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黒銀の王女の物語。  作者: 潤ナナ
第一章。
34/89

第33話 生徒会長選挙。



 2月27日。帝都ブレのアデリーヌ学園の新学期が始まった。

 始業式での目新しい事柄は、『生徒会選挙』の事だ。

 何せ、前生徒会は解散。と言うか、鉱山奴隷に成ったからである。


 あの事件の被害者の一人、コレット・ド・コルネール先輩が、臨時の生徒会長として生徒会を運営する事が、始業式の冒頭に決まった。

 他の役員に関してもコレット先輩が選出した。


 コレットの臨時生徒会より、新しい生徒会を発足すると言う事で、『生徒会長選挙』を行う。と宣言した。


 立候補者は、今週末の夕方5時迄受付。選挙はその翌週末と決まった。

と言うか、コレット先輩が決めた。

 四年生は、任期途中の六月に卒業なので実質、生徒会長は三年生からの選出であろう。

 始業式は、『壇上のローレライ』の心地好い曲(お言葉)の内に終わったのだった。



◇◇◇

 始業式の日は、午前中で帰宅と成る。

 宿題の提出、中間試験が三月末にある事等の連絡事項で終わりである。


「委員長、学級会始めろ。速やかにー、だ」

 ジュリエット学級委員長は、少し不機嫌だった。


(わたくしも、アンリさん達と一緒にファテノークの王都に行きたかったですわ。

 でもお優しい侯爵様の馬車で故郷に帰して頂いたのだし良かったですの…、でも、やっぱりわたくしも行きたかったですわ)

 複雑な乙女心なのかよく分からない。自分でも本当はどうしたいのか分からないのだった。


 まあ、そんな子よねジュリエットって皆、そう思ってたりする。


「では、クラス委員の選出から…。前学期はこのメンバーでした」

 ジュリエットが言う前に、黒板に書いた副委員長のアベルくん。

【委員長ジュリエット。副委員長アベル。書記…。会計…。治安委員…。医務委員…。図書委員…。雑務委員ロイク、マドレーヌ】


「このメンバーでした。では、最初に新委員長の推薦、立候補は有りますか?・・・・・・無い、ですの?

 あら変ね。わたくしから推薦しても宜しいかしら…サラサ先生?」

「良ンじゃね?」

 何時も通り、やる気の無いサラサ先生。


「…では、わたくし、アンリエットさんを推薦します」


 ジュリエットの推薦にアンリエットが、異議を…と思って挙手しようとした所で、他の生徒達が異議を口々に言い出した。


「アンリエットさんは委員長には向きません」

「私もイザベラさんの意見に賛成です」

「私も」「俺も」「僕も」

と言う声で溢れ返った。


 ちょっと心折れるアンリエット。

 委員の選出は、委員長、副委員長。そして雑務委員の二人が再選のまま、『生徒会選挙』の話題に成った。


 因みに、生徒会長のみの選出である。

生徒会長は、他の役員を前生徒会と教職員の推薦の中から選ぶのだ。

 それと同時に治安委員長の選挙も有るのだが、これに関してコレット先輩は言ったのだ。


「学園長先生とも話したが、同時に行う事にします」



 ところで、1年1組のクラスでは完璧な英雄が二人居た。

 そう学園の人気を独り占め…。では、無いがまあ、言わずもなが、アンリエットとフェリシエンヌ『二粒の真珠姫』である。


「僕は、生徒会長候補にアンリエットさん。治安委員長にフェリシエンヌさんを推薦します」

 美少女…美少年ルカくんは挙手して言ったのだった。


「申し訳無いけど、辞退させて下さい」

「申し訳無いけどぉ、辞退のぉ方向でぇー私ぃ、アンリちゃんの警護担当なので…あ」


 アンリエットとフェリシエンヌは、固辞した。

 ちょっと「警護担当」と言うショッキングな発言は皆、聞き流すのだった。

 それは皆のお約束なのだから…。


「おまえ等ぁ、気持ちは分かる。だがな、取り敢えず、だ。生徒会会長と治安委員長は諦めてくれ。

 これは担任教師命令だ。良いかあたしは、多分今期からの生徒会顧問でもある。ちょっと期待して待ってろ。以上だ」

フフフッ。


 何か企んでいそうなサラサ先生だった。



◇◇◇

 2月35日の朝、昇降口の掲示板に立候補者が掲示された。

 5名も生徒会長に立候補している。

 治安委員長の立候補者は3名だった。


 皆、先輩で知らない人ばかりだ。

 今日の昼休みから選挙活動が始まると掲示板に書いてあった。


(コレット先輩の様な人だったら良いな)

