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黒銀の王女の物語。  作者: 潤ナナ
第一章。
23/89

第22話 真珠、冬至の夜に。その1。

性的な表現があります。

苦手な方は、飛ばして下さいませ。


◇◇◇


 翌20日。朝7時。まだ寝ていた。


 昨夜、皆で寝たい。とルシールが言い出した。我儘を言ったのだ。

 ダンスのレッスンの後、皆と話しが盛り上がってしまい離れたくなくなった様なのだ。


 めったな事で我を通す事の無い皇女であったのだが、まだまだ子ども、12歳である。


 9月生まれの一番のお姉さんである。


 因みに、ナデージュは11月生まれだと言ったのだが、生まれ育った『ヨルドの森』では祝う事が無いそうで「忘れてた」と言っていた。

 フェーは7月3日で一番年下よ?と言うと「アンリちゃんは冬至生まれ。」とアンリエットにとって言いにくい事をサラッと言っちゃうサラサーティーなのだった。



 「アンリエット姫殿下とフェリシエンヌ公爵令嬢の従者と名乗るジーン殿とマリエ殿が姫様にお目通りをと…」7時半にお城の侍女に起こされたアンリエット5人である。


 余談ではあるがこの時、数名いた皇女のお傍付きの侍女の中に『ジャンヌ』と言う名の若干九歳の少女の未来の英雄譚を知る者は少ない。


 朝食を皇宮で済ませ、ジーンとマリエの待つ城の北の修練場へと急いだ。


「遅く成ってすまない。」

 と、アンリエットが言うとマリエは剣を振り回していた。


「おや姫さぁ。吹っ切れたって顔ッスねぇ。」

 と言うと、また剣を振り回した。


「カッコイイ!その剣舞教えてっ!」

「オーギュスト殿下?に教わったッス。」


 第二皇子オーギュストはエミール、ルシールの同腹である第二皇妃リュシーの子だ。


「おお、双子真珠ではないか。久しいなっ!」

「お久しゅう御座います。皇子殿下。」

「皇子様ぁお早う御座いますぅ。」


 二人、アンリエットとフェリシエンヌが挨拶をすると、ウンウンと嬉しそうに首を縦に振った。


「お初にお目もじ致します。テター男爵家が三女、ジュリエットと申します。」

「私、貴族じゃ無いので…。初めまして、ヨルドの森フィルディナンの子ナデージュと言います。」

「おやおや、これはこれは。中々の粒揃いだ。美女…、将来の美女揃い。双子真珠と負けてはいまい!」


 上機嫌のオーギュスト22歳であった。


 「お、お褒めに預り…。。。」「いやいやそれ程でも…。」と満更でも無い様子の二人である。


「ところで、乗馬の練習と聞いたが…。俺も教えよう!」


 ルシールにマリエが付き、ナデージュにジーン、ジュリエットにはオーギュスト殿下が各々付いて乗馬練習をしたのだった。


 『なみあし』馬で歩く事がほぼ出来る様になったので、今日は『けいはやあし』の稽古だ。


 ほら、1、2、1、2、このリズムだよ。昨夜のダンスとは違うからねリズム、二拍子だよ。


 鞍に付けるのは可愛いお尻じゃあ無いよ。坐骨だよーって意識してバランス取って!


