいいのよ。ヴォンヴォンヴォンヴォンヴォン→ゴアーーーーーッ、アッーー、だめだめカッコよすぎ。キングギドラの首がかつてないほどウネウネして、隣の首とケンカしてるのも◎。んで火山でドヤポーズ。これ神話か??ってなるよね。とにかくこういいのでいいんだよ、ってシーンをこれでもかって程ぶち込んでくる」
「でもレビューサイトだとストーリーのない茶番とか言われてますよね」
「そんなものはクソだ!!!!!!!」
絶叫。
「確かに話は茶番だ。登場人物は全員支離滅裂、ヒステリックなメンヘラババアの暴走劇。アメリカン押し付けオナニー的な放射能の扱いで渡辺謙爆死するし。イヤ、日本人にそれやらせるなやと。お前ら全然反省してねえな?と。名台詞全部抜いたコマンドーみてえな何も考えてない映画だ。
だがそれでいいんだ。なぜなら我々は映画を見に行っているのではない。怪獣プロレスを見に行っているのだ。プロレス見に行ってリアリティが無えと喚いてる客いたら無視するだろ、そういうことだ。プロレスの出来は最高だった、それでいい。もうゴ◯ラは満腹ってくらい満ち足りたよ。
あとはガ◯ラが見てえな。ムリだろうけど。平成ガ◯ラ三部作はマジでヤベエから。クソメリケンよ、ゴ◯ラもいいけどガ◯ラも見てくれ。片腕もげて尚ギ◯オスの大群に立ち向かうガ◯ラを見てくれ。ビルの間を低空飛行して、衝撃波で割れる窓ガラスとか今のCG技術ならできるべ。見たいなあ。見たいなあ・・・・・・」
男は捲し立てると、また熱燗を注文した。
店主はおちょこに熱燗を注ぎながら問うた。
「しかしお客さん、おいくつですか」
「え。」
「怪獣怪獣って、普通子供の見るもんでしょアレ」
「え。え。」
「シン・ゴ◯ラは駄作?怪獣映画にムキになってるおっさんの方がヤバいですよ」
「え。え。え。」
「いい加減卒業したらどうです」
「ウルセー!」
男は店主をメッタ刺しにして、オデンにして食った。
完
【ガメラ4 真実】が見たい。たのむもう一回上映してくれ
小さき勇者たち?知らない子ですね・・・・・・