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7.

アドールに連れてこられたのは、王都から程近くにある森の中に佇む古びた一軒家だった。家の表面には苔が生えており、長い間そこに立っていることが察せられる。


「えっと……ここは?」

「兄貴の実家。魔女の家っす」


先程、魔馬車での移動中に目覚め、アドールに事情を説明された彼の弟分・イーズが答える。”実家、そして魔女の家とは……?”と疑問に思っているオリヴィエを後ろにアドールが夜中にも関わらずドアを思い切り叩いた。


「おい!ババア!!どうせ起きてるんだろ!この扉をさっさと開けろ!」

「ちょ――アドール!!?」


こんな真夜中に実家といえどあんなに大声でドンドンと扉を叩いたら迷惑だろうとオリヴィエは止めようとする……が、そんなものお構いなしにアドールは扉を叩き続ける。すると程なくして、扉が開いた。


「おっ。出てきたか、ババア」

「アドール!アンタ、こんな夜中に五月蠅いのよ!!」


中から出てきたのはババアというのが似つかわしくない――アドールともオリヴィエとも年齢が大差ないように見える女性だった。


***


「……そこのお嬢ちゃん、大変な目にあったようだね」

「へ?」


オリヴィエは何のことを言われたのか分からず、間抜けた声をあげてしまう。しかし、その様子を見たアドールが女性に対して憤りを示した。


「おい!ババア、アンタまた勝手に理由もなく人の過去を見やがったのか」

「過去を見る……?」

「ああ。このババアは魔女であり、他人の過去を見る能力者でもあるんだよ」

「そうですか」

「は?オリヴィエ、お前嫌じゃないのかよ?自分の過去を勝手に見られてるんだぞ」

「別に抵抗はないかな」


正直”過去を見る”という能力については多少は驚いたが、それ以上の――例えば嫌悪感などという感情はなかった。オリヴィエ自身も”未来を視る”という能力を持っていたからかもしれない。それに見られて困る事も特に思い浮かばなかった。


「アドール。このお嬢ちゃんはアンタと違って後ろ暗い事がないからだよ」

「っうぐ。た、確かにそうだったが」

「それでアンタ――オリヴィエは王宮に侵入したい、と」


この女性の能力はやはり本物らしい。アドールもイーズもオリヴィエも家に入ってから一度も経緯の説明などしていないのに、一発で目的を言い当てられた。


「はい。自分の心残りのために」

「ま。そこのバカ息子も誓いを立てちまっているようだし、協力してやろうかね」

「バカ息子……え?息子!?」

「ふん。このババアは若作りしてるんだよ」

「若作り……」


若作りというレベルではない程に若いのだが、呟くだけで敢えてそこには突っ込まない。突っ込むと面倒なことになりそうだと思ったの半分、話を早く進めたかったの半分だった。


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