 そして、アンリエットは弓を引く。姿勢がまだまだな様で、エミール先生が時々後ろから抱く様に正すのだった。


 今日のアンリは覚えが良い。

 オーギュストは、そんな二人を見て目を細めるのだった。


 「一の兄上の様に子どもに手を付けるなよー。って八歳差、か?良いのか?」と呟きながら、ジュリエットの後ろに乗り、

「最後に走らせるぞ!」

「きゃあああーーー」


 ジュリエットの悲鳴が木霊した。



◇◇◇


 午後、宮中にて。


 散々ごねたジュリエットではあったが、観念した様で採寸されるがままに成っていた。


 ドレスを作る事にした…されたのだ。

 オーギュスト殿下が侯爵に改めて、「ジュリエット嬢にドレスを新調させる。」旨を伝えに言ったのだった。


 それとナデージュである。

 ドレスを作る事は納得したのだが、今回は着ない。と言うのだ。


 採寸の時、「胸の所、もっと大きく」とか「広めに」と言う。何故か、涙目に成りながら…………。

 あまりにもあんまりなので、理由を聞いた。


「「「「なるほどっ」」」」

 そして、もう一着、用意するのだった。



「伯父様ぁ来るんだよねぇ?アンリちゃんのトコ。」

「伯父様って、アンリさんの御父様ですの?王様、では無いのですわよねぇ?」

「ファテノークは代々女系、女王ですね。」

 と、補足説明を入れるルシール皇女。


「今回は遅れると手紙に……。」

「左様です。年末にいらっしゃる御予定です」



 ちょっとしょんぼりな表情のアンリエットである。



◇◇◇


 寄宿舎の朝は早い。

 厨房の朝はもっと早い。

 昨日中に朝食用のパンを仕入れ、夕食後は翌朝のスープ等の仕込みを済ます。

 朝はそのスープを仕上げ、早朝届いた牛乳、時に山羊乳を煮沸するのだ。

 昼食と違い献立はほぼ、一種類。『ほぼ』と言うのは、我が儘な、子弟の居る寮なので、一工夫した料理の提供が余儀無くされるからだ。で、数は百と60強。品数も少なく作り安いが調理員は四人だ。6時45分に間に合わせるべく頑張るのだ。


 すっかり料理も覚えたルカくんのお姉さんフルール(15)さん。今日は朝食の後、ちょっとおめかしして街に…。行け、無い。

 お休みは貰った。給金もある。服も…。



「お早う御座います。フルールさん。」

「おはようナディーちゃん。今日からお祭りね。」

「今日お休みって言ってました。よね?どうしてお仕事を?朝から…。」


 お休みは、止めた。と言う。

 街が怖い。と、夜中。襲われたのは自宅の外に有るご不浄に行く時だったけど、街に出たらまた拐かされるのではないか。不安だと言う。


 あの時の妹の…椅子に縛り付けられていたとは言え、目の前で犯される妹を助けられなかった自分を思い出すのだ。と言う。


「だったら、尚の事行きましょう。あ!ルカくん誘って行きます。決定です!」



◇◇◇


 待ち合わせのお城前、跳ね橋に着いた今日は一人のジュリエット。


「こんにちはナディーさん。こんにちはルカくん、フルールさん」

 そしてお城の正門へ歩き出すナデージュとジュリエット。


 「え?何?どうして?」って顔のルカとフルール。

 門の衛士が、三人を見て言った。


「こんにちはジュリエット嬢。おや、今日は真珠ちゃん達居ないのかい?」

「ええ、残念ですわね。申し訳御座いません。」

「いや、ジュリエット嬢も別嬪さんです。ところで、そちらの別嬪さん方は?」


 訳を話すジュリエットに衛士は「へえーその娘、男の子ぉ」と驚いていた。


 城内に入り、案内の侍従が四人を小さな部屋(十分大きな部屋)へと… 「フム。噂に違わぬ一品ですな」と言ったのだ。ルカを見て。そう言う物好きの好事家だ!とルカは思った。

 時々現れるのだルカの前に…。


 そして、小さな部屋へと通したのだった。

 クローゼットの様である。こんな広いクローゼットが世に有ったんだ!と言う姉弟の感想は誰にも聞かれず流れた。通されて直ぐ、採寸される姉。と何故か弟。


 簡単に採寸を終え、少し奥へ連れて行かれるフルール。と何故かルカ。いきなり服を脱がされ、あれよあれよと言う間も無くドレス姿のフルールに成ったのである。


 姿見の鏡の前には、お姫様がいた。

「そのまま動かないで下さいまし、手直しを致しますので、ナデージュ様にお作りした物ですのでこの辺りきつくは御座いませんか?」


 (…悪かったなっ!)と一人ごちるナディー。


「え?ナディーちゃんのドレスなの?どうしましょう。着る事なんて出来ない!」

「いや、良いんですよ!私は私のがありますから!楽しみに。ね?」


 そして、こちらにも申し訳無さそうに立っている少女が一人…。


「ああ、こんなお綺麗な御召し物など、わ、わたくしの様な物が、わたくし侯爵様やお城の方に…。わた、わた、ワウウウ…」


 泣いていた。

 こう言う子だよなージュリエットって。と思うナデージュであった。


「…にしても綺麗だなー三人共!」

 とナデージュは素直に誉めた。


 さんにん?



◇◇◇


 そんな帝城の出来事があった頃、帝都のファテノークのお屋敷に御客様が来ていた。


「おとーさまああぁー!」

 と、叫び走り飛んだ(文字通り飛んだ)のはマリエであった。

 「どかっ」と言う音で地に臥したマリエ。


「先に御挨拶為さる方が居るであろうにっ!」

「はっ。公爵様奥方様。御機嫌麗しゅう御座います。遠路遥々の御訪来。あーお疲れっぇしたっ!」


「はっはっ。何時もの言葉で良いよ?マリエちゃん。お久しぶり!」

「おとぉ様、おかぁ様ぁ。いらっしゃいぃ。」

「フェー、元気でしたかぁ?」

「はい、おかぁ様!」


「ところで、色々と噂を聞いたのだが…………。」


 アンリエットとフェリシエンヌは汗を流した。冬なのに…。


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