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黒銀の王女の物語。  作者: 潤ナナ
第一章。
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第17話 真珠、就職と決意を見る。

 

◇◇◇


 ルカの母マリーは、困惑していた。

 

 今現在、店の従業員が母親の自分と双子の片割れの二人だけに成ったからだ。お店を 二人で回せない事は無いのだが…。

 しかし、それは料理を作るのが、亡くなった夫であれば…、の話し。「慣れだよ慣れっ!」と叱咤しても手際も味も夫には敵わない。

 未だ傷心の双子の上の娘も居る。彼女はまだ14歳なのだ。

 ルカ母マリー、決心したのであった。



◇◇◇


 ルカくんが学園に来る様に成った数日後の10月28日午後、学園前行きの定期馬車に乗った母マリーと双子の亡くなった妹の姉フルールである。

 

 学園に来て、昇降口に出て来たフェリシエンヌを捕まえ…損ね、ジュリエットを羽交い締めにしたのだ。

 そうして要求する。「息子と学園長を呼べ!」と…。


「助けて欲しいのですわー。。。」

 と言うヘッドロックされ中のジュリエットを置き去りにアンリエットが学園長室へ、フェリシエンヌが寄宿舎のルカの元へと走り去ったのだ。

 彼女等の背に「ちょ、酷いのですわー!」と言う声は聞かなかった事にして…。




 寄宿舎は学園の敷地内の東に建っている。南に貴族用、北に平民用と言った感じだ。

 貴族用も平民用も二棟に別れて居る。男子寮と女子寮である。


「ルカくん居ますかぁ?」

 

 男子寮に美少女が来たのだ。この学園の寄宿舎には、当然管理と世話をする寮母のおばさんが居る。

 噂に聞く『真珠姫』の片割れが、一人でやって来た。この思春期真っ盛りの男子寮に、だ。


「ちょいと、お嬢ちゃん。女の子が一人で来て良い所じゃ無いよ?狼の群れに餌を投げ込むバカは居やしないだろ?」

「おば様、大丈夫ですぅ。」

 と言うな否、寮母の目の前にあった花瓶が3つに別れて転がった。

 

 少女の手にいつの間に出したのか、逆手に握る小刀が有ったのであった。


「何かあったらこれで屠りますぅ。アンリちゃん程じゃぁ無いけど。」

 寮母さんは戦慄した。


「あれ?フェーちゃん。どうしたの?」

 ―――――こ、この恐ろしい少女を『ちゃん』付けだとう!!貴様、何様だ!あああ、ルカ様だったわああああ。

 おば様にも大人気!ルカくんが来た。


「え?何々?だれ?うわあああ、フェリシエンヌさんだあー!」

「ほ、本物だ!白真珠姫だっ!」

「マジ?おお本物の白雪ちゃんだぜー!」

「可愛いいいいい!」

「美少女キターーーー!」

 ―――――ウオオオオオオオオオオオオオーーー!

 

 平民男子寮は地響きをを発てるのであった。



「―――――――来ませんねー?」

「どうしたんだろフェー。ルカくん呼びに行っただけなのに。」

 と、その時、寄宿舎の方が震源の揺れ、と言うかどよめく大声と言うのか解らないが、聞こえて来た。


「あ、君、君君。生徒会の役員だったよね?」

 学園長に呼び止められた三年生のタイを着けた少年が振り返る。


「君、済まないが寄宿舎の一年、ルカくんを呼んで来てはくれんかね?」

「学園長先生。僕、今日は急いで帰ら…。はいっ、この私、『レオ・アベル・ド・モンターギュ』喜んで行って参ります!レオです!」

 

 美少女の為なら、と言うつもりなのであろうレオ某と言う名の男子生徒は寄宿舎方面に駆け行った。

 

 良く見掛ける黒真珠ちゃんとルカに似た美少女がそこに居たのだから仕様が無かった。

 その時、ジュリエットは首が締まって落ち掛けていた。

 

 生徒会の役員、レオ某が寄宿舎の男子寮(平民用)に着いた頃、数十人の男子生徒に囲まれフェリシエンヌは困って居た。


「仕方ない。」と言う呟きが回りの男子生徒に聞こえたのかは分からない、マリエ仕込みの体術で生徒を凪ぎ払い、自分の活路を作り出すフェリシエンヌだ。


「ルカくん!お母様とお姉様が、居らしてるのぉ。急げ!」

 とルカくんを伴い走り去った。

 

