ステータス確認!2
気を取り直してステータス画面に視線を戻す。
レベル:1
体力:500
「ちなみに町人の体力は成人男性で平均100くらいです。兵士だと150前後が多いと思います。」
「え、待って、わたし500なんだけど。嘘でしょ、9歳にして体力お化けじゃん。え?ゴリラ?」
「ゴリラの体力は大体200程と記憶しています。」
ゴリラ以上かよ!と心の中で盛大なツッコミをいれる。
ーーこれ学校で虐められるやつじゃん。怪力女とかボスゴリラとか……不名誉なあだ名決定か…。
「ぶふっ…!」
「おい、何で笑った。」
「いえ、何でもないで…くふっ!ささ、ステータスの続きを見ましょう!」
攻撃力:?
防御力:?
魔 力:?
知 力:?
「ねぇ、攻撃力とか全部 "?" なんだけど…。」
「え?そんなはずは……お二人もですか?」
神様は両親に視線を向けて問う。
「俺は全部数字入ってたぞ?大体300〜500くらい。」
「私も入ってたわ。数字はお父さんより少し低いけど。」
聞くと、両親ともちゃんと数値が入っていると。
ーーわたしだけ、ハテナ…。
「えー、どうしよ、バグ?」
「いえ、恐らく未知数ってことだと思います。ほら、まだ成長期前ですし。」
「雑だな、オイ。」
「何にせよ、常人とは比べられないほど高値になると思いますので、問題ないですね、ボスゴリラさん。」
ーーハァァァーーン?そうですか、そうですか。
「よぉくわかった。おもて出ろや。」
「はっ…!失礼いたしました。」
「はっ…!じゃねぇんだよ。」
ーー薄々気付いてはいたけど、この神様、段々フランクになってきてないか?
まぁ、堅苦しいよりは良いか…と思い直し、ステータスの確認を続ける。
固有能力:異空間収納、地理地形把握、他言語翻訳、…
「ねぇ、固有能力の他言語翻訳って?収納はまんまだし、地理地形把握はマップ的なやつだと思うけど。」
「はい、3つめの固有能力はお三方とも異なります。
リオさんの他言語翻訳は全ての生命の言葉を理解し話すことができます。」
「へぇ〜!便利!」
「全ての生命が対象なので、例えば食卓に上がる前の食材…地球で言うところのレタスやトマトがナイフで切られる時の声も…。」
「ちょ、ちょ、ちょ!流石にそれは嫌だわ!!」
ーー何それ、恐っ!!
「そうですか?地球のフジムラ家はとても良い気が流れていたので、恐らくこちらの食材たちも喜んで調理されると思いますけど。」
何か問題でも?と問いたげな神様。
嘘だろ、問題大アリだよね?と動揺するわたし。
「喜んでいたとしても!!わたしが気まずいことに変わりないし!!」
「えー?じゃあ、その辺はオフにしておきますね。」
ーーいや、何でそんなに不満げなの?そして、まさかのオンオフ切り替え!!
「はい。ですので必要な時はステータスからオンにできます。」
「いや、一生しねぇわ!!」
ーーおかしいな、わたし普段ツッコミだったっけ?
ツッコミの連続で、気分的には肩で息をしているような疲労感に見舞われる。癒し…癒しが必要だ……まで思考が飛んだところで、思い至る。
「ということは、モモの言葉もわかるのか!」
モモに視線を向けると、
『そうかも!』
と、いつも聞く ワン! の代わりに言葉が返ってきた。
「わぁ!凄い!モモの言ってることがわかる!!」
『ホント?じゃあ、これからはリオといっぱいお喋りできるね!』
「うわー!凄い凄い!!感動する!!」
わっしゃわっしゃとモモを撫でる。
ふと、その手を止めた。
ーーうん、これ以上は放置できない…か。
薄々気付いてはいた。触れていないだけで。
ただ、もう避けては通れない。意を決して問いかける。
「………モモ…めっちゃ大きくなってない?」
地球にいた頃よりも一回り、いや控えめに言って三回りくらい大きくなっている。小型犬なのに、これではもう大型犬サイズだ。
「モモさんはこちらの世界で順応してもらう為に"白の狼"という、所謂神獣に強化させていただきました。」
「し、神獣!?」
『あ、だから?さっきからチカラが湧いてくる。』
「強くなったのか、モモ!」
「大きいモモちゃんも可愛わねえ。」
『ありがとう、パパさん、ママさん!」
ーーま、まさか神獣だと!?まぁ、ただの小型犬ではこの世界では心許ないし、大きいモモも好きだけど…。
ただ、大きな問題がある。絶対に妥協できない、リオにとって譲れない問題。それは、
ーーこのサイズでは、抱っこが出来ない!!!!
「も、モモちゃんや……もう少し小さくはなれないかなぁ…?いや、決して今のモモが嫌だとか、そういうのじゃないんだけど!!何なら大きいもふもふをもふもふしたいってのは、全人類の夢だし!!ただ、抱っこできないのは寂しいなぁ…なんて。いや、難しいよね!今のモモも十分可愛いし、全然、なんてことない!!」
『小さく?なれると思うよ?』
「そうだよね、ごめん、変なこと言っ……え?」
『むん!!』
モモが気合いを入れると、シュルシュルと姿が小さくなり、いつもの見慣れた大きさになった。
『できた!』
「モモ〜〜!君はなんて凄いの!?天才!天才だ!」
褒めて!と出された頭を、再びわっしゃわっしゃと撫でまくって褒め倒した。
ーーこれで、いつもの可愛いモモと大きいモモを堪能できる!幸せモフモフライフ!!