5. ハッピーエンドと私。
「むにゃぁぁぁあ、むにゃぁぁぁあ、むにゃぁぁぁあ……!」
とある島国のとある家庭の一室には、今日も元気に赤子のねだり泣きが響く。
「はいはいミワちゃん。『家政婦は床』 でミルクでちゅね♡」
母が赤子をあやしつつ、テレビをつける横で、目立たないよう低い位置での宙返りを決めるのは、我らがminiな総監督、©*@«とº*≅¿のふたり。
<いよいよだな!> <いよいよですね!>
そう。今日は、待ちに待った、あの日の収録が放映されるのである。
<どんな名作に仕上がっているのか……> <楽しみすぎます……!>
ワクワクと 『家政婦は床』 に集中するふたりであったが……
しだいに、そのジャンプが、不安げに小さくなってきた。
<これは……編集、気づかなかったのか……>
<キャストの名演技に目を奪われていたのでしょうね……>
画面の片隅では、赤青黄の三色に塗り分けられたminiたちが、暇暇に文字を作って遊んでいたのだ。
『 オ ウ エ ン ヨ ロ シ ク ! 』
©*@«とº*≅¿が注視する中、赤青黄のminiたちはピョコピョコと跳ねながら、次なる文字を組み出した。
今度は……
『 ミ ワ チ ャ ン L O V E ♡ 』
<これは…… ま、まぁ、ご愛敬だな!>
<ま、まぁ、そうですよね!>
背後にミワちゃんのご機嫌な気配を感じつつ、くるりと宙返りをする、ふたりである。
しかし、その後のシーンで、彼らはまた、唖然とすることになった。
<あ、あいつら……>
<これは……やられましたね……>
床に倒れて死んでいる、金満老害デブの薄いゴマ塩頭から、ピンピンと黒い髪の毛が生えてきているのだ。
――― ©*@«とº*≅¿から見れば、黒塗りになった部下のminiたちが無駄な活躍をしているだけだが……
全国の視聴者から見れば、これは明らかにホラーであろう。
<<誰も気づきませんように!>> と祈らずにはいられない、miniのリーダーふたり。
だが、それだけではまだ済まなかった。
彼らは、最後の最後で猛烈に反省することになる。
<やりすぎたな……> <やりすぎましたね>
呆然と呟くような思念を漏らす彼らの目に映るのは、最後のシーンの爆発で吹っ飛んでいく、穴太鼓 饅の姿。
あの時は計画に夢中で気づかなかったが、明らかに火薬の量が多すぎたのだ。
これはもしや、というminiふたりの懸念は、放送後に流れたテロップで証明されることとなる。
『金賀 満太役は、次回より穴太鼓 饅から氷山 浄に変わります』
ガックリと肩を落とす、©*@«とº*≅¿。
<もしかして……大怪我したかな>
<大怪我でしょうね……たぶん>
――― 今後は、ドラマ撮影に介入するのはやめておこう。
そう、決意するふたりであった。
――― それから、まもなく。
仲間のminiたちが、戒厳令にも関わらず、コッソリとミワちゃんの血を吸っていたことが発覚し、彼らは赤子を守るため、自主的に離島へと撤退。
そこで、ゆるぎない帝国を築くことになるのだが…… それは、また、別の話である。
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そして、また1ヵ月程が経過した。
「ほみゃあ、ほみゃあ、ほみゃあ……」
miniたちの居なくなった部屋では、ミワちゃんが今日も元気に泣き声をあげている。
「あ、もうこんな時間!」
母はミルクを用意し、ミワちゃんを抱っこしてソファに座り、テレビをつけた。
「あら、まだニュースだね。プリキュRはこの後始まりまちゅよ。ちょっと待ってね♡」
最近のミワちゃんは、『家政婦は床』 のほかに 『プリキュR』 もお気に入りになり、泣き方で分けて、おねだりするようになったのだ。
「よちよちぃ♡ ミワちゃんは天才でちゅね♡」
母がデレデレとミワちゃんをあやすかたわらで、テレビは、人気ドラマの出演者、江都子と穴太鼓の婚約を報じていた。
――― 独身主義者と名高い江都子さん・穴太鼓さんが、結婚を決意されたそのワケは? 馴れ初めからじっくり教えてください!
興奮気味のレポーターの質問に、江都子と未だ包帯グルグルのミイラ姿の穴太鼓は仲良く手を繋ぎ、少し照れながら、口々に答えたのだった。
「少し前に、ちょっとハードで、でもすごく良かった撮影がありまして…… そこで、演技者として彼のことが気になったのが、始まりなんです」
「怪我で入院していた時に、江都子さんが、お見舞いに来てくれて……そこから親しくなりました」
――― どうやら、その怪我が 『家政婦は床』 の撮影中に負ったものであることには、口をつぐむらしい…… いずこにもある、大人の事情、というやつだ。
よく見ると、肩の辺りに小さな文字で 『スミマセンデシタ』 と書かれていた。きっと、miniふたりによる、精一杯の謝罪の気持ちであろう。
しかし、なにはともあれ。
めでたし、めでたし。
©️秋の桜子さま
7/11秋の桜子さまよりFAいただきました!桜子さま、ありがとうございます!
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
こちらの作品は、しいたけ先生・砂礫零のコラボ 『部屋と宇宙ノミと私』 シリーズの番外編です。
お初の方にもできるだけ分かりやすいように書いたつもりですが…… いかがでしたでしょうか?
(書いてる方はすっかり宇宙ノミ思考になっているので、わからないのが問題……!)
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さて、この度のコラボが始まったのは……
本編のラスト 『部屋と宇宙ノミと私~Simple is Best!?~』 が終わって間も無くのことでした。
以下、デフォルメしつつ送らせていただきますと……(敬称略)
しいたけ: 番外編どうします?
砂礫 : おおっ!できましたらぜひ!
しいたけ: 3本、案があるのですが……
砂礫 : 全 部 く だ さ い …… !
それから間も無く、しいたけ先生より、1本目の案である、こちらが砂礫の元に送られてきたのでした。
!!(⊃ Д)⊃≡゜ ゜ しいたけ先生、仕事が早すぎるぜ……!
そして、この度は砂礫初めての舞台。ドラマ撮影、でございます。
そのためにチョコチョコ調べつつ、イメージを固めていたのですが…… なぜか、監督だけが、すぐにお出でくださって、 『はらっしょっぽりーと!』 『にゃっぽりーと!』 『エクストリームヘヴンフラッシュ!!』 と叫ばれるので、とっても書きやすかったのですよね。
そう。この監督はどうやら、間咲正樹さまのファンのようでございまして……
これらの表現の出典はこちら!
♡『明らかに両想いな勇斗と篠崎さんをくっつけるために僕と足立さんがいろいろ画策する話』
https://ncode.syosetu.com/n7783fl/
それからこちらも!
♡『俺の彼女は魔女、しかも重度のヤンデレ』
https://ncode.syosetu.com/n1090em/
♡しいたけ先生、間咲先生、ともに、エクフラにゃっぽりーとな短編作品をいくつもupしておられます!
ぜひ作者マイページをご訪問ください。
⇒しいたけ先生の作者マイページはこちら。
https://mypage.syosetu.com/1463156/
⇒間咲正樹先生の作者マイページはこちら。
https://mypage.syosetu.com/1201215/
でーーはーー!