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星の導き

初心者ですが、温かく見守って頂ければ幸いです。

 


  暖かい、春の風が頬を撫でては通り過ぎて行った。淡いピンク色の花弁を乗せて流れる風に、視線を乗せた。


 風に乗って流れる花弁に、日本の花である桜を思い出しながら、ふと、転生する前の記憶を思い出す事があった。


 -私、どうしてこんな所にいるのかしら。


 と、転生してからかれこれ16年の年月が経つと言うのに、未だに思う事があった。その原因であろうのは、あまりにもファンタジー過ぎるこの世界に産まれてしまったからであろう。シルバーにしては白に近い灰色の髪に、深い青の瞳。それに珍しく虹彩の中に、何本か金色の筋が流れていた。まるでよく出来た人形のように整った容姿をしていたからだ。


 -まるで、乙女ゲームや、夢小説のようだわ。


 少女、ステラアーチェは元々は日本に産まれ、日本で生活していたのだ。学生時代を乗り越え、社会人になり、親元を離れ一人暮らしをしながらそれなりに働いていた。のだが、ある日交通事故に会い、目が覚めたら異世界に転生してしまっていた。


 -しかも、人生0からのスタートである。


 これには神様をどんなに恨んだ事か。

 好きな携帯小説は読みかけだったし(当初はものすごく気になった。赤ん坊だったけれど)、どうぶつの○も、まだ島をクリエイト中だったのに!、と。


 そしてそれからも波乱万丈は続いた。

 ステラアーチェの産まれた国は、星の王国、エトワール王国と言われる大国だった。星を司り操るエトワール王国は、星の力を借りて発展している国であったのだが、何かの陰謀か、あっという間に滅ぼされてしまったのだ。燃え盛る炎と、炎の渦の中でステラアーチェを抱いて逃げ惑う母親に、ギュッと抱きしめられていた。辺りに響くのは怒号と悲鳴···母親は何かを言った後、ステラアーチェのピアスホールに、自分のピアスを刺した。顔はぼんやりしていて覚えてはいないけれど、恐らく泣いていたのは覚えている。


 優しい温かな母の手が、頬を撫で、額、頬、瞳、鼻へと母親はキスを送った。


 その後、ステラアーチェはどこかの教会の前に、魔法で転移させられたのだった。


 まだ赤ん坊だったせいなのか、ステラアーチェは産んでくれた母の顔を、正直あまり思い出せない。でも、···優しい母の声だけは、心の中に残ってくれている気がしたのだ。


 感傷に浸る中、···急に冷める。


「···、はぁ、ないわー···」


 -私の人生、波乱万丈過ぎん?


 ため息をついたものの、今は仕事中。

 星のピアスにそっと触れて、思考を切り替え、持っていた箒の柄をしっかり握り、掃き掃除を再開させた。



 ♢ ♢ ♢



 カシアスは仕事の休憩中に、紅茶の入ったティーカップを片手に窓の外をジッと見ていた。綺麗に磨かれたガラス越しに日差しが差し込み、カシアスの金色の髪は光を反射してキラキラと艶めいている。まるで、1枚の絵のようだ。エメラルド色の淡いグリーンの瞳、一点を見つめて細められていた。


 彼の名はカシアス・ランベール。

 この空の王国、シエル王国第一王位継承者。


 王太子だ。


「カシアス様、いかがなされましたか?」


 声をかけたのは、執事兼、側近のフェルゼン。黒い燕尾服に、白い手袋。ケーキスタンドからスイーツを取り分け、真っ白な皿に盛り付け、カシアスの前に置いた。


 窓の外に何があるのか、ずっと一点を見つめたままの主人に疑問を投げかけた。


「なぁ、フェルゼン。シルバーでも無く、白に近い灰色の髪を、この国で見た事はあるか?」


 と、カシアスは視線をそのままに、フェルゼンに問いかけた。


 「白に近い灰色、ですか?、いえ、私は見た事がありませんが、その髪を持つ王族と国はもう···」


 「あぁ、確かにそうだ」


 太陽、空、風、海、森。

 この5カ国の中で、白に近い灰色の髪を持つ者は、星の王国、エトワール王国の王族の血を持つ者のみなのだから···。


 

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