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黒銀の王女の物語。  作者: 潤ナナ
序章。
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序章。

 昔から予言されていた。

 その通りに夜空の三つあった月は二つに成った。




 日付は12月25日に成ったばかり、一番小さな白色の『明け月』が大きな『青月』に落ちたのだ。

 突き刺さる様に『明け月』が『青月』の表面に落ちた。

 『青月』の表面に円柱形の『明け月』から伸びる長い影が出来た。


 おそらく、望遠鏡で『明け月』を見る事の出来る者がこの世界に居たのなら、こう言ったであろう「あれは人工物だ」。と…。




「オギャア、オギャア、オギャア」

 冬至の朝、一人の女の子が生まれた。


 朝の日の光は地上に届かず、厚い雲から地上に向け雪を落としていた。

 暖かな産所で女官は生まれたばかりの御子を母に成った王太女の腕の中に納めた。


「ふむ、柔らかい髪よな。しかし、銀の髪とは……。何代ぶりであろうか?」

 王太女は我が子を抱いて呟くのだった。

 そこに女官の一人、王女側付きの侍女が産所に入って来た。


「ミチアイか…。どうした?次代の王を祝うと言う様子では無いようだな」

「姫様、報告が御座います。陛下が先程お隠れに成られました」

 ミチアイと呼ばれた侍女は、女王の死を報告した。


「ああ、一目、孫を見せる事は叶わなんだか…。仕方あるまい。母上…、陛下は39であったな。私も早くに亡くなるやもしれぬ。我が子は早めに立太女させねば成らぬかもしれぬな…」


 明月歴3,851年12月25日冬至の朝、産まれたばかりの我が子を腕に抱いて王太女は呟いた。

 侍女ミチアイは王女のその呟きを聞き顔を曇らせるのだった。


 何時しか雲は去り、日は積もった雪と白亜の城と町を照らす。

 世界は白一色である。

 その日の正午、空の日に暈が掛かった。


「『白虹』…、凶兆だな。近いうちに戦乱の世にでも成るのか?なぁーんてなっ」

 ミチアイの夫、アレクセイは空の大きな白い日輪を眺め独りごちた。


「まあ、そんな事よりもジーン、おまえの御主人が今日、お生まれに成ったそうだ。さあ、鍛練の続きをしよう」

「はい、おとーさま」



 明けて1月20日。

 エステル・イズモ・ド・ファテノークは、名を『エステル三世』と改め、この王国の女王に成った。

 女王の腕には次代の女王がスヤスヤと寝息を奏でているのだった。


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