 多分皆そう思って居るのだろう。


 今日から週末迄の選挙期間中、昼休み候補者が各教室を回ったり、学食で演説をするのだ。

 朝の教室で何時もの様に窓際の後ろで雑談中の五人。


「選挙ってどう言うのかな」

 ナデージュは 、興味津々。


 興味津々は良いが実際、学食内はあまりにも煩く落ち着いて昼食が食べられ無い状態だ。

 仕方無く、教室に戻ったのだが教室も同様、他の候補者が演説していた。

 一階の廊下なら生徒は通っても演説は煩く聞こえないだろうと、思った。


「黒銀と白雪さん、私の陣営に参加してくれませんか?」

 アンリエット達を選挙に使おうとする候補者が現れてしまった。


「兎に角、逃げようフェー」

 アンリエットはフェーを引っ張り、逃げるのだった。


「ルシールさん、個人的に選挙協力を…」

 ルシールもアンリエット同様、追いかけられた。


 そんな四日間が続き、もう一日追いかけ回される。と思うと憂鬱な皆であった。



◇◇◇

 明日、投票日と言う前日、午後の授業が無くなり講堂で、候補者演説会が始まった。



「僕が、この学園を愛して止まないのは…」

「俺は、俺の愛するアデリーヌ学園を…」

「私が愛する学園の…」

 何だか、演説内容が皆、同じ様な陳腐な言葉の羅列にしか感じられ無かった。


「最後の候補者です。アデラールくん、応援演説の方は良いのですか?」

 コレット臨時生徒会長の問いの対し、


「はい、会長。自分の応援は自分自身の思いで伝えます…」

と壇上に立ち、アデラールは演説を続けた。


「俺は3年5組のアデラール・マルタンだ。クラスで分かる通り、優秀では無い。俺の前に演説した3年の1組の学友たちは何れ、国の根幹を支える人間に成るのだろうよ。

 けどな、何人か『この学園に選ばれた我々』と、言った。その言葉に俺は違和感を感じる。だから、応援演説じゃ無く用意した原稿でも無い、俺の気持ちを言いたい。俺は選ばれてここに居る訳じゃあ無い。俺が勝ち取ったんだ!それだけは言いたい。そして……」

 そう3年のアデラール先輩は言った。

 クラブ活動の成果の周知。や、生徒会への監督監査委員会の設立を訴えた。


「最後に、『選ばれた』と言う言葉を使う奴は、選民的な…、俺はそう言うのを選民思想だと考える。皆さんは、どう思うか?」

 演説を終えた。



 臨時生徒会長は選挙管理委員会長を兼ねている。

 5日の午前の始業から生徒総会で行われ、最後に投票と成る。


 勿論、無記名投票だ。

 但し、候補者が複数居ても有効投票者数の3分の2に届かない場合、翌週の始め一位と二位の決選投票と成るのだ。

 同じ流れで、治安委員長も投票される。


 講堂で投票が始まった。

 四年生から順に投票するのだ。

 選挙管理委員会は投票箱を二つ用意していた。

 各々の投票箱前で一人が投票者に投票用紙を手渡しし、もう一人が投票箱に投票する様子を見張って不正を防ぐのだ。


 四学年の生徒から順に投票。

 投票を終えた生徒は学園中庭に出る出入り口から退出する。と言う流れだ。


「開票は本日中に行い。結果は昇降口掲示板に掲示します」

 投票前、コレット会長は、壇上で言ったのだ。



 昼休み、生徒が騒いでいた。


「掲示板に投票結果が貼られてるよー」

 見に行く。

 成る程、決選投票だ。


 そこに、熱い演説をしたアデラール・マルタン先輩がアンリエットとフェリシエンヌに声を掛けて来たのだ。


「少し、話しをしたいのだ」


 アンリエットはちょっと怖かった。

 背の高い先輩だ、とは思ったのだが、間近に見ると凄くデカい。190センチは超えていそうだ。


「俺一人じゃ無くコレット先輩も一緒だから、平気だ」

 怯えるアンリエットとフェリシエンヌに対し気遣う言葉、自分が他人にどう見えるのか分かって居る人なのだ。二人は少し安心した。



 一階の音楽室にコレット先輩と臨時生徒会のメンバーが揃って居た。


「話し、と言うのはおそらく得票数二位の3年1組のグレースさんが決選投票を棄権するらしいのだ。有効得票は462票だ。

 アデラールくんの得票数は303票、3分の2の308票に少し届か無い。

 二位のグレースさん53票。逆転の目はほぼ無い。なので会長はアデラールくんで決まる。

 そして生徒会の役員だが、役員選出の方法が教員推薦と前生徒会推薦がある…」

と、コレットが言ったところでアデラールが声を挟んだ。


「コレット先輩、ここからは俺に言わせてくれ…下さい…。君達を二人副会長にしたいんだ。親父から聞いたんだ。北ミュロの防衛の迅速な采配、俺も見た寄宿舎の体術、パーティーの時だって…」

 熱く語るアデラール先輩だが、アンリエットの羞恥心を汲んではくれない無慈悲さが何とも言えず、黙りこくった。


「っちょ、アデラール、アンリエットさんが真っ赤です。少しは、女心に配慮なさい」

「こ、これは失礼した。まあ、平たく言えば俺は頭が悪い。副会長二人ってのは半人前とかの意味じゃ無く、二人で、会計を兼ねて欲しいからだ」


(サラサ先生の「あたしに考えがある……」とは、この『仕込み』だったんだあああー!)

「先輩はぁ、商家の子息ですよねぇ?」

「そうだが…」

「ならぁ、会計とか得意じゃぁ」

 フェリシエンヌにアデラールは「計算は得意じゃ無いんだ」と言った。


「じゃぁ、あれねアンリちゃん」

「もし、他に会計のあてが無いなら、『広報』の兼務でお願いします。会計は打って付けに心当たりが有りますよ?」



 ちょっと悪いお顔のアンリエットであった。



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