「ルカばっか良いよなー。」と誰かが言った。男子の総意だと皆、思った。

 その皆はフェリシエンヌに、一人残らず倒されていた。

 

 寮母さんは、「恐ろしいモノを見た。」と言う感想のみ残して、フラフラと自分の部屋へ戻って行った。

 そして、生徒会の(なにがし)は置いてきぼりだった。


 

◇◇◇


 学園の昇降口では落ちたジュリエット、アンリエット、学園長とルカ母マリーと姉のフルールが居た。

 取り敢えず、学園長室で話をしよう。と言う事に成り場所を学園長室に移したのであった。


 アンリエット達は帰ろうとしたが「いっしょに話しを聞いて欲しい」と言うマリーからの要望で、いっしょに部屋へ入ったのである。

 ま、要するに就職活動だった。



「かーさん厚かましいよー。」

「お母様、そう言うのは『家政婦ギルド』とか『冒険者ギルド』で斡旋して貰えば良いかと…。」

 ルカくんと学園長は言った。

 フェリシエンヌは一人ツッコミを入れた。「学園長さん『冒険者ギルド』はどうかと思う?」見事に流されるのであった。



「はいっ斡旋はして貰わなかったンですが、直接職場の責任者と話しをする様言われて学園に来たのです。ここの学食の『住み込み調理員』の求人が…。」

 とルカ母マリーは言った。


「あ?え!そーなの?」

 と学園長。


 こうして住み込みの雇われ調理人と成ったマリーであった。



◇◇◇


 ルカくんの姉フルールは、今日も食堂のカウンターで給仕の係に勤しむ。

 

 学園の昼は、二つある食堂の中央仕切りを取り払い大食堂として機能する。

 ルカくんの姉である。言わずもなが、そのカウンターだけ大盛況である。

 お弁当の生徒達も学食に通い始めたとか聞く。

 

 学食の異常な混雑は、生徒会を動かす事と成ったのだった。



◇◇◇


 最近、と言うより南ミュロのバルサザーから帰って来てから、皇女殿下は『乗馬』や『護身術』を習いたいと言い出した。と言う話しを学食で、何時もの四人が居る時にしたものだから、


「あたくしにも教えて下さいませ」

 ジュリエットも強く成りたかった様である。

 ジーンやマリエから習うのなら、「ファテノーク邸で」とルシールは言った。


「リュシちゃん、毎日アンリちゃんトコ来たらぁ凄い早起きしなきゃあいけなく成るよぅ?」

「じゃあいっしょに住む」いやいや、それはどうかと…。


 結局、通学前に『護身術』や他の体術を教えて貰う。と言う所に落ち着いた。

 そして、毎朝7時半、帝城の帝国図書館前で、稽古しよう。とルシールが提案した。

 

 そこなら図書館と図書室を通り抜け教室へ入れる。近道だから…。


「でも、お城の方達の迷惑に成るのではないかしら?」

 とジュリエットが言うと「今、聞いて来る」と言ってルシールは走って行った。

 

 何にしても、フルール親子が来てからの学食は混雑している。



  『食事が終わった生徒は速やかに学食から出て下さい【生徒会】』

 と、貼り紙が貼られているのである。


「早く出ないと生徒会の人に注意されるね」

「リュシちゃんきっとぉ、教室に来ると思うからもう出ましょぉ」

 午後の授業の始まる数分前にハァハァと息を切らせたルシールが教室に入った。


「父上が良いよって…ハァハァ。」

 と言って、ジュリエットの後ろの自分の席へと戻ったのであった。

  フェリシエンヌの直ぐ後ろの席のナデージュが聞いて来た。長命種の子女さんだ。


「ねえ、フェーちゃん、ルシールさんが言ってたのって何だい?」

「えっとねぇウチの侍女さん達が朝、皆に『護身術』とか『暗殺術』教えるって話しぃ。」

「へえー、私も教えて欲しい。放課後少し話さない?」


 授業も終わり、放課後教室の片隅…、ジュリエットとルシールの席だ。


「ナデージュさんの種族って、弓矢が得意ですわよね?」

「種族はね。でも私自身は下手なんだ。それで何か出来ないか悩んでたんだよ」

「じゃあ丁度良いですね」


「で、もう一つ気になる事が有るんだ。フェーちゃんの言ってた『暗殺術』って…。」

「それは言って無い。」

「『暗殺術』って…。」

「無い」

「『暗…「それは無い。」」

「ちょ、アンリ。私はフェーちゃんと話しを…「存在しない。」


 そんなこんなで、毎朝体術とかする事に成った